近年、日本各地でゲリラ豪雨や台風による水害が頻発しており、倉庫を運営する企業にとって浸水被害は深刻なリスクとなっています。
とくに倉庫は大量の商品や原材料を保管しているため、ひとたび浸水すれば、その損害額は一般住宅とは比較にならないほど大きくなります。
「うちの倉庫は大丈夫だろう」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、これまで被害のなかった地域で突然浸水が発生するケースが増えているのが現状です。
そこで本記事では、倉庫の浸水対策として今すぐ実践できる具体的な方法を10選ご紹介します。
事前準備から緊急時の対応、そして被災後の復旧計画まで網羅的に解説していますので、ぜひ最後までお読みいただき、自社の浸水対策を見直すきっかけにしてください。
倉庫で浸水対策が必要な理由

倉庫における浸水対策の重要性は、年々高まっています。
その背景には、気候変動の影響により、かつては想定されなかった規模の豪雨が日本各地で発生するようになったことが挙げられます。
倉庫は大量の商品や原材料を保管する施設であり、ひとたび浸水被害を受けると、企業経営に甚大な影響を及ぼしかねません。
ここでは、なぜ今、倉庫の浸水対策が急務となっているのか、その背景と具体的な被害について詳しく解説していきます。
近年の水害リスクの高まり
日本における水害リスクは、ここ数十年で大きく変化しています。
気象庁が公表しているデータによると、全国で1時間あたり50mm以上の降水量を記録した回数は、1976年から1985年の平均で約226回だったのに対し、2011年から2020年の平均では約334回にまで増加しており、およそ1.5倍に達しています。
さらに注目すべきは、1時間あたり80mm以上の猛烈な雨の発生回数で、こちらは同じ期間で比較すると約1.9倍にまで増加しているのです。
このデータが示しているのは、短時間に集中して降る激しい雨が確実に増えているという事実です。
| 降水量の区分 | 1976〜1985年平均 | 2011〜2020年平均 | 増加率 |
|---|---|---|---|
| 1時間あたり50mm以上 | 約226回 | 約334回 | 約1.5倍 |
| 1時間あたり80mm以上 | ― | ― | 約1.9倍 |
このような気象条件の変化は、河川の氾濫や内水氾濫のリスクを高める要因となっています。
内水氾濫とは、排水能力を超える大量の雨水が地表にあふれ出す現象のことで、河川から離れた場所でも発生する可能性があります。
そのため、従来は水害と無縁だと思われていた地域でも、突然の浸水被害が発生するケースが増えているのです。
倉庫が立地するエリアに過去の浸水履歴がなかったとしても、決して安心はできません。
気候変動による異常気象は今後も続くと予測されているため、すべての倉庫において浸水対策の見直しが求められる時代になっています。
浸水被害が倉庫にもたらす影響

倉庫が浸水被害を受けた場合、その影響は多岐にわたります。
単に建物が水に浸かるだけでなく、保管している商品や設備、さらには企業の信用にまで深刻なダメージを与える可能性があるのです。
浸水被害の影響を正しく理解しておくことで、事前対策の重要性がより明確になります。
以下では、倉庫における浸水被害の主な影響を、物理的な損害と経済的な損失という2つの観点から詳しく見ていきましょう。
保管物品・設備への損害
倉庫の浸水被害でもっとも直接的な影響を受けるのが、保管している物品と設備機器です。
床面に置かれた商品や原材料は、わずか数センチの浸水でも使用不能になることがあり、とくに食品、医薬品、電子機器、紙製品などは、水に触れた時点で商品価値を完全に失ってしまいます。
倉庫内の設備についても、深刻な被害が生じる可能性があります。
たとえば、フォークリフトやコンベアなどの荷役機器は、電気系統が水没すると故障の原因となり、修理には多額の費用がかかるうえ、部品の調達に時間を要するケースも少なくありません。
| 被害の種類 | 具体例 | 想定される損害 |
|---|---|---|
| 商品・原材料の損傷 | 食品の腐敗、電子機器の故障、紙製品の変形 | 廃棄処分、在庫損失 |
| 設備機器の故障 | フォークリフト、コンベア、空調設備の水没 | 修理費用、買い替え費用 |
| 建物の汚損 | 床材の変形、壁の汚れ、カビの発生 | 清掃費用、修繕費用 |
