止水板の耐用年数は?部品別寿命と長持ちさせるコツ

近年、ゲリラ豪雨や大型台風による浸水被害が全国各地で増加しています。

そのため、建物を水害から守るための止水板の導入を検討している方も多いのではないでしょうか。

しかし、いざ止水板を設置しようと思っても「何年くらい使えるのか」「いつ交換すればいいのか」といった疑問が浮かぶものです。

止水板は決して安い買い物ではないため、耐用年数を正しく理解しておくことは非常に重要なポイントとなります。

結論からお伝えすると、止水板全体の耐用年数は一般的に10〜15年が目安とされています。

ただし、この数字はあくまで目安であり、使用環境やメンテナンス状況によって大きく変動します。

とくに止水性能を左右する止水ゴム(パッキン)は、本体よりも早く劣化が進むため、定期的な点検と交換が欠かせません。

本記事では、止水板の耐用年数について部材別に詳しく解説するとともに、長持ちさせるためのメンテナンス方法や正しい保管方法をご紹介します。

これから止水板の導入を検討している方はもちろん、すでに設置済みの方もぜひ参考にしてください。

止水板の耐用年数の基本知識

止水板の耐用年数を理解するためには、まず基本的な知識を押さえておく必要があります。

止水板は複数の部材で構成されており、それぞれの部材によって寿命が異なります。

また、国の評価基準に基づいた技術評価も存在するため、製品選びの際には参考にするとよいでしょう。

ここでは、止水板全体の耐用年数の目安と、建材試験センターが定める技術評価基準について解説します。

止水板全体の耐用年数目安

止水板全体の耐用年数は、一般的に10〜15年が目安とされています。

この期間は、適切なメンテナンスと正しい保管を行った場合の数値であり、使用環境によっては前後することがあります。

止水板の主要部材であるアルミニウム合金やステンレスなどの金属パネルは、耐久性に優れた素材です。

そのため、素材によっては30年程度使用できるものも存在します。

しかし、止水板の性能は本体だけでなく、止水ゴムや可動部品など複数の部材によって支えられています。

とくに止水ゴム(パッキン)は金属よりも劣化しやすく、止水性能を直接左右する重要な部品です。

そのため、本体が使用可能な状態であっても、止水ゴムの劣化によって止水性能が低下するケースは珍しくありません。

以下の表に、止水板の部材別耐用年数の目安をまとめました。

部材耐用年数の目安備考
本体(アルミ製)10〜15年素材により30年程度のものもあり
本体(ステンレス製)15〜20年塩害地域でも腐食しにくい
止水ゴム(室内保管)約3年環境条件により変動
止水ゴム(屋外設置)約1年紫外線や温度変化の影響を受けやすい
その他金属部品10〜15年メーカーにより異なる

このように、止水板の耐用年数は部材ごとに大きく異なります。

製品全体としての寿命を延ばすためには、劣化しやすい部品を適切なタイミングで交換することが重要です。

また、耐用年数はあくまで目安であり、設置環境や使用頻度によって実際の寿命は変わってきます。

海岸付近など塩害の影響を受けやすい地域では、さびにくいステンレス素材を選ぶなど、設置場所に適した製品を選定することをおすすめします。

建材試験センターの技術評価基準とは

止水板の性能を客観的に評価するための基準として、一般財団法人建材試験センターが定める技術評価基準があります。

この基準は、浸水防止板(止水板)に求められる性能を明確に定義したものです。

建材試験センターの技術評価基準では、止水板に対して以下の5つの性能を求めています。

  • 浸水防止性:水の浸入を防ぐ能力
  • 耐水圧性:水圧に耐える強度
  • 安全性:取り付けや操作時の安全確保
  • 容易性:設置の簡単さと機能発揮の確実性
  • 耐久性:部材の劣化程度とメンテナンス性

