近年、全国各地でゲリラ豪雨や台風による浸水被害が相次いでいます。
国土交通省の水害統計調査によると、令和4年の水害被害総額は全国で約6,100億円にのぼり、住宅や店舗、工場などあらゆる建物が水害のリスクにさらされています。
こうした状況のなか、建物への水の侵入を防ぐ防災アイテムとして注目を集めているのが「止水板」です。止水板は、玄関やガレージ、ビルのエントランスなどに設置することで、雨水が建物内部に流れ込むのを効果的に防いでくれます。
従来の土のうと比べて設置が簡単で、繰り返し使用できる点も大きな魅力といえるでしょう。しかし、止水板にはさまざまな種類があり、製品によって止水性能や対応できる浸水深さが異なります。
「どの程度の効果があるのか」「自分の建物にはどんな製品が適しているのか」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、止水板の基本的な仕組みから効果を左右する性能指標、最適な設置場所の選び方まで、浸水対策に必要な情報を詳しく解説します。
大切な住まいや資産を水害から守るために、ぜひ最後までお読みください。
止水板(防水板)とは?水害から建物を守る防災アイテム

止水板は、豪雨や洪水の際に建物内部への水の侵入を防ぐために設計された防災用品です。
「防水板」とも呼ばれるこの製品は、住宅の玄関やマンションのエントランス、地下施設の入口などに設置して使用します。水害への備えとして、近年では一般家庭から商業施設、工場まで幅広い場所で導入が進んでおり、その需要は年々高まっています。
それでは、止水板がどのような仕組みで水を防ぎ、なぜ浸水対策に欠かせないアイテムなのかを詳しくみていきましょう。
止水板の基本的な仕組みと役割

止水板は、建物の開口部に設置することで水の侵入経路を物理的に遮断する仕組みになっています。
製品の多くはアルミニウム合金などの軽量で丈夫な素材でつくられており、板の縁には止水ゴム(EPDMゴム発泡体など)が取り付けられています。この止水ゴムが壁面や床面に密着することで、水が隙間から入り込むのを防いでくれるのです。
さらに、水圧を利用して地面に密着させる構造の製品では、浸水が進むほど止水板の安定性が増し、より高い止水効果を発揮するという特長もあります。止水板が果たす役割としては、まず建物内部への雨水や洪水の侵入を防止することが挙げられます。
加えて、地下空間や電気設備など重要施設を水害から守る機能も担っており、浸水による家財や設備の損傷を最小限に抑えることができます。
その結果として、復旧にかかる時間とコストの削減にもつながるのです。
止水板の種類は、設置方法や構造によって大きく3つに分けられます。
1つ目のシャッター型は、止水機能を搭載したシャッターで、比較的広い開口部に対応できるタイプです。
主に地下駐車場の入口や大型商業施設などに設置されています。
2つ目のドア型は、ドア自体が止水機能を備えており、閉めるだけで防水効果を発揮するタイプです。
電気室やポンプ室など、特に重要な設備がある場所に適しています。
3つ目の脱着型は、必要なときに設置し、使わないときは取り外して保管できるタイプで、一戸建て住宅や店舗、マンションエントランスなど幅広い場所で利用されています。
一般家庭での浸水対策には、手軽に設置できる脱着型の止水板が最も多く選ばれています。脱着型は軽量で持ち運びがしやすく、特別な工具がなくても設置できる製品が増えているため、緊急時にも素早く対応できる点が大きな魅力となっています。
浸水対策における止水板の重要性

日本は世界でも有数の多雨地域であり、毎年のように水害が発生しています。
気象庁のデータによると、1時間降水量50mm以上の豪雨の発生回数は増加傾向にあり、2024年には346回を記録しました。こうした気候変動の影響により、これまで浸水被害がなかった地域でも、突然水害に見舞われる可能性が高まっているのです。
浸水被害が発生した場合、建物や家財への直接的な損害だけでなく、さまざまな二次被害も生じます。たとえば、電気設備が故障すれば停電が発生し、日常生活に大きな支障をきたします。
また、水が引いた後もカビや悪臭が発生して衛生環境が悪化することがあり、修繕工事に伴って長期間にわたり生活や営業に支障が出るケースも少なくありません。
さらに、こうした状況は精神的なストレスや健康への影響にもつながります。特に地下施設や電気室などは、一度浸水すると復旧に多大な時間とコストがかかります。
マンションであれば、エレベーターや電気設備が浸水することで建物全体の機能が停止し、居住者全員の生活に影響を及ぼすおそれがあります。
工場や倉庫の場合は、設備の損傷によって操業停止を余儀なくされ、顧客への納品遅延など経済的損失につながることも考えられるでしょう。
こうしたリスクを軽減するうえで、止水板は非常に効果的な浸水対策アイテムといえます。事前に適切な止水板を設置しておくことで、水害発生時の被害を最小限に抑え、大切な資産と生活を守ることができるのです。
土のうとの違いと止水板のメリット