| データの消失 | パソコン、サーバーの水没 | 顧客情報・在庫データの復旧費用 |
さらに見落としがちなのが、パソコンやサーバーなどのIT機器への被害です。
顧客データや在庫管理データが消失した場合、業務の再開に大きな支障をきたすだけでなく、取引先との関係にも悪影響を及ぼしかねません。
このように浸水被害は、目に見える物理的な損害だけでなく、情報資産の喪失という形でも企業に打撃を与えるのです。
事業停止による経済的損失
浸水被害の影響は、物品や設備の損害だけにとどまりません。
倉庫が機能停止することで発生する間接的な経済損失も、非常に大きなものになります。
倉庫が浸水すると、まず出荷作業が停止し、取引先への納品が遅れることになります。
納期遅延が発生すれば、違約金やペナルティが発生する可能性があるだけでなく、長期にわたる遅延は取引先との信頼関係を損ない、最悪の場合、契約解除につながることもあります。
復旧作業にかかる時間とコストも無視できない問題です。
浸水した倉庫の復旧には、排水作業、清掃、消毒、設備の点検・修理など、多くの工程が必要となります。
復旧が完了するまでの間、売上はゼロになる一方で、人件費や固定費は発生し続けるため、企業の財務状況に大きな負担がかかります。
- 出荷停止による売上の減少
- 納期遅延に伴う違約金・ペナルティの発生
- 取引先からの信頼低下と契約解除のリスク
- 復旧作業にかかる人件費・外注費
- 代替倉庫の確保にかかる緊急コスト
- 従業員の休業補償
このような経済的損失は、浸水被害の規模によっては数千万円から数億円に達することもあり、中小企業にとっては事業継続そのものが危ぶまれる事態になりかねません。
だからこそ、事前の浸水対策によって被害を最小限に抑えることが、企業経営において極めて重要なのです。
倉庫で今すぐ実践できる浸水対策10選
ここからは、倉庫の浸水対策として具体的に実践できる方法を10項目にわたってご紹介します。
すべてを一度に実施することは難しいかもしれませんが、優先度の高いものから順に取り組むことで、浸水リスクを大幅に軽減できます。
自社の倉庫の状況に照らし合わせながら、どの対策が必要かを検討してみてください。
ハザードマップで浸水リスクを確認する

浸水対策の第一歩は、自社の倉庫がどの程度の水害リスクにさらされているかを正確に把握することです。
そのために活用したいのが、国土交通省が公開している「ハザードマップポータルサイト」で、ここでは洪水、土砂災害、高潮、津波などのリスクを地図上で確認できます。
ハザードマップでは、想定される浸水の深さが色分けで示されているため、自社の倉庫が立地するエリアがどの程度の浸水リスクを抱えているかを、具体的な数値で把握することが可能です。
| 浸水深の目安 | 想定される状況 |
|---|---|
| 0.5m未満 | 床下浸水、床上浸水の可能性 |
| 0.5m〜3m | 1階部分が水没、避難が困難になる |
| 3m以上 | 2階部分まで浸水、生命に危険が及ぶ |
ハザードマップを確認したら、その結果を社内で共有することが大切です。
倉庫の管理者だけでなく、現場で働く従業員全員がリスクを認識しておくことで、緊急時の対応がスムーズになります。
また、気象庁が提供する「キキクル」というサービスでは、リアルタイムで水害の危険度を確認できるため、大雨が予想される際にはこのサービスを活用して最新の情報を入手しましょう。
なお、ハザードマップは定期的に更新されることがあるため、年に1回程度は最新版を確認する習慣をつけておくと安心です。
土のう・止水板を準備する

浸水対策の基本となるのが、土のうと止水板の準備です。
これらを建物の入り口や水の侵入が予想される箇所に設置することで、倉庫内への水の流入を効果的に防ぐことができます。
土のうは、中に砂や土を詰めて使用する袋状の資材で、ホームセンターなどで手軽に入手でき、比較的安価に浸水対策を始められるというメリットがあります。
ただし、土のうには保管スペースが必要であり、設置時には複数人の人手が求められるというデメリットもあるため、注意が必要です。
最近では、水に浸すと膨らむ「水土のう」という製品も登場しており、乾燥状態ではコンパクトに保管でき、緊急時に水をかけるだけで使用できるため、保管場所に限りがある倉庫にも適しています。
| 対策資材 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 土のう | 安価、入手しやすい | 保管スペースが必要、設置に人手がかかる |