とくに耐久性については、使用材料や部品などの劣化程度、メンテナンス性、設備全体の耐用年数が評価対象となります。

技術評価基準では、止水板全体としての耐用年数は建物の外周開口部の耐用年数を考慮したものとするとされています。

そのため、耐用年数に制限のある材料や部品については、交換を含むメンテナンス計画を明示することが求められます。

また、止水性能については、JIS A 4716規格に基づく漏水量等級が広く用いられています。

この規格では、漏水量によってWs-1からWs-6までの6段階で等級が分けられています。

等級漏水量 [ℓ/(h・㎡)]
Ws-150ℓ超え200ℓ以下
Ws-220ℓ超え50ℓ以下
Ws-310ℓ超え20ℓ以下
Ws-44ℓ超え10ℓ以下
Ws-51ℓ超え4ℓ以下
Ws-61ℓ以下

Ws-6が最高等級であり、漏水量が1ℓ/(h・㎡)以下という非常に高い止水性能を示します。

止水板を選ぶ際には、この技術評価基準やJIS規格を参考にすることで、信頼性の高い製品を選定できます。

なお、JIS A 4716規格は「シャッター型」と「ドア型」に適用されるため、脱着タイプの止水板はWs-〇「相当」と表記されることが一般的です。

部材別に見る耐用年数の違い

止水板は複数の部材で構成されており、それぞれの部材によって耐用年数が大きく異なります。

製品全体の寿命を正しく把握し、適切なタイミングでメンテナンスを行うためには、各部材の特性を理解しておくことが重要です。

ここでは、止水板を構成する主な部材について、それぞれの耐用年数と劣化の特徴を詳しく解説します。

アルミ・金属パネルの寿命

止水板の本体に使用される金属パネルは、製品の中でもっとも耐久性に優れた部材です。

一般的に使用されるアルミニウム合金製の本体は、耐用年数が10〜15年とされています。

ただし、素材や表面処理の違いによっては、30年程度使用できるものも存在します。

アルミニウム合金は軽量でありながら強度が高く、腐食にも比較的強い特性を持っています。

トラックの荷台などにも使われる素材であり、耐久性については十分な信頼性があります。

一方、ステンレス製の本体は、アルミ製よりもさらに耐久性に優れています。

とくに海岸付近など塩害の影響を受けやすい地域では、さびにくいステンレス素材を選ぶことで、より長期間の使用が可能になります。

金属パネルの寿命に影響を与える主な要因は以下のとおりです。

  • 素材の種類(アルミ、ステンレス、スチールなど)
  • 表面処理の有無(アルマイト加工、塗装など)
  • 設置環境(塩害地域、工業地帯など)
  • 泥や砂の付着状態
  • メンテナンスの頻度と方法