従来、浸水対策の定番として広く使われてきたのが土のうです。
土を袋に詰めて積み上げることで水の侵入を防ぐ方法ですが、実際に使用するとなるといくつかの課題があります。まず止水性能についてですが、土のうは袋と袋の間に隙間ができやすく、そこから水が漏れてしまうことが避けられません。
一方、止水板は止水ゴムによって壁面や床面に密着するため、土のうの約100倍もの止水性能を発揮することができます。設置時間についても大きな違いがあります。
土のうは土を詰める作業や積み上げに時間がかかり、コツも必要です。それに対して止水板は、製品によっては1分程度で設置が完了するため、急な豪雨にも素早く対応できます。
重量面でも止水板は優位です。土のうは1袋あたり約20〜30kgと重く、複数人での作業が必要になることが多いのですが、軽量な止水板であれば1枚約4〜6kg程度で、大人1人でも十分に扱えます。
保管のしやすさという点でも、止水板には大きなメリットがあります。土のうは場所を取るうえに、カビや悪臭が発生しやすいという問題があります。
止水板はコンパクトに収納でき、衛生的な状態を保ちやすいため、保管場所を選びません。繰り返し使用できるかどうかも重要なポイントです。
土のうは劣化しやすく、一度使用すると再利用が難しい場合がありますが、止水板は適切にメンテナンスすれば何度でも繰り返し使用できます。
実際のメーカーによる試験データでは、止水板の効果がより具体的に示されています。
水位50cm、幅2mの条件下で、止水板の1分あたりの漏水量は約0.56リットル、つまり500mLペットボトル約1本分程度に抑えられています。
同じ条件で土のうを使用した場合は、500mLペットボトル約100本分もの水が漏れてしまう計算になります。この差は、緊急時に建物内部をどれだけ守れるかという点で非常に大きな意味を持ちます。
また、止水板は軽量で設置が簡単なため、高齢者や力に自信のない方でも扱いやすい点も見逃せません。
土のうのように土を詰める準備が不要で、台風や大雨の予報が出た際にすぐ設置できる即応性の高さは、実際の災害時に大きなアドバンテージとなるでしょう。
保管面でも、止水板は省スペースで収納できるうえ、カビや悪臭が発生する心配がありません。清潔な状態を保ちやすいため、小さなお子さんや高齢者がいるご家庭でも安心して利用できます。
止水板が浸水対策に効果的な理由

止水板が多くの住宅や施設で採用されているのには、明確な理由があります。高い止水性能はもちろんのこと、実用面でのさまざまなメリットが、幅広い場所での導入を後押ししています。
ここからは、止水板が浸水対策に効果的である具体的な理由について、4つの観点から詳しくみていきましょう。
設置・撤去が短時間で完了する

止水板の大きな利点のひとつは、設置と撤去が短時間で完了することです。脱着型の止水板であれば、特別な工具を使わずに、大人1人で1分程度で設置できる製品も数多くあります。
設置方法にはいくつかのバリエーションがあり、それぞれに特徴があります。最も手軽なのはダブルクリップ仕様で、市販のクリップで止水板を固定するだけの簡単な方法です。
設置時間は約30秒から1分程度で、最も安価に導入できる点も魅力です。次に採用実績が多いのがノブボルト仕様で、支柱間に止水板を落とし込んでボルトで固定する方法です。
設置時間は約1〜2分程度かかりますが、安定性に優れています。さらに素早い設置を求める場合はハンドル仕様が適しており、ハンドルを回すだけで固定が完了するため、約30秒から1分で設置できます。
建物への工事が不要なマグネット仕様もあり、磁石で固定するため約30秒で設置可能です。土のうの場合は、事前に土を袋に詰める作業が必要で、さらに隙間なく積み上げるにはコツも求められます。
複数人で作業しても相応の時間がかかり、急な豪雨には間に合わないケースも少なくありません。その点、止水板は保管場所から取り出してそのまま設置するだけなので、天気予報で大雨が予想された段階で素早く対応できます。
撤去も同様に簡単で、水が引いた後は取り外して洗浄し、乾かしてから保管するだけです。この手軽さが、日常的な防災対策として止水板を選ぶ大きな理由となっています。
繰り返し使用でき衛生的に保管できる

