「止水板を取り付けたいけれど、どのような手順で進めればいいのかわからない」とお悩みではありませんか。
近年、台風やゲリラ豪雨による浸水被害は増加傾向にあり、住宅や店舗、倉庫などさまざまな建物で止水板の導入を検討するケースが増えています。 しかし、止水板は製品の種類や固定方式によって取付方法が大きく異なるため、正しい手順を理解しないまま設置すると、いざというときに十分な止水効果を発揮できないおそれがあります。
本記事では、止水板の基本的な仕組みから、取付前の準備事項、具体的な設置手順、取付後の確認作業まで、一連の流れをわかりやすく解説します。 固定方式ごとのコツや注意点もあわせて紹介していますので、はじめて止水板を導入する方はもちろん、すでに設置済みの方も改めて確認してみてください。 記事の後半では、コストパフォーマンスに優れたアルミ製止水板「水用心」の特徴についても触れていますので、製品選びの参考にしていただければ幸いです。
止水板とは?基本的な仕組みと構造

止水板とは、建物の出入り口や開口部に設置して、外部からの浸水を物理的にせき止めるための防災設備です。 アルミやスチール、樹脂といった素材で作られたパネルを、ドアや通路の間口に取り付けることで、水の侵入を防ぐ仕組みになっています。
土のうと比較すると、止水板は繰り返し使える耐久性と高い止水性能を兼ね備えている点が大きな強みです。 JIS A 4716では止水板の漏水量に基づく等級が定められており、製品ごとの性能を客観的に比較できるようになっています。
| 等級 | 漏水量(ℓ/(h・㎡)) |
|---|---|
| Ws-1 | 50超え~200以下 |
| Ws-2 | 20超え~50以下 |
| Ws-3 | 10超え~20以下 |
| Ws-4 | 4超え~10以下 |
| Ws-5 | 1超え~4以下 |
| Ws-6 | 1以下 |
止水板が水をせき止める原理

止水板が浸水を防ぐ原理は、水圧を遮断して水の流れを物理的にふさぐというシンプルな仕組みに基づいています。 水は静止した状態であっても、深さに応じた圧力(静水圧)がかかります。 つまり、水深が深くなればなるほど、止水板にかかる力も大きくなるということです。
止水板は、この水圧を以下の3つの要素で受け止める構造になっています。
- 本体パネルの剛性:アルミやスチール製のパネルが面外曲げ強度で水圧に耐える
- 枠(ガイドレール)と支柱の強度:水平方向の水圧を建物の構造体へ伝えて分散させる
- 固定金具とゴムパッキンの密閉性:パネルと枠や床面のすき間をなくし、水の浸入経路を遮断する
さらに、各部材にはそれぞれ明確な役割が割り当てられています。 本体パネルは水圧を直接受け止める役割を担い、枠やガイドレールはパネルの設置位置を保持しながら水圧を建物へ分散させます。 ゴムパッキン(シール材)は板と枠のすき間に密着して漏水を抑え、固定金具やクランプがパッキンを圧縮することで密閉性を確保する仕組みです。 底部シールプレートは床面の凹凸にも対応し、設置面からの水の侵入を防ぎます。
こうした各部材が連携して機能することで、止水板は長時間の水圧にも耐えられるよう設計されています。 製品によっては、水深2mでの強度試験や動水実験を経て性能が実証されているものもあり、その信頼性は年々向上しています。
止水板の種類と特徴