とくに泥や砂を付着させたまま放置すると、金属表面の腐食が進行する原因となります。

使用後は必ず水洗いを行い、汚れを落としてから保管することが大切です。

また、オゾン劣化が少ないほど耐久性が高くなるため、保管場所の環境も寿命に影響します。

金属パネル自体は長寿命ですが、経年劣化によって歪みや変形が生じることもあります。

定期的に外観をチェックし、異常がないか確認する習慣をつけておきましょう。

止水ゴム(パッキン)の交換時期

止水ゴム(パッキン)は、止水板の性能を支える最も重要な部品です。

本体と設置面の隙間を塞いで水の浸入を防ぐ役割を担っており、この部品が劣化すると止水性能は著しく低下します。

止水ゴムは金属よりも劣化しやすい素材であり、交換時期の目安は保管環境によって大きく異なります。

一般的に、室内保管の場合は約3年、屋外設置の場合は約1年が交換の目安とされています。

止水ゴムに使用されるEPDMゴム発泡体は、耐候性に優れた素材ですが、それでも経年劣化は避けられません。

適切な保管とメンテナンスを行うことで、劣化を遅らせることは可能ですが、定期的な交換は必要不可欠です。

室内保管の場合

止水板を室内で保管している場合、止水ゴムの交換目安は約3年です。

室内保管では、紫外線や雨風、極端な温度変化から止水ゴムを守ることができるため、屋外設置に比べて劣化の進行が遅くなります。

ただし、室内であっても完全に劣化を防ぐことはできません。

以下のような環境では、3年を待たずに劣化が進む可能性があります。

  • 窓際など日光が当たる場所
  • 空調のない倉庫など温度変化が激しい場所
  • 湿度が高い場所
  • 止水ゴムに物が載った状態での保管

とくに注意したいのは、止水ゴムを圧縮した状態で保管してしまうことです。

ゴムが変形すると、設置時に隙間が生じて止水性能が低下する原因となります。

室内保管であっても、年に1度は止水ゴムの状態をチェックし、劣化の兆候がないか確認することをおすすめします。

屋外設置の場合

止水板を屋外に常設している場合、止水ゴムの交換目安は約1年と非常に短くなります。

屋外設置では、紫外線や雨風、温度変化などの影響を常に受け続けるため、劣化が急速に進行します。

とくに紫外線の影響は大きく、ゴムと紫外線が化学反応を起こすことで分子構造が変化し、亀裂や粘着性が生じます。

屋外設置で劣化を早める主な要因は以下のとおりです。

  • 直射日光による紫外線の影響
  • 雨や湿気による水分の浸透
  • 夏場の高温による軟化
  • 冬場の低温による硬化
  • 大気中のオゾンによる劣化

屋外に常設する場合は、止水ゴムの状態を頻繁にチェックする必要があります。

可能であれば、使用しないときは取り外して室内で保管することで、止水ゴムの寿命を延ばすことができます。

また、交換用の止水ゴムを常備しておくと、劣化を発見した際にすぐに対応できるため安心です。

その他の金属部品・可動部

止水板には、本体や止水ゴム以外にもさまざまな部品が使用されています。

ボルト、レバー、ヒンジ、支柱などの金属部品や可動部は、止水板を正しく設置するために欠かせない要素です。

これらの部品の耐用年数は、メーカーや製品によって異なりますが、一般的に金属部品は10〜15年程度の耐久性があります。

ただし、可動部は使用を重ねるごとに摩耗や緩みが生じるため、定期的なメンテナンスが必要です。

とくに注意が必要なのは、長期間使用しないまま放置した場合の固着です。

ボルトやレバーが固まってしまうと、緊急時に動かせないという事態を招きかねません。

実際に、いざ使おうとしたときに可動部が動かなかったというケースは珍しくありません。

その他の金属部品で注意すべきポイントは以下のとおりです。

  • ボルトの緩み:定期的な増し締めが必要
  • レバーの固着:グリスアップで動きを滑らかに保つ
  • 支柱の腐食:設置環境によっては錆が発生
  • ヒンジの摩耗:開閉動作の繰り返しで劣化

これらの部品は、本体や止水ゴムと比べて見落とされがちですが、止水板全体の機能を維持するためには欠かせません。

年に1〜2回の定期点検の際に、可動部の動作確認と必要に応じたメンテナンスを行うことが重要です。

耐用年数に影響を与える要因

止水板の耐用年数は、カタログに記載された数値どおりになるとは限りません。

実際の寿命は、さまざまな外部要因によって大きく左右されます。

とくに止水ゴムは環境の影響を受けやすく、設置場所や保管状況によって劣化のスピードが大きく異なります。

ここでは、止水板の耐用年数に影響を与える主な要因について詳しく解説します。

温度変化による影響

止水板の耐用年数に大きな影響を与える要因の一つが、温度変化です。

とくに止水ゴムは温度の影響を受けやすく、高温と低温の両方で劣化が進行します。

高温環境では、ゴムが軟化して粘着性を帯びることがあります。

この状態になると、ゴム同士がくっついてしまったり、設置面に張り付いて剥がれにくくなったりする問題が生じます。

一方、低温環境ではゴムが硬化して弾性を失います。

弾性を失ったゴムは、設置面の凹凸に追従できなくなり、隙間が生じて止水性能が低下します。

温度変化による劣化を防ぐためのポイントは以下のとおりです。

  • 直射日光が当たる場所での保管を避ける
  • 空調のない倉庫など極端な温度変化がある場所は避ける
  • 夏場は涼しい場所、冬場は極端に冷え込まない場所で保管
  • 屋外常設の場合はカバーなどで保護