止水板は、適切にメンテナンスすれば繰り返し使用できる耐久性を備えています。多くの製品はアルミニウム合金製で、錆びにくく丈夫なため、長期間にわたって使い続けることができます。
使用後のお手入れも簡単で、水道水で洗い流して十分に乾燥させてから保管するだけで、清潔な状態を保てます。一方、土のうは水に濡れた土をそのまま保管すると、カビや悪臭が発生しやすくなります。
袋の素材も劣化しやすく、一度使用すると廃棄が必要になる場合も少なくありません。廃棄の際には、土の処分方法に悩むことも多いでしょう。
止水板を長く使い続けるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。まず、日光や雨が直接当たらない屋内で保管することが基本となります。
また、止水ゴムが変形しないよう、立てかけるか壁にフックで掛けて保管すると、止水性能を維持できます。年に1〜2回程度は点検を行い、異常がないか確認することも重要です。
止水ゴムは10〜15年を目安に交換を検討するとよいでしょう。適切に保管・管理することで、止水板は長期にわたって浸水対策に活躍してくれます。衛生面でも優れているため、食品を扱う店舗や、衛生管理が重要な施設でも安心して導入できます。
開口部の幅に合わせた設置が可能
止水板は、設置場所の開口部の幅に合わせて柔軟に対応できる点も大きなメリットです。
多くの製品では、複数の止水板を連結したり重ねたりすることで、さまざまなサイズの開口部に対応できる設計になっています。たとえば、中間支柱を用いて止水板同士を連結すれば、シャッターのような幅3mを超える大きな開口部にも設置が可能です。
また、止水板を2段に重ねることで、浸水深さ1m以上にも対応できる製品もあります。
対応可能な開口部のサイズは製品によって異なりますが、一般的には止水板1枚の幅が500mmから3,000mmまで対応しており、1mm刻みで調整可能な製品もあります。
高さについては、1枚あたり150mmから550mmまで対応し、100mm刻みで調整できるものが多くなっています。連結時には最大で15m程度まで対応可能な製品もあり、2段重ね時には約1.1mまでの浸水深さに対応できます。
一戸建て住宅の玄関や勝手口はもちろん、店舗のシャッター前や工場の搬入口など、設置場所の形状に合わせたカスタマイズが可能です。
製造メーカーによっては、設置場所の写真と間口のサイズを送るだけで、設置可否と概算見積りを回答してくれるサービスもあります。「自分の建物に設置できるかわからない」という方でも、まずは相談してみることで適切な製品を選べるでしょう。
高い止水性能で浸水被害を軽減する

止水板を導入する最大の目的は、高い止水性能によって浸水被害を軽減することです。
JIS規格(JIS A 4716)では、止水板の止水性能を漏水量によって等級分けしており、最高等級のWs-6では1時間あたりの漏水量が1リットル以下と定められています。この高い止水性能により、大雨や洪水の際にも建物内部への水の侵入を最小限に抑えることができます。
実際のメーカーによる試験では、一般家庭向けの脱着型止水板(Ws-2〜3相当)でも、土のうの約100倍の止水性能が確認されています。
具体的な数値でいえば、水位50cm、幅2mの条件下で、1分あたりの漏水量が500mLペットボトル約1本分程度に抑えられるというデータがあります。もちろん、止水板は完全に水を止めるものではありませんが、浸水のスピードを大幅に遅らせる効果があります。
浸水被害の進行を遅らせることで、避難や対策の時間を確保することができます。また、家財や設備への損害を最小限に抑えられるため、復旧にかかる時間とコストの削減にもつながります。
そして何より、事前に対策を講じておくことで、精神的な安心感を得られるという点も大きな価値です。止水板の効果は、単に水を止めるだけでなく、被害を軽減することで生活や事業の継続性を守ることにあります。
BCP(事業継続計画)対策として、企業や施設で止水板の導入が進んでいる背景には、このような実践的な効果が認められているからです。
止水板の効果を左右する性能指標

止水板を選ぶ際には、製品の性能をしっかりと確認することが大切です。同じ止水板でも、製品によって止水性能や対応できる浸水深さは大きく異なります。
適切な製品を選ぶためには、性能指標の意味を正しく理解しておく必要があります。ここからは、止水板の効果を左右する重要な性能指標について詳しく解説していきます。
漏水量とは?等級別の止水性能