| 水土のう | コンパクト、軽量で保管しやすい | 膨張に時間がかかる場合がある |
| 止水板 | 高い止水性能、繰り返し使用可能 | 初期導入コストが高い |
一方、止水板は、アルミや樹脂などでできたパネル状の製品で、開口部に設置して水をせき止める役割を果たします。
土のうよりも止水性能が高く、設置・撤去も短時間で行えるのが特徴で、導入コストは土のうより高くなりますが、長期的に見れば繰り返し使用できるため、コストパフォーマンスに優れています。
いずれの資材を選ぶにしても、いざというときにすぐ使える場所に保管しておくことが重要であり、保管場所を従業員全員に周知し、定期的に使用方法の訓練を行っておきましょう。
防水扉や防水壁を設置する
より高いレベルの浸水対策を求める場合は、防水扉や防水壁の設置を検討する価値があります。
これらは建物の開口部を物理的に遮断し、水の侵入を防ぐための設備で、土のうや止水板よりも確実な防御が可能です。
防水扉は、通常の扉と同じように開閉できますが、水圧に耐える構造になっており、シャッター型の製品もあるため、大きな開口部を持つ倉庫にも対応可能です。
防水壁は、建物の周囲を囲むように設置する壁状の設備で、水だけでなく、流されてきた漂流物から建物を守る効果も期待できます。
- 防水扉:開口部に設置し、水圧に耐えて浸水を防ぐ
- 防水壁:建物の周囲を囲み、水と漂流物から守る
- 防水シャッター:大型開口部に適した巻き上げ式の設備
これらの設備は導入コストが高額になりますが、浸水被害による損失額を考慮すれば、十分に投資価値のある対策といえるでしょう。
とくにハザードマップで浸水リスクが高いと判定されたエリアに立地する倉庫では、早期の導入を検討すべきです。
設置にあたっては、専門業者による現地調査が必要となるため、建物の構造や開口部のサイズに合わせた最適な製品を選定してもらいましょう。
排水設備を定期的にメンテナンスする
倉庫の浸水対策において、見落とされがちなのが排水設備のメンテナンスです。
排水溝や雨どいが詰まっていると、大雨の際に水が適切に排出されず、建物周辺に水が溜まりやすくなり、浸水リスクが高まってしまいます。
排水設備のメンテナンスとして、具体的には以下の点検・清掃を定期的に行いましょう。
- 排水溝のゴミや落ち葉の除去
- 雨どいの詰まりチェックと清掃
- 排水ポンプの動作確認
- 逆流防止弁の点検と整備
とくに秋から冬にかけては、落ち葉が排水溝に詰まりやすい季節であるため、この時期には重点的に清掃を行い、排水機能を維持しておくことが大切です。
| 点検箇所 | 点検頻度の目安 | 主な作業内容 |
|---|---|---|
| 排水溝 | 月1回 | ゴミ・落ち葉の除去、流れの確認 |
| 雨どい | 季節ごと | 詰まりの除去、破損チェック |
| 排水ポンプ | 年2回 | 動作テスト、異音の確認 |
| 逆流防止弁 | 年1回 | 弁の動作確認、パッキンの状態確認 |
排水設備の不具合は、浸水被害を拡大させる直接的な原因になるため、日頃からの点検・メンテナンスを怠らないようにしましょう。
専門的な点検が必要な場合は、設備業者に依頼することも検討してください。
保管物品を高い位置に配置する
浸水被害を最小限に抑えるための基本的な対策として、保管物品の配置見直しが挙げられます。
床面に直接置かれた商品や原材料は、わずかな浸水でも被害を受けてしまうため、重要度の高い物品や水に弱い商品は、できるだけ高い位置に保管するようにしましょう。
具体的には、以下のような配置の工夫が有効です。
- パレットや棚を活用し、床から30cm以上の高さに保管する
- 重要書類や電子機器は、2階以上のフロアに移動する
- 床置きの設備は、かさ上げ台を使用して高さを確保する
- 水に弱い原材料は、防水性の高い容器に入れて保管する
とくに顧客から預かっている商品や、代替が難しい原材料については、優先的に高所への移動を検討してください。
| 保管場所 | 浸水リスク | 推奨される対策 |
|---|---|---|
| 床面直置き | 非常に高い | パレット・棚への移動 |
| 棚の下段 | 高い | 重要度の低い物品のみ配置 |
| 棚の上段 | 低い | 重要書類・高価な商品を配置 |
| 2階以上 | 極めて低い | 絶対に濡らせない物品を配置 |