とくに夏場の倉庫内は想像以上に高温になることがあります。

エアコンのない倉庫に保管する場合は、風通しの良い場所を選ぶなどの工夫が必要です。

紫外線による劣化

紫外線は、止水ゴムの劣化を引き起こす最大の要因の一つです。

ゴムと紫外線が化学反応を起こすと、ゴムの分子構造が変化してしまいます。

この化学反応によって、ゴムには亀裂や粘着性が生じます。

一度分子構造が変化してしまうと、元の状態に戻すことはできません。

紫外線による劣化の特徴は以下のとおりです。

  • 表面にひび割れが発生する
  • 色が変色する(白っぽくなる、黄ばむなど)
  • 表面がベタベタと粘着性を帯びる
  • 弾力が失われて硬くなる

紫外線は屋外だけでなく、窓から差し込む日光にも含まれています。

そのため、室内保管であっても窓際に置くことは避けるべきです。

紫外線による劣化を防ぐためには、日光が直接当たらない場所で保管することが最も効果的です。

やむを得ず屋外に設置する場合は、カバーをかけるなどして紫外線をできるだけ遮断しましょう。

油・溶剤・ガソリンとの接触

止水ゴムは、油や溶剤、ガソリンなどの化学物質に対して脆弱です。

これらの物質に触れると、ゴムが膨張してサイズや性質が変化してしまいます。

膨張したゴムは元のサイズに戻らないため、設置面との密着性が損なわれて止水性能が低下します。

とくに工場や駐車場、ガソリンスタンドなどに設置する場合は注意が必要です。

油や溶剤との接触で起こる問題は以下のとおりです。

  • ゴムの膨張によるサイズ変化
  • 弾力性の低下
  • 表面のベタつき
  • 亀裂の発生
  • 止水性能の著しい低下

これらの物質が止水ゴムに付着した場合は、すぐに拭き取って洗浄する必要があります。

放置すると劣化が急速に進行するため、早めの対処が重要です。

工場など油を扱う環境で使用する場合は、耐油性に優れた特殊なゴム素材を使用した製品を選ぶことも検討しましょう。

使用頻度と衝撃による摩耗

止水板の耐用年数は、使用頻度や取り扱い方によっても影響を受けます。

頻繁に設置と撤去を繰り返すと、止水ゴムや可動部の摩耗が進行します。

また、取り扱い時の衝撃も劣化を早める原因となります。

落としたり、ぶつけたりすることで、本体に歪みや傷が生じることがあります。

使用頻度や衝撃による影響を最小限に抑えるポイントは以下のとおりです。

  • 丁寧に取り扱い、落下や衝突を避ける
  • 設置・撤去時は無理な力をかけない
  • 運搬時は専用のケースやカバーを使用する
  • 訓練時も実際の使用と同様に丁寧に扱う

また、実際に浸水被害を受けた場合は、流されてきたガレキや流木が止水板に衝突することがあります。

衝撃を受けた後は、歪みや傷がないか入念にチェックすることが大切です。

劣化のサインを見逃さないチェックポイント

止水板は、いざというときに確実に機能することが求められます。

しかし、普段は保管したままになっていることが多く、劣化に気づきにくいという特徴があります。

定期的に点検を行い、劣化のサインを早期に発見することが重要です。

ここでは、止水板の劣化を見分けるための具体的なチェックポイントを解説します。

止水ゴムの亀裂・硬化・粘着

止水ゴムは止水板の中でもっとも劣化しやすい部品であり、重点的にチェックする必要があります。

劣化のサインは目視と触診で確認できますが、見た目に問題がなくても劣化が進んでいる場合があるため注意が必要です。

止水ゴムの劣化サインは以下のとおりです。

劣化の種類確認方法劣化時の状態
亀裂目視で確認表面に細かいひび割れがある
硬化指で押して確認押しても弾力がなく、すぐに戻らない
粘着手で触って確認表面がベタベタしている
変形目視で確認本来の形状から歪んでいる
変色目視で確認白っぽくなる、黄ばみがある