止水板の性能を評価するうえで最も重要な指標となるのが「漏水量」です。
漏水量とは、一定の水圧がかかった状態で、1時間に止水板の面積1㎡あたりからどれだけの水が漏れるかを示す数値です。
単位は「ℓ/(h・㎡)」または「m³/(h・㎡)」で表示され、この数値が小さいほど止水性能が高いことを意味します。漏水量を基準とした止水性能の等級は、JIS A 4716規格によってWs-1からWs-6までの6段階に分類されています。
この等級を理解することで、設置場所に適した止水板を選びやすくなります。それでは、各等級の具体的な基準と使用場所の目安について詳しくみていきましょう。
漏水量による等級と使用場所の目安
JIS規格による漏水量の等級は6段階に分かれており、それぞれに適した使用場所が定められています。最も低い等級であるWs-1は、漏水量が50を超え200以下の製品が該当します。
これは比較的簡易な浸水防止用の設備で、一般的な土のうよりは性能が高いものの、多少の浸水を許容できる場所や排水設備が設置されている場所に適しています。
具体的には、倉庫や駐車場などでの使用が想定されています。Ws-2は漏水量が20を超え50以下で、Ws-1と同様の用途に適しています。
Ws-3は漏水量が10を超え20以下で、最も一般的に用いられる浸水防止性能とされています。浸水に対して比較的重要度の高い場所に適しており、機械室や一般家屋などでの使用が推奨されます。
Ws-4は漏水量が4を超え10以下、Ws-5は漏水量が1を超え4以下で、いずれもWs-3よりも高い性能が求められる場所向けです。
そして最高等級のWs-6は、漏水量が1以下と定められており、最も止水性能が高い製品が該当します。重要度が高く、できる限り浸水を防止したい場所に用いられ、電気室やポンプ室などへの設置が想定されています。
一般家庭での浸水対策には、Ws-3程度の等級があれば十分な効果を発揮できるとされています。一方、電気設備や重要機器が設置されている場所では、より高い等級のWs-5やWs-6を選ぶことが推奨されます。
ただし、等級が高くなるほど導入コストも上昇する傾向があるため、設置場所の重要度と予算のバランスを考慮して選ぶことが大切です。
メーカーごとの性能表記の見方
止水板の性能表記は、メーカーによって異なる場合があるため注意が必要です。
JIS A 4716規格は「シャッター型」と「ドア型」の止水板を対象としており、一般家庭で多く使われる「脱着型」は規格の対象外となっています。
そのため、脱着型の止水板では「Ws-○相当」という表記がされていることが一般的です。性能表記を確認する際には、いくつかのポイントを押さえておくとよいでしょう。
まず、JIS規格の等級(Ws-1〜Ws-6)が明記されているかを確認します。脱着型の場合は「相当」表記の根拠となる試験データがあるかどうかも重要です。
また、漏水実験の測定結果が公表されているメーカーを選ぶと、実際の性能を把握しやすくなります。さらに、第三者機関(建材試験センターなど)による技術評価を受けているかどうかも、製品の信頼性を判断する材料になります。
性能表記がないメーカーの製品は、漏水量が想定よりも多い場合があるため注意が必要です。信頼できるメーカーは、漏水実験の様子を動画で公開したり、具体的な数値データを開示したりしています。製品選びの際には、こうした情報を参考にして、実際の止水性能を確認することをおすすめします。
止水高と耐水圧の確認ポイント

漏水量とあわせて確認しておきたいのが、「止水高」と「耐水圧」です。止水高とは、止水板が対応できる水の高さのことを指します。
設置場所で想定される浸水深さに対して、十分な止水高をもつ製品を選ぶ必要があります。製品単体の止水高は、1枚の止水板で対応できる高さを示しており、一般的には150mmから550mm程度が標準的です。
より深い浸水に対応する必要がある場合は、止水板を2段に重ねることで約1.1mまで対応可能な製品もあります。
止水高を決める際には、ハザードマップで示されている地域の想定浸水深さと照らし合わせて、十分な余裕があるかを確認することが大切です。耐水圧については、水深が深くなるほど止水板にかかる水圧も大きくなる点を理解しておく必要があります。
高性能な止水板は、水圧がかかった状態でも止水ゴムの密着性が維持され、安定した止水効果を発揮します。一部のメーカーでは、京都大学などの研究機関と共同で、水深2mでの強度テストや動水実験を行い、あらゆる条件下での性能を検証しています。
製品カタログやメーカーのホームページで、こうした試験データを確認することで、より安心して製品を選べるでしょう。
止水板の効果を最大化する設置場所