また、床に物を置かないことは、避難経路の確保にもつながります。
緊急時にスムーズな避難ができるよう、通路には物品を置かない習慣を徹底しましょう。
吸水シートなど緊急用資材を備蓄する
万が一、倉庫内に水が浸入した場合に備えて、緊急用の吸水資材を備蓄しておくことも重要です。
軽微な浸水であれば、吸水性の高い資材を使って早期に対処することで、被害の拡大を防ぐことができます。
備蓄しておきたい緊急用資材には、以下のようなものがあります。
- 吸水シート・吸水マット
- 吸水性の高いモップ
- 水を吸引できる業務用掃除機
- スポンジローラー
- バケツ、ちりとり
吸水シートは、入り口付近に敷いておくことで、少量の水の侵入を防ぐ効果があるため、緊急時に素早く対応できるよう、使いやすい場所に保管しておきましょう。
| 資材名 | 用途 | 保管数量の目安 |
|---|---|---|
| 吸水シート | 入り口付近の水の侵入防止 | 開口部1箇所につき5〜10枚 |
| 吸水マット | 床面の水の拡散防止 | 倉庫面積に応じて適宜 |
| 業務用掃除機(乾湿両用) | 浸入した水の吸引・排水 | 倉庫1棟につき1〜2台 |
| モップ・スポンジローラー | 残った水分の拭き取り | 適宜 |
これらの資材は、使用期限が切れていないか、劣化していないかを定期的に確認することも大切で、いざというときに使えない状態では意味がありません。
年に1回程度は備蓄品の点検を行い、必要に応じて補充・交換するようにしましょう。
非常用電源を確保する

大規模な水害が発生すると、停電が長期化することがあります。
倉庫が停電すると、照明や空調だけでなく、セキュリティシステムや通信機器も使用できなくなるため、非常用電源を確保しておくことで、停電時でも最低限の業務継続が可能になります。
非常用電源としては、以下のような選択肢があります。
- 発電機(ガソリン式・ディーゼル式)
- 蓄電池・ポータブル電源
- 無停電電源装置(UPS)
発電機は大容量の電力を供給できますが、燃料の管理や騒音への配慮が必要です。
一方、蓄電池やポータブル電源は、静かで扱いやすいものの、供給できる電力量に限りがあるため、用途に応じて適切な機器を選ぶ必要があります。
| 電源の種類 | 供給電力 | 稼働時間 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 発電機 | 大容量 | 燃料がある限り | 倉庫全体の電力供給 |
| 蓄電池 | 中〜大容量 | 数時間〜数日 | 重要機器のバックアップ |
| UPS | 小〜中容量 | 数分〜数時間 | サーバー・PCの瞬断防止 |
とくに重要なのは、サーバーやパソコンなどのIT機器への電力供給です。
停電によるデータ消失を防ぐため、UPS(無停電電源装置)を導入しておくことをおすすめします。
また、非常用電源は定期的に動作確認を行い、いつでも使用できる状態に保っておくことが大切です。
重要データをクラウドにバックアップする
浸水被害でパソコンやサーバーが水没すると、保存されていたデータが消失するリスクがあります。
顧客情報、在庫データ、取引履歴などの重要データは、クラウドサービスを活用してバックアップしておくことで、このリスクを大幅に軽減できます。
クラウドバックアップには、以下のようなメリットがあります。
- 物理的な災害の影響を受けにくい
- 複数の拠点からデータにアクセスできる
- 自動バックアップ機能により、手間がかからない
- データの復旧が容易
| バックアップ方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| クラウドバックアップ | 災害に強い、自動化が容易 | 月額費用が発生、通信環境が必要 |
| 外付けHDD | 低コスト、大容量 | 浸水で同時に被災するリスクあり |
| 遠隔地へのデータ転送 | 分散保管で安心 | 運用の手間がかかる |
バックアップは、1日1回など定期的に実施する設定にしておくことが大切で、さらにバックアップデータが正常に復元できるかどうかも、定期的にテストしておく必要があります。
クラウドサービスを選ぶ際は、セキュリティ体制やデータセンターの立地なども確認し、信頼性の高いサービスを選ぶことで、安心してデータを預けられます。
避難経路を確保し定期的に訓練を行う

浸水対策において、従業員の安全確保は最優先事項です。