とくに重要なのは、触ったときの弾力です。

見た目に大きな傷がなくても、弾力が失われていたら交換のタイミングです。

弾力のないゴムは設置面に密着できないため、止水性能が大幅に低下します。

止水ゴムのチェックは、年に最低1度は行うようにしましょう。

劣化が見られた場合は、すぐに交換することで止水性能を維持できます。

金属部分の腐食・サビ

アルミニウムやステンレスは腐食に強い素材ですが、環境や手入れの状況によっては錆が発生することがあります。

とくに泥や砂を付着させたまま放置すると、腐食が進行しやすくなります。

金属部分のチェックポイントは以下のとおりです。

  • 表面に錆や変色がないか
  • 泥や砂が付着したままになっていないか
  • 傷や擦れがないか
  • 塗装が剥がれていないか

金属の腐食は、一度始まると進行を止めることが難しくなります。

早期に発見して対処することで、本体の寿命を延ばすことができます。

錆が発生した場合は、軽度であれば専用の錆取り剤で除去できることがあります。

ただし、腐食が進行している場合は、部品交換や本体の買い替えを検討する必要があります。

パネルの歪み・変形

止水板の本体パネルに歪みや変形があると、設置面との間に隙間が生じて止水性能が低下します。

歪みは落下や衝突などの衝撃によって生じることがほとんどですが、長期間の保管状態によっても発生する場合があります。

パネルの歪み・変形をチェックする際のポイントは以下のとおりです。

  • 平らな場所に置いて、ガタつきがないか確認
  • パネルの端が反っていないか目視で確認
  • 複数枚を連結する製品は、接合部に隙間がないか確認
  • 設置時に不自然な隙間が生じていないか確認

軽微な歪みであれば使用に支障がない場合もありますが、止水性能に影響がある場合は交換が必要です。

パネルの歪みは修理が難しいため、取り扱いには十分注意しましょう。

可動部の動作不良

ボルトやレバー、ヒンジなどの可動部は、長期間放置すると固着して動かなくなることがあります。

緊急時に止水板を設置しようとしたときに、可動部が動かないという事態は避けなければなりません。

可動部の動作確認で注意すべきポイントは以下のとおりです。

  • ボルトがスムーズに回るか
  • レバーが固まっていないか
  • ヒンジがスムーズに動くか
  • 緩みやガタつきがないか
  • 異音がしないか

可動部のチェックは、実際に動かしてみることが最も確実な方法です。

年に1〜2回の定期点検時には、必ず実際に設置作業を行って動作を確認しましょう。

動きが悪い場合は、グリスを塗布することで改善できることがあります。

固着が進行している場合は、無理に動かすと破損の原因となるため、メーカーに相談することをおすすめします。

止水板を長持ちさせるメンテナンス方法

止水板の耐用年数を最大限に延ばすためには、適切なメンテナンスが欠かせません。

メンテナンスといっても、特別な道具や専門知識は必要ありません。

基本的な手入れを定期的に行うことで、止水板の性能を長く維持することができます。

ここでは、止水板を長持ちさせるための具体的なメンテナンス方法を解説します。

使用後の水洗いと乾燥の重要性

止水板のメンテナンスで最も基本的かつ重要なのが、使用後の水洗いと乾燥です。

実際に浸水対策で使用した後は、泥や砂、落ち葉などさまざまな汚れが付着しています。

これらの汚れを放置すると、腐食やパッキンの破損につながります。

使用後のメンテナンス手順は以下のとおりです。

  1. 水道水で全体を洗い流す
  2. 中空部分がある製品は、中も水で洗い流す
  3. 布で汚れを拭き取る
  4. 十分に乾燥させる
  5. 乾燥後、保管場所に収納する