止水板の効果を最大限に発揮するためには、適切な場所に設置することが重要です。建物への水の侵入経路を把握し、浸水リスクの高い箇所に優先的に止水板を配置することで、被害を効果的に軽減できます。
建物の種類によって、特に注意すべき箇所や対策のポイントが異なりますので、ここからは建物の種類別に最適な設置場所を詳しくみていきましょう。
一戸建ての玄関・ガレージ
一戸建て住宅において最も浸水リスクが高いのは、玄関とガレージです。特に、前面道路よりも低い位置にある玄関や、地面に接しているガレージは、大雨の際に真っ先に水が流れ込みやすい場所といえます。
玄関から水が侵入すると、リビングや寝室など住居スペース全体に被害が及ぶおそれがあります。
ガレージに浸水した場合は、大切な車両が水没してしまうだけでなく、ガレージに隣接する室内への浸水経路にもなりかねません。
一戸建てで止水板を設置する主な箇所としては、まず玄関が挙げられます。玄関は浸水リスクが高いため、ドア枠の幅に合わせた止水板を選ぶことが大切です。
外開きドアの場合は、ドアの開閉を妨げないよう屋内側への設置も検討するとよいでしょう。ガレージも同様に浸水リスクが高い場所です。
シャッター前に設置するのが基本で、開口部が広い場合は中間支柱を用いて止水板を連結する必要があります。勝手口は見落としがちな場所ですが、玄関と同様の対策が必要です。
また、通気口や換気口が地面に近い位置にある場合は、専用の対策を検討しましょう。脱着型の止水板であれば、普段は収納しておき、台風や大雨の予報が出た際にすぐ設置できます。
玄関の隅や物置など、省スペースで保管できる点も一戸建て住宅での使いやすさにつながっています。
マンション・ビルのエントランス

マンションやビルでは、エントランスからの浸水が建物全体に大きな影響を与える可能性があります。特に注意が必要なのは、1階のエレベーターホールと地下の電気設備です。
エントランスから水が流れ込むと、エレベーターの機械部分が浸水して停止し、高層階の住民やオフィスワーカーの移動手段が断たれてしまいます。
地下に電気設備がある場合は、停電によって建物全体の機能がマヒするおそれもあります。マンションやビルで止水板の設置を検討すべき箇所は多岐にわたります。
最も優先度が高いのはメインエントランスの出入口で、ここが浸水すると建物全体に影響が及びます。次に重要なのが地下駐車場への入口やスロープで、地下に水が流れ込むと被害が急速に拡大します。
地下階への階段入口も同様に優先的に対策すべき場所です。そのほか、搬入口や通用口、電気室や機械室への通路なども設置を検討すべき箇所として挙げられます。
マンションの管理組合やビルの管理会社では、BCP対策の一環として止水板の導入を検討するケースが増えています。共用部分への設置となるため、居住者や利用者への周知と、設置訓練の実施も重要なポイントとなります。
工場・倉庫の搬入口

工場や倉庫では、大型の搬入口が浸水の主な侵入経路となります。搬入口は開口部が広く、地面に近い位置にあることが多いため、浸水リスクが高い場所といえます。
工場や倉庫が浸水した場合の影響は深刻です。製造設備や在庫商品への直接的な損害が発生するだけでなく、操業停止による生産遅延が生じます。
その結果、顧客への納品遅延と信頼低下につながり、従業員の安全確保にも支障が出るおそれがあります。復旧までには長期間にわたる経済的損失を覚悟しなければなりません。
こうしたリスクを軽減するため、多くの企業ではBCP対策として止水板の導入を進めています。工場や倉庫で止水板を設置すべき場所としては、まずメイン搬入口が最優先です。
開口部が広いため、中間支柱による連結が必要な場合が多くなります。副搬入口や通用口は見落としがちですが、重要な侵入経路になりうるため対策が必要です。
電気室入口は浸水すると操業全体に影響するため、最優先で対策すべき場所であり、高性能な止水板の設置が推奨されます。荷物用エレベーター前も、機械部分を保護するために優先度の高い場所です。
開口部が3mを超えるような大きな搬入口でも、中間支柱を用いて止水板を連結することで対応が可能です。設置場所の構造や開口部のサイズに合わせて、専門家に相談しながら最適な製品を選ぶことをおすすめします。
地下施設への入口・階段

地下施設は、その構造上、最も浸水リスクが高い場所のひとつです。
地下へ通じる階段や入口は、水が自然と流れ込みやすい形状になっており、一度浸水が始まると急速に水位が上昇するおそれがあります。地下施設が浸水した場合は、避難経路が断たれて人命に関わる危険な状況に陥る可能性もあります。
国土交通省のガイドラインでも、地下施設への止水板設置の有効性が示されており、適切な対策を講じることの重要性が強調されています。
地下施設で止水板を設置すべき主な箇所としては、まず地下鉄や駅の入口が挙げられます。多くの人が利用する場所であり、浸水時の影響は甚大です。
地下駐車場へのスロープや階段も、水が流れ込みやすい構造のため優先的に対策が必要です。ビル地下階への階段入口や、地下商業施設の出入口、地下電気設備室への通路なども重要な設置箇所となります。
地下施設への止水板設置では、専門家による現地調査を受けたうえで、適切な製品と設置方法を選定することが重要です。水深が深くなることを想定し、十分な止水高と耐水圧を備えた製品を選ぶ必要があります。
また、避難経路の確保も考慮し、浸水が始まる前に早めの避難判断ができるよう、日頃から計画を立てておくことが大切です。
止水板導入前に確認すべきポイント