倉庫内の避難経路を明確にし、緊急時にスムーズに避難できる体制を整えておくことが、人命を守るうえで不可欠です。
避難経路を確保するためには、以下の点に注意が必要です。
- 通路に物品を置かず、常に通行可能な状態を維持する
- 避難経路を示す表示を設置し、従業員に周知する
- 出口付近に障害物がないか、定期的に確認する
- 複数の避難経路を確保し、1つが使えない場合に備える
| 確認項目 | 確認頻度 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 避難経路の通行確保 | 毎日 | 通路に物品が置かれていないか |
| 避難口の開閉確認 | 週1回 | 扉がスムーズに開くか |
| 避難経路の表示 | 月1回 | 表示が見えやすいか、破損していないか |
| 避難訓練の実施 | 年2回以上 | 全従業員が参加しているか |
避難訓練は、年に2回以上実施することが望ましく、訓練を通じて、従業員一人ひとりが避難経路を確認し、緊急時の行動を体で覚えることができます。
訓練の際には、安否確認の方法や集合場所の確認も合わせて行い、実際の災害時に混乱しないよう、繰り返し訓練することが大切です。
保管拠点の分散を検討する
倉庫が特定のエリアに集中している場合、そのエリアが被災すると事業全体に甚大な影響が及びます。
リスク分散の観点から、保管拠点を複数に分けることを検討することは、長期的な事業継続のために重要な戦略です。
拠点分散のメリットは、以下のとおりです。
- 1つの拠点が被災しても、他の拠点で事業を継続できる
- 特定エリアの災害リスクに依存しなくなる
- 取引先への供給停止リスクを軽減できる
- BCP(事業継続計画)の実効性が高まる
| 拠点数 | リスク分散効果 | コスト | 運用の複雑さ |
|---|---|---|---|
| 1拠点 | 低い | 低い | シンプル |
| 2拠点 | 中程度 | 中程度 | やや複雑 |
| 3拠点以上 | 高い | 高い | 複雑 |
拠点を分散する際は、ハザードマップを参考に、水害リスクの低いエリアを選ぶことが重要で、同じ河川流域に複数の拠点を置くと、同時に被災するリスクがあるため注意が必要です。
拠点分散にはコストがかかりますが、被災時の損失額と比較して検討してみてください。
完全な分散が難しい場合は、重要度の高い商品だけでも別拠点に保管するという方法も有効です。
浸水発生時の緊急対応マニュアルの作り方

事前の浸水対策を万全にしていても、想定を超える災害が発生する可能性はゼロではありません。
そのような事態に備えて、浸水発生時の緊急対応マニュアルを作成しておくことが重要です。
マニュアルがあれば、緊急時でも冷静に対応でき、被害の拡大を防ぐことができます。
ここでは、効果的な緊急対応マニュアルの作成方法について解説します。
初動対応の手順を明確にする
浸水被害の規模を左右するのは、発生直後の初動対応です。
適切な初動対応ができれば、被害を最小限に抑えられる可能性が高まるため、事前に手順を明確にしておくことが非常に重要です。
初動対応の手順として、以下の項目を明確にしておきましょう。
- 気象情報・河川水位の確認方法
- 従業員への一斉連絡の手順
- 土のう・止水板の設置手順と担当者
- 機器の電源遮断の手順
- 重要書類・データの避難手順
- 従業員の避難開始の判断基準
| 対応フェーズ | 具体的な行動 | 判断のタイミング |
|---|---|---|
| 警戒段階 | 気象情報の監視、止水準備 | 大雨警報発令時 |
| 準備段階 | 土のう設置、重要物品の移動 | 浸水の恐れが高まったとき |
| 避難段階 | 従業員の避難、機器の電源遮断 | 浸水開始または避難指示発令時 |
| 事後対応 | 被害状況の確認、復旧作業開始 | 安全が確認されたとき |
初動対応の手順は、フローチャート形式で整理しておくと分かりやすくなり、誰がいつ何をすべきかが一目で分かるようにしておくことが大切です。
マニュアルは作成して終わりではなく、定期的な訓練を通じて従業員に浸透させることで、初めて実効性のあるものになります。
従業員の役割分担を決めておく
緊急時に混乱なく対応するためには、事前に役割分担を決めておく必要があります。
誰が何を担当するのかが明確になっていないと、重要な作業が漏れたり、複数人が同じ作業に集中したりする事態が起こり、対応が遅れてしまいます。