とくに「洗う → 拭く → しっかり乾燥」という流れを徹底することが大切です。

乾燥が不十分なまま保管すると、カビや錆の原因となります。

また、止水ゴムに付着した汚れは、劣化を早める原因となります。

ゴム部分は丁寧に洗浄し、異物が付着していないか確認しましょう。

パッキン・ゴム部の定期チェック

止水ゴム(パッキン)は止水性能を直接左右する重要な部品であり、定期的なチェックが欠かせません。

前述のとおり、止水ゴムは目視と触診でチェックすることができます。

チェック時に確認すべき項目は以下のとおりです。

  • ひび割れがないか
  • 硬化して弾力が失われていないか
  • 表面がベタベタしていないか
  • 変形や歪みがないか
  • 異物が挟まっていないか

止水ゴムの点検は、年に最低1度は行うことが推奨されています。

ただし、屋外設置の場合や使用頻度が高い場合は、より頻繁なチェックが必要です。

劣化の兆候が見られたら、ひどくなる前に早めの交換を検討しましょう。

パッキン交換だけで止水性能が大きく改善されるケースも多くあります。

可動部の増し締め・グリスアップ

ボルトやレバーなどの可動部は、使用を重ねるごとに緩みが出たり、固くなったりします。

これらのトラブルを防ぐためには、定期的な増し締めとグリスアップが効果的です。

可動部のメンテナンス方法は以下のとおりです。

部品メンテナンス方法頻度の目安
ボルト緩みがないか確認し、必要に応じて増し締め年1〜2回
レバー動きが悪い場合はグリスを塗布年1〜2回
ヒンジ潤滑油またはグリスを塗布年1〜2回
支柱錆や腐食がないか確認、必要に応じて防錆処理年1〜2回

増し締めの際は、締めすぎに注意が必要です。

過度に締めると、ボルトやねじ山を傷める原因となります。

グリスは市販のシリコングリスなどで問題ありませんが、止水ゴムに付着しないよう注意しましょう。

ゴムに油脂が付着すると、劣化を早める原因となります。

年1〜2回の定期点検の実施

止水板の性能を維持するためには、年に1〜2回の定期点検を行うことが重要です。

点検は、実際に設置作業を行う形で実施するのが最も効果的です。

定期点検で確認すべき項目は以下のとおりです。

  • 止水ゴムの状態(亀裂、硬化、粘着、変形)
  • 金属部分の腐食や錆
  • パネルの歪みや変形
  • 可動部の動作(ボルト、レバー、ヒンジ)
  • 部品の欠品や破損
  • 設置手順の確認

定期点検は、浸水被害の多い梅雨や台風シーズンの前に行うのがおすすめです。

点検と同時に設置訓練を行うことで、緊急時にも慌てずに対応できるようになります。

マンションや事業所などでは、防災訓練の一環として止水板の設置訓練を実施するケースも増えています。

点検結果は記録として残しておくと、劣化の進行状況を把握しやすくなります。

正しい保管方法で寿命を延ばす

止水板は、普段は使用せずに保管しておくことがほとんどです。

そのため、保管方法によって耐用年数が大きく左右されます。

適切な保管を行うことで、止水板の寿命を大幅に延ばすことができます。

ここでは、止水板を長持ちさせるための正しい保管方法について解説します。

直射日光・高温多湿を避ける

止水板の保管でもっとも重要なのは、直射日光を避けることです。

紫外線は止水ゴムの劣化を引き起こす最大の要因であり、日光が当たる場所に保管すると劣化が急速に進行します。

また、高温多湿の環境も止水板にとっては好ましくありません。

高温環境では止水ゴムが軟化し、多湿環境ではカビや錆の原因となります。

保管場所を選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

  • 日光が直接当たらない場所を選ぶ
  • 窓際は避ける(室内でも紫外線が届く)
  • 空調が効いた場所が理想的
  • 湿度が高くならない場所を選ぶ
  • 極端な温度変化がない場所を選ぶ