止水板を効果的に活用するためには、導入前の準備が欠かせません。
設置場所の水害リスクを正確に把握し、適切な性能の製品を選ぶことで、いざというときに最大限の効果を発揮できます。ここからは、止水板を導入する前に確認しておくべき4つの重要なポイントについて順番に解説していきます。
ハザードマップで地域の水害リスクを把握する

止水板の導入を検討する第一歩は、お住まいの地域の水害リスクを正確に把握することです。
ハザードマップは、過去の災害データや降水データをもとに作成された地図で、河川の氾濫、内水氾濫、津波などによる浸水予想が記載されています。
ハザードマップで確認できる情報は多岐にわたります。まず、想定される浸水深さの目安を知ることができます。これは止水板の止水高を決める際の重要な参考情報となります。
また、浸水が継続する時間の目安も記載されており、どの程度の期間、止水板が機能する必要があるかを把握できます。氾濫が想定される河川や水路の位置も確認でき、自宅や事業所がどの方向から浸水リスクにさらされているかを理解できます。
避難所や避難経路の情報、土砂災害警戒区域などの危険箇所も記載されているため、総合的な防災計画を立てる際にも役立ちます。ハザードマップは、市区町村の窓口で入手できるほか、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」でもオンラインで確認できます。
自宅や事業所の周辺エリアでどの程度の浸水が予想されているかを確認し、必要な止水板の止水高や性能を検討する際の参考にしましょう。
注意点として、ハザードマップはあくまで過去のデータに基づく予測であり、実際の災害時にはこれを超える浸水が発生する可能性もあります。余裕をもった対策を検討することが大切です。
建物の浸水対策が必要な箇所を特定する

ハザードマップで水害リスクを把握したら、次は建物のどこに浸水対策が必要かを具体的に特定します。水は低い場所に流れる性質があるため、前面道路や敷地内で相対的に低い位置にある開口部が浸水しやすい箇所となります。
浸水対策が必要な箇所を特定するためには、いくつかのチェックポイントがあります。まず、開口部の高さを確認しましょう。前面道路や敷地と比較して、玄関やガレージなどの床面が低くないかを確認します。
低い位置にある開口部ほど、浸水リスクが高くなります。次に、大雨の際に水がどの方向から流れてくるかを観察しておくことも重要です。
過去に大雨が降った際の水の流れを思い出したり、実際に雨天時に確認したりすることで、浸水経路を把握できます。地下室や地下駐車場がある場合は、入口の位置と高さを確認しておきましょう。
地下への経路は特に浸水リスクが高いため、優先的な対策が必要です。電気設備やポンプ室など、浸水すると被害が大きい重要設備がどこにあるかも把握しておく必要があります。
過去に浸水被害があった場所を把握しているかどうかも、対策を検討するうえで重要な情報となります。一戸建て住宅であれば、玄関、ガレージ、勝手口などが主な対策箇所となります。
マンションや商業ビルでは、メインエントランス、地下駐車場入口、電気室などの優先順位を決めて対策を講じる必要があります。すべての開口部に同時に止水板を設置することが難しい場合は、被害が大きくなりやすい箇所から優先的に対策を進めましょう。
想定浸水深から必要な止水高を決める
設置場所が決まったら、必要な止水高を決定します。止水高は、止水板が対応できる水の高さのことで、ハザードマップで示されている想定浸水深を参考に決めます。
止水高を決める際には、まずハザードマップの想定浸水深に余裕を加えた高さを選ぶことが基本です。たとえば、想定浸水深が50cmの地域であれば、55cm程度の止水高をもつ製品を選ぶと安心です。
止水板1枚で足りない場合は、2段重ねを検討しましょう。製品によっては、2段重ねにすることで約1.1mまでの浸水深さに対応できます。
また、開口部ごとに必要な止水高が異なる場合は、それぞれに適した製品を選ぶことも検討すべきです。ただし、近年の気候変動により、想定を超える大雨が発生するケースも増えています。
可能であれば、想定浸水深よりも高めの止水高を確保しておくことをおすすめします。製品によっては、1枚の止水板で150mmから550mm程度の高さに対応し、2段重ねにすることで約1.1mまで対応できるものもあります。設置場所の状況と想定されるリスクを総合的に判断し、適切な止水高の製品を選びましょう。
自治体の補助金制度を確認する