役割分担を決める際には、以下の役割を設定しましょう。
| 役割 | 主な担当業務 | 必要なスキル・条件 |
|---|---|---|
| 指揮者 | 全体の指揮、判断、外部への連絡 | 意思決定権限を持つ者 |
| 情報収集担当 | 気象情報・被害情報の収集と共有 | 情報機器の操作スキル |
| 止水作業担当 | 土のう・止水板の設置 | 体力、設置訓練の経験 |
| 物品避難担当 | 重要物品の高所への移動 | 倉庫内の配置を熟知 |
| 避難誘導担当 | 従業員の安全な避難を誘導 | 避難経路の把握 |
| 安否確認担当 | 従業員の安否確認、集計 | 連絡先リストの管理 |
役割分担を決める際に重要なのは、正担当と副担当を設定しておくことです。
正担当が不在の場合でも、副担当が代わりに対応できる体制を整えておくことで、緊急時でも確実に対応できます。
役割分担表は、従業員全員が確認できる場所に掲示し、緊急時にすぐ参照できるようにしておきましょう。
緊急連絡網を整備する
災害発生時に迅速な情報共有を行うためには、緊急連絡網の整備が不可欠です。
連絡網が整備されていないと、重要な情報が伝わらなかったり、伝達に時間がかかったりして、対応が遅れる原因になります。
緊急連絡網を作成する際のポイントは、以下のとおりです。
- 従業員全員の緊急連絡先(携帯電話、メールアドレス)を把握する
- 連絡の順番と担当者を明確にする
- 複数の連絡手段を確保する(電話、メール、SNS、災害用伝言ダイヤルなど)
- 連絡が取れない場合の代替手順を決めておく
- 定期的に連絡先情報を更新する
| 連絡手段 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 電話 | 即時性が高い、確実に伝わる | 回線混雑時につながりにくい |
| メール | 一斉送信が可能、記録が残る | 確認に時間がかかることがある |
| SNS・チャットアプリ | グループで情報共有しやすい | アプリ未登録者には届かない |
| 災害用伝言ダイヤル | 回線混雑時でも利用しやすい | 使い方を事前に把握しておく必要がある |
緊急連絡網は、年に1回以上は連絡テストを実施し、正常に機能するか確認することが重要です。
また、従業員の異動や連絡先の変更があった場合は、速やかに更新することも忘れずに行ってください。
被災後の早期復旧に向けたBCP対策

浸水被害を受けた後、いかに早く事業を再開できるかは、企業の存続に関わる重要な問題です。
BCP(事業継続計画)を事前に策定しておくことで、被災後の復旧をスムーズに進め、事業への影響を最小限に抑えることができます。
ここでは、BCP対策の重要性と、具体的な策定のポイントについて解説します。
BCP(事業継続計画)の重要性
BCPとは、Business Continuity Planの略で、災害や事故などの緊急事態が発生した際に、事業を継続または早期に復旧するための計画のことを指します。
倉庫が浸水被害を受けた場合、BCPがあるかないかで復旧のスピードに大きな差が生まれます。
BCPを策定しておくことで得られるメリットは、以下のとおりです。
- 緊急時の対応手順が明確になり、混乱を防げる
- 優先すべき業務が明確になり、リソースを効率的に配分できる
- 取引先や顧客への影響を最小限に抑えられる
- 従業員の安全確保と事業継続を両立できる
- 企業の信頼性向上につながる
| BCP有無 | 復旧までの期間 | 取引先への影響 | 企業の信頼性 |
|---|---|---|---|
| BCPあり | 短期間で復旧可能 | 最小限に抑えられる | 維持・向上 |
| BCPなし | 長期化するリスク | 契約解除のリスク | 低下の恐れ |
BCPは、作成しただけでは十分な効果を発揮しません。
定期的に見直しを行い、訓練を通じて実効性を高めていくことが大切であり、また、BCPの内容を従業員全員に周知し、緊急時に各自が適切に行動できるようにしておく必要があります。
復旧手順と優先順位の策定
BCPを策定する際には、復旧作業の手順と優先順位を明確にしておく必要があります。
被災後は限られた人員と時間の中で復旧作業を進めなければならないため、何から手をつけるべきかを事前に決めておくことが、迅速な復旧につながります。
復旧の優先順位を決める際の基準は、以下のとおりです。
- 従業員の安全確保に関わる作業