倉庫に保管する場合は、奥まった場所よりも風通しの良い場所を選びましょう。

ただし、倉庫の奥にしまい込みすぎると、緊急時に取り出せなくなる恐れがあります。

いざというときにすぐ取り出せる位置に保管することも重要なポイントです。

止水ゴムを潰さない保管姿勢

止水板の保管で見落としがちなのが、保管時の姿勢です。

止水ゴムを圧縮した状態で長期間保管すると、ゴムが変形して元に戻らなくなります。

変形した止水ゴムは設置面に密着できなくなり、止水性能が低下します。

止水ゴムを潰さないための保管方法は以下のとおりです。

  • 壁面にフックで吊るして保管
  • 立て掛けて保管(止水ゴムが床に接しないように)
  • 専用のラックに収納
  • 止水板の上に物を載せない
  • 複数枚を重ねる場合は止水ゴム同士が接触しないように間隔を空ける

とくに止水板の上に重い物を載せてしまうと、止水ゴムだけでなく本体パネルにも歪みが生じる可能性があります。

保管場所に十分なスペースを確保し、止水板を適切な状態で保管できるようにしましょう。

風通しの良い場所での管理

止水板は風通しの良い場所で保管することが推奨されています。

風通しが悪い場所では湿気がこもりやすく、カビや錆の原因となります。

また、使用後に乾燥が不十分なまま保管すると、内部に水分が残って腐食が進行することがあります。

風通しの良い保管環境を作るためのポイントは以下のとおりです。

  • 密閉された空間は避ける
  • 壁から少し離して設置する
  • 床に直接置かず、ラックや棚を使用する
  • 定期的に換気を行う
  • カバーをかける場合は通気性のある素材を選ぶ

屋外に保管することは推奨されていませんが、やむを得ない場合は防水カバーなどで保護しましょう。

ただし、完全に密閉するカバーは内部に結露が発生する原因となるため、通気性を確保することが大切です。

適切な保管環境を整えることで、止水板の耐用年数を最大限に延ばすことができます。

交換・買い替えのタイミング

止水板は適切なメンテナンスを行っていても、いつかは交換や買い替えが必要になります。

交換のタイミングを正しく判断することで、緊急時に止水板が機能しないという事態を防ぐことができます。

ここでは、部品交換で対応できるケースと本体交換が必要なケースについて解説します。

部品交換で対応できるケース

止水板の劣化がすべて本体交換につながるわけではありません。

多くの場合、劣化した部品のみを交換することで、止水性能を回復させることができます。

部品交換で対応できるケースは以下のとおりです。

  • 止水ゴム(パッキン)の劣化:ひび割れ、硬化、粘着など
  • ボルトやねじの緩みや破損
  • レバーやハンドルの動作不良
  • パッキン以外のゴム部品の劣化

とくに止水ゴムは消耗品として位置づけられており、定期的な交換が前提となっています。

止水ゴムの交換だけで止水性能が大幅に改善されるケースも多いため、まずは部品交換を検討しましょう。

部品交換のメリットは以下のとおりです。

  • 本体を買い替えるよりもコストが抑えられる
  • 交換作業が比較的簡単
  • 愛着のある製品を長く使い続けられる
  • 環境への負荷が少ない

ただし、部品の入手可能性はメーカーや製品によって異なります。

購入前に、交換部品の入手方法と価格を確認しておくと安心です。

本体交換が必要なケース

部品交換では対応できない劣化や損傷がある場合は、本体の交換が必要になります。

本体交換を検討すべきケースは以下のとおりです。

  • 本体パネルに大きな歪みや変形がある
  • 金属部分の腐食が進行している
  • 溶接部分が外れている、または亀裂が入っている
  • 複数の部品が同時に劣化している
  • 交換部品が入手できない
  • 設置環境が変わり、現在の製品では対応できない