止水板の導入にあたっては、お住まいの自治体の補助金制度を確認することも重要です。
近年、大雨による浸水被害が増加していることを受け、多くの自治体では住民の自主的な浸水対策を支援するため、止水板の設置費用の一部を助成する制度を設けています。
たとえば、東京都北区では止水板の設置やそれに伴う工事費用の一部を助成しています。大阪府吹田市でも止水板や止水シートの設置費用の一部を補助する制度があります。
このほかにも、全国の多くの自治体で同様の制度が実施されています。補助金を活用することで、導入コストの負担を軽減できます。
ただし、自治体によって対象となる製品の条件や補助金額、申請方法が異なります。また、予算に限りがある場合は早期に受付が終了することもあるため、導入を検討している場合は早めに確認することをおすすめします。
なお、自治体によっては「止水板」ではなく「止水パネル」「浸水防止設備」などの名称で制度を運用している場合もあるため、検索の際は複数のキーワードで調べてみてください。
止水板と併用したいその他の浸水対策

止水板は非常に効果的な浸水対策アイテムですが、これだけですべての浸水リスクに対応できるわけではありません。より万全な備えをするためには、止水板と他の対策を組み合わせることが重要です。
複数の対策を併用することで、さまざまな状況に対応できる総合的な浸水対策が実現します。ここからは、止水板と併用することで効果を高められる浸水対策を紹介していきます。
水のう・土のうによる応急対策

止水板を設置できない場所や、止水板が足りない場合の応急対策として、水のうや土のうが役立ちます。水のうは、ごみ袋に水を入れて作る簡易的な浸水対策で、家にあるもので手軽に作成できる点が魅力です。
水のうの作り方は比較的簡単です。まず、40リットル程度の容量のごみ袋を2枚重ねにします。次に、袋の半分程度まで水を入れ、空気を抜きながら口をしっかり閉じます。
これを段ボール箱に詰め、ブルーシートで包みます。最後に、出入り口に隙間なく並べれば完成です。
水のうは、止水板を補強するために周囲に配置したり、止水板がない勝手口や通気口の応急対策として使ったりできます。ビニール袋以外にも、プラスチック製のタンクやプランターとレジャーシートを組み合わせることで、簡易的な水のうとして活用することも可能です。
土のうについては、ホームセンターなどで事前に購入しておくと、いざというときに活用できます。土が水に濡れて固まることで、水の浸入を防ぐ効果があります。
ただし、土のうは保管場所を取り、カビや悪臭が発生しやすいという課題があります。あくまで応急的な対策として位置づけ、主要な開口部には止水板を設置しておくことをおすすめします。
止水シートの活用方法
止水シートは、シート状になった止水製品で、貼り付けるだけで設置できる手軽さが特徴です。
止水板と比べて軽量で折りたためるため、保管場所をあまり取らないメリットがあります。止水シートが活躍する場面はさまざまです。まず、止水板が設置しにくい形状の開口部への対応に適しています。
複雑な形状の開口部や、止水板を固定する支柱を取り付けられない場所では、止水シートが有効な選択肢となります。通気口や換気口など小さな開口部の保護にも適しています。
これらの場所は見落としがちですが、浸水経路になりうるため対策が必要です。止水板の補助として隙間を埋める用途にも活用できます。
止水板を設置した後、周囲に隙間が残る場合は、止水シートで補完することで止水性能を高められます。また、車載用として移動先での緊急対策にも使えます。
出張先や旅行先で急な大雨に見舞われた際にも、止水シートがあれば応急対策が可能です。止水シートを選ぶ際は、十分な止水性能があるか、繰り返し使用できるかを確認しましょう。
また、設置方法が簡単かどうかも重要なポイントです。止水板との併用により、建物全体の浸水対策をより確実なものにできます。
排水設備の点検と逆流防止対策
見落としがちな浸水リスクとして、下水の逆流があります。大雨で下水道の水位が急激に上昇すると、トイレや浴室、洗濯機の排水口から室内に下水が逆流するおそれがあります。
逆流による被害は、悪臭の発生や衛生環境の悪化につながり、健康被害を引き起こす可能性もあります。逆流を防ぐための対策はいくつかあります。
最も手軽な方法は、簡易水のうを排水口に設置することです。ごみ袋に水を入れた水のうを排水口に置いて塞ぐだけで、逆流を防ぐ効果があります。
トイレの逆流防止には、まずごみ袋を便器に広げ、その上に水のうを置く方法が有効です。これにより、下水の逆流を防ぐことができます。
より本格的な対策としては、専門業者に依頼して排水管に逆流防止弁を取り付ける方法があります。初期費用はかかりますが、一度設置すれば継続的に逆流を防止できます。
また、日頃から雨水ますの点検・清掃を行っておくことも重要です。雨水ますにゴミや落ち葉が詰まっていると、排水がスムーズに行われず、道路冠水や住宅周辺の浸水リスクが高まります。
定期的に点検を行い、詰まりを取り除いておきましょう。止水板で建物への水の侵入を防ぎつつ、排水設備の対策も併せて行うことで、より総合的な浸水対策が実現できます。
浸水対策には止水板「水用心」 上場企業製造の安心品質