- 取引先への影響が大きい業務の復旧
- 売上への影響が大きい業務の復旧
- 法令遵守に関わる業務の復旧
| 優先度 | 作業内容 | 目標復旧時間 |
|---|---|---|
| 最優先 | 従業員の安全確認、二次災害防止 | 被災直後 |
| 高 | 被害状況の確認・記録、保険会社への連絡 | 24時間以内 |
| 中 | 重要取引先への連絡、代替手段の確保 | 48時間以内 |
| 低 | 通常業務の段階的再開 | 1週間以内 |
復旧作業の具体的な手順としては、以下のような流れが一般的です。
- 浸水範囲と深さの確認、記録(写真撮影)
- 建物や設備の被害状況の確認、記録
- 建物内の排水作業
- 泥や汚れの除去、消毒
- 電気系統の安全確認(専門業者に依頼)
- 設備機器の点検、修理または交換
- 在庫の被害確認、廃棄処分
- 業務再開に向けた準備
復旧作業は自社だけで対応することが難しい場合もあるため、電気工事業者、清掃業者、廃棄物処理業者など、緊急時に依頼できる業者を事前にリストアップしておくことをおすすめします。
倉庫の浸水対策には止水板「水用心」がおすすめ

倉庫の浸水対策として止水板の導入を検討されている方には、「水用心」という製品がおすすめです。
水用心は、国内シェアNo.1のアルミメーカーであるUACJが製造する高品質な止水板で、自社工場での一貫生産により、高い止水性能と導入しやすい価格を両立しています。
水用心の主な特徴は、以下のとおりです。
| 項目 | 水用心の特徴 |
|---|---|
| 止水性能 | JIS A 4716 Ws-3クラス相当、土のうの約100倍の止水性能 |
| 素材 | 軽量で耐食性に優れたアルミニウム合金 |
| 重量 | 高さ450mm×幅1,000mmで約6kg、大人1人で設置可能 |
| 設置時間 | 特別な工具不要、約1分で簡単取り付け |
| 対応サイズ | 高さ最大1.1m、幅は3mを超える開口部にも対応可能 |
| 価格 | 他社製品と比較して約20〜90%のコストカットを実現 |
水用心が多くの企業に選ばれている理由としては、水圧を利用して密着させる機構により、シンプルな構造ながら優れた止水性能を発揮する点が挙げられます。
また、軽量設計で保管スペースを取らず、緊急時にも素早く設置できるため、倉庫のような大きな開口部を持つ施設にも最適です。
京都大学との共同実験で性能が実証されていることも、信頼性の高さを裏付けています。
設置場所に合わせたカスタマイズにも柔軟に対応しており、写真とサイズを送るだけで設置可否と概算見積りがわかるため、導入検討のハードルが低いのも特徴です。
倉庫のシャッターや出入り口など、大きな開口部を持つ施設への導入を検討される場合は、まず現地調査と概算見積りを依頼してみてください。
地域によっては補助金を活用できる場合もあるため、合わせて相談してみることをおすすめします。
まとめ

本記事では、倉庫の浸水対策について、事前準備から緊急時の対応、そして復旧計画まで幅広く解説してきました。
近年の気候変動により、水害リスクは全国的に高まっており、これまで被害のなかった地域でも、突然の浸水被害が発生する可能性があることを認識しておく必要があります。
本記事でご紹介した浸水対策10選のポイントを、あらためて振り返ります。
- ハザードマップで自社倉庫の浸水リスクを把握する
- 土のう・止水板など、水の侵入を防ぐ資材を準備する
- 防水扉や防水壁など、より高度な設備の導入を検討する
- 排水設備を定期的にメンテナンスし、排水機能を維持する
- 保管物品を高い位置に配置し、浸水時の被害を軽減する
- 吸水シートなど緊急用資材を備蓄しておく
- 非常用電源を確保し、停電時のリスクに備える
- 重要データはクラウドにバックアップする
- 避難経路を確保し、定期的に避難訓練を実施する
- 保管拠点の分散でリスクを軽減する
これらの対策を一度にすべて実施することは難しいかもしれませんが、優先度の高いものから順に取り組むことで、確実に浸水リスクを軽減できます。
また、緊急対応マニュアルの作成とBCP対策の策定も、被害を最小限に抑えるために重要であり、事前の備えがあるかないかで、被災後の復旧スピードは大きく変わります。
この機会に、ぜひ自社の倉庫における浸水対策を見直してみてください。
大切な資産と従業員を守るために、今日からできることを始めていきましょう。