本体の歪みや腐食は修理が困難であり、無理に使用すると止水性能が発揮できません。

また、耐用年数の10〜15年を超えている場合は、本体交換を前向きに検討することをおすすめします。

本体交換は費用がかかりますが、止水板は建物を浸水被害から守る重要な設備です。

性能が低下した状態で使用し続けるリスクと比較して、判断することが大切です。

メーカーへの相談と点検依頼

止水板の交換や買い替えを検討する際は、メーカーや販売店に相談することをおすすめします。

専門家による点検を受けることで、より正確な判断ができます。

メーカーに相談すべきケースは以下のとおりです。

  • 劣化の程度が自分では判断できない
  • 部品交換と本体交換のどちらが適切かわからない
  • 交換部品の入手方法がわからない
  • 新しい製品への買い替えを検討している
  • 設置環境に最適な製品を選びたい

多くのメーカーでは、点検サービスやメンテナンスサポートを提供しています。

保証期間内であれば無償で対応してもらえる場合もあるため、まずは問い合わせてみましょう。

また、止水板の導入から10年以上経過している場合は、技術の進歩により性能が向上した新製品が登場している可能性があります。

買い替えを機に、より高性能な製品にアップグレードすることも選択肢の一つです。

浸水対策なら止水板「水用心」がおすすめ!

これから止水板の導入を検討している方、または買い替えを考えている方におすすめしたいのが、止水板「水用心」です。

「水用心」は、国内シェアNo.1のアルミメーカーであるUACJが自社工場で一貫生産する高品質な止水板です。

上場企業による製造で品質への信頼性が高く、高い止水性能とコストパフォーマンスを両立しています。

「水用心」の主な特徴は以下のとおりです。

  • 土のうの約100倍の優れた止水性能(JIS A 4716 Ws-3クラス相当)
  • 自社工場での一貫生産により、他社製品と比較して約20〜90%のコストカット
  • 軽量設計で大人1人でも1分程度で簡単設置
  • 2段重ねで浸水深さ1.1mまで対応可能
  • 耐久性に優れたアルミニウム合金製

止水ゴムには耐候性に優れたEPDMゴム発泡体を使用しており、適切な保管を行えば10〜15年の耐久性があります。

また、止水ゴムが劣化した場合は有償で交換対応が可能なため、長期にわたって使用し続けることができます。

設置方法も豊富で、ダブルクリップ仕様、落とし込み(ノブボルト)仕様、落とし込み(ハンドル)仕様、マグネット仕様など、設置場所や用途に合わせて選択できます。

写真とサイズを送るだけで設置可否と概算見積がわかるため、まずは気軽にお問い合わせください。

全国各地域から即日〜4日以内で見積もりを承っており、地域によっては補助金も活用できます。

まとめ

本記事では、止水板の耐用年数について部材別に詳しく解説しました。

最後に、重要なポイントを整理しておきましょう。

止水板の耐用年数に関する重要ポイントは以下のとおりです。

  • 止水板全体の耐用年数は10〜15年が目安
  • 止水ゴムは室内保管で約3年、屋外設置で約1年が交換目安
  • 金属パネルは素材によっては30年程度使用できるものもある
  • 温度変化、紫外線、油・溶剤との接触が劣化を早める主な要因
  • 劣化のサインは止水ゴム、金属部分、可動部に現れやすい

止水板を長持ちさせるためのメンテナンスと保管のポイントは以下のとおりです。

  • 使用後は「洗う → 拭く → しっかり乾燥」を徹底する
  • 止水ゴムの定期チェックと早めの交換が重要
  • 可動部は年1回の増し締め・グリスアップで動作不良を防ぐ
  • 直射日光と高温多湿を避けて保管する
  • 止水ゴムを潰さない姿勢で保管する

止水板は、適切なメンテナンスと保管を行うことで、その性能を長く維持することができます。

定期的な点検を習慣づけ、劣化のサインを早期に発見することが、緊急時に止水板を確実に機能させるための鍵となります。

これから止水板の導入を検討している方は、耐用年数やメンテナンス性も考慮して製品を選びましょう。

すでに止水板を設置している方は、この機会に一度点検を行い、劣化がないか確認してみてはいかがでしょうか。

浸水対策は建物を守るだけでなく、日常の安心にもつながります。

備えあれば憂いなしという言葉のとおり、いざというときに備えて、止水板を万全の状態で管理しておきましょう。