浸水対策に効果的な止水板をお探しなら、国内シェアNo.1のアルミメーカーが製造する「水用心」がおすすめです。
「水用心」は、世界トップクラスのアルミニウム総合メーカーが自社工場で一貫生産している止水板で、高い止水性能とコストパフォーマンスを両立しています。
まず注目すべきは、土のうの約100倍という優れた止水性能です。JIS A 4716 Ws-3クラス相当の漏水量20ℓ/(h・m²)以下を実現しており、水圧を利用して密着させる機構により、シンプルな構造ながら確実な止水効果を発揮します。
コスト面でも大きなメリットがあります。国内自社工場での一貫生産により、中間マージンを排除し、他社製品と比較して約20〜90%のコストカットを実現しています。
品質を維持しながらこれだけのコスト削減を実現できるのは、一貫生産体制ならではの強みです。設置のしやすさも「水用心」の大きな特長です。高さ450mm×幅1,000mmで約6kgと軽量で、特別な工具を使わずに大人1人でも約1分で設置できます。
急な大雨でも慌てることなく、素早く浸水対策を講じることができます。性能の信頼性という点では、京都大学との共同実験で実証されていることが挙げられます。
水深2mでの強度テストや動水実験を実施し、あらゆる水害シナリオに対応する性能が確認されています。対応できる開口部の範囲も幅広く設計されています。
止水板を2段に重ねれば浸水深さ1.1mまで対応可能で、中間支柱で連結すれば3mを超える開口部にも設置できます。一戸建て住宅から工場、商業施設まで、さまざまな建物に対応可能です。
製品サイズと価格の目安としては、350mm×1,000mmが50,600円(税込)より、450mm×1,000mmが63,800円(税込)より、550mm×1,000mmが77,000円(税込)よりとなっています。
幅2,000mmの製品では、350mm×2,000mmが96,800円(税込)より、450mm×2,000mmが119,900円(税込)より、550mm×2,000mmが141,900円(税込)よりとなっています。
設置場所の写真と間口サイズをお送りいただければ、設置可否と概算見積りを回答いたします。全国どこでも対応可能で、補助金が活用できる地域もございますので、まずはお気軽にご相談ください。
安心のメーカー1年保証付きで、施工後のフォロー体制も充実しています。大切な住まいや資産を水害から守るために、実績豊富な「水用心」をぜひご検討ください。
まとめ

本記事では、止水板の基本的な仕組みから効果を左右する性能指標、最適な設置場所の選び方まで詳しく解説してきました。
止水板は、建物の開口部に設置して水の侵入を防ぐ防災アイテムであり、土のうの約100倍もの止水性能を発揮することがわかりました。
設置・撤去が短時間で完了し、繰り返し使用できる点は、日常的な防災対策として非常に大きなメリットといえます。止水性能はJIS規格のWs-1からWs-6で等級分けされており、設置場所の重要度に応じた製品選びが大切です。
一般家庭であればWs-3程度、電気室などの重要設備にはWs-5やWs-6といった高い等級の製品を選ぶことで、適切な浸水対策が実現できます。設置場所については、一戸建ての玄関やガレージ、マンションのエントランス、工場の搬入口、地下施設への入口など、浸水リスクの高い場所への設置が効果的です。
導入前にはハザードマップで地域の水害リスクを確認し、建物のどこに対策が必要かを特定することが重要です。また、自治体の補助金制度を活用することで、導入コストの負担を軽減できる場合もあります。
近年の気候変動により、これまで水害とは無縁だった地域でも浸水被害が発生するケースが増えています。いつ起こるかわからない水害に備えて、事前の対策を講じておくことが大切です。
止水板は、建物への浸水被害を軽減し、大切な資産と家族の安全を守るための有効な手段となります。本記事を参考に、お住まいや事業所に適した止水板の導入をぜひご検討ください。