止水板には大きく分けて3つの種類があり、それぞれ設置方法や用途が異なります。 建物の構造や設置場所の条件、運用のしやすさに合わせて適切なタイプを選ぶことが、効果的な浸水対策の第一歩です。
| 種類 | 特徴 | 適した場所 |
|---|---|---|
| 固定式止水板 | 常設タイプで設置の手間が不要 | 地下入口、常時浸水リスクがある場所 |
| 脱着式止水板 | 必要時に取り付け・取り外しが可能 | 玄関、ガレージ、店舗の出入口 |
| 自動昇降式・フロート式 | 水位に応じて自動で稼働 | 大規模施設、無人運用が必要な場所 |
それぞれの種類について、以下でくわしく見ていきましょう。
固定式止水板
固定式止水板は、建物の特定の位置に常時設置されているタイプの止水板です。 壁やドアの前面など、水の侵入が想定される箇所にあらかじめ取り付けておくため、緊急時に設置作業を行う必要がありません。
最大のメリットは、いざというときに即座に止水機能を発揮できる点にあります。 台風の接近や豪雨の予報が出てから慌てて設置する必要がなく、常に防災体制が整っている安心感を得られるでしょう。 構造もシンプルなものが多いため、日頃のメンテナンスにかかる手間も比較的少なく済みます。
一方で、設置位置を変更できない点や、通路をふさぐ形で常設されるため通行の妨げになるケースがある点には注意が必要です。 設置を検討する際は、日常の動線を圧迫しないかどうかを事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
固定式止水板が向いているのは、以下のような場面です。
- 地下駐車場や地下施設の入口など、常に浸水リスクが高い場所
- 人手が不足していて、緊急時に設置作業を行う余裕がない施設
- 一度設置したら動かす必要のない場所
脱着式止水板
脱着式止水板は、必要なときに取り付けて不要なときに取り外せるタイプの止水板です。 現在もっとも広く普及しているタイプであり、一般住宅の玄関やガレージ、店舗の出入口など、幅広い場所で採用されています。
脱着式のおもなメリットは、普段は止水板を収納しておけるためスペースを有効活用できることです。 来店客や住人の通行を妨げることなく、日常生活への影響を最小限に抑えられます。 また、設置場所に応じて取り付け位置を調整できる柔軟性も備えています。
固定方式にはいくつかのバリエーションがあり、代表的なものとして次の4つが挙げられます。
- ノブボルト式:支柱の間にパネルを落とし込み、ボルトを締めて固定する方式
- ハンドル式:ノブボルトのかわりにハンドルを使い、すばやく固定できる方式
- マグネット式:磁性板にパネルのマグネットを押し当てて固定する方式
- ダブルクリップ式:市販のクリップでパネルを留める、もっとも手軽な方式
ただし、取り付け作業が必要であるぶん、設置までに一定の時間と人手を要する点はデメリットといえます。 いざというときにスムーズに設置できるよう、定期的に設置訓練を行っておくことが推奨されています。
自動昇降式・フロート式
自動昇降式・フロート式止水板は、水位の上昇に応じて自動的に稼働する仕組みを持つ止水板です。 フロート(浮力装置)が水面に浮かび上がる力を利用して、止水板を自動で持ち上げます。 水位が下がれば止水板も自動的に降下するため、人の手を介さずに浸水を防ぐことができます。
この方式のもっとも大きなメリットは、人手をかけずに24時間対応できる点です。 夜間や休日など、建物に人がいないタイミングで浸水が発生した場合でも、自動的に止水機能が作動します。 大規模な商業施設や公共施設、工場など、広い間口を持つ建物での導入が進んでいます。
一方で、自動昇降式は他のタイプと比較して導入コストが高額になりやすいという課題があります。 メカニズムが複雑なぶん、定期的な動作点検や部品交換など、維持管理にかかる費用も考慮する必要があるでしょう。
自動昇降式・フロート式が適しているのは、以下のような条件を持つ施設です。
- 間口が広く、人手による設置が現実的でない場所
- 無人の時間帯にも止水機能を確保したい施設
- 導入コストよりも確実性や利便性を重視する場合
止水板の取付前に確認すべき準備事項
止水板の取付において、事前準備の質がそのまま設置後の止水性能に直結します。 準備不足のまま取り付けを進めると、すき間からの漏水や固定不良といったトラブルを招くおそれがあるため、以下の確認事項を一つひとつ丁寧にクリアしていくことが重要です。
止水板メーカーの多くは、購入前の現地確認を推奨しています。 設置場所の写真とサイズを送るだけで設置可否と概算見積もりを確認できるサービスを提供しているメーカーもあるため、まずは問い合わせてみるとよいでしょう。
設置場所の現地調査と採寸
止水板を正しく取り付けるためには、設置場所の現地調査と正確な採寸が欠かせません。 以下の項目を事前にチェックしておきましょう。
- 間口の幅:止水板パネルのサイズを決める基準になるため、ミリ単位で正確に測定する
- 設置面の状態:床面が平坦かどうか、凹凸やひび割れがないかを確認する
- 壁面の構造:支柱やガイドレールを固定するため、壁の素材や強度を調べる
- 周辺の障害物:止水板の設置や着脱作業を妨げるものがないか確認する
- 浸水を止めたい高さ:過去の浸水実績やハザードマップを参考に、必要な止水高さを決める
とくに間口の幅と止水高さの2つは、製品選定の根幹にかかわる数値です。 止水板パネルの幅は製品によって500mmから3,000mmまで対応しており、高さも150mmから1,100mm程度まで選択肢があります。
採寸を誤ると、せっかく購入した止水板がサイズ不適合で設置できないという事態を招きかねません。 自分での採寸に不安がある場合は、メーカーや施工業者による現地調査を依頼するのが確実です。
必要な工具・部材の確認
止水板の固定方式によって、取付に必要な工具や部材は異なります。 事前にしっかりと準備しておくことで、当日の設置作業をスムーズに進められるようになります。
| 固定方式 | おもな必要工具・部材 |
|---|---|
| ボルト式 | レンチ、固定ボルト、アンカー |
| ピン式 | 固定ピン、ドリル(穴あけ用) |
| マグネット式 | 磁性板(事前取付が必要) |
| ダブルクリップ式 | 市販のダブルクリップ |
| 落とし込み(ノブボルト)式 | 端部支柱、ノブボルト |
| 落とし込み(ハンドル)式 | 端部支柱、ハンドル金具 |
マグネット式のように特別な工具を必要としない方式もあれば、ボルト式のようにアンカーの打設や穴あけといった事前工事が必要な方式もあります。 製品の取り扱い説明書や公式サイトで、取付に必要なものを必ず事前に確認してください。
あわせて、止水板本体や支柱など設置部材がすべてそろっているかのチェックも忘れずに行いましょう。 設置当日に部材が足りないと判明した場合、追加手配に時間がかかり、浸水リスクが高まる時間帯に間に合わなくなるおそれがあります。
特殊地形・複雑な設置条件への対応
すべての設置場所が平坦で直線的とはかぎりません。 実際の現場では、高さや角度のある地形、凹地、水路沿いなど、一般的な設置方法では対応しきれないケースも少なくありません。
特殊な設置条件が想定される場面としては、以下のようなケースが挙げられます。
- 地面に傾斜があり、止水板と床面のあいだにすき間が生じやすい場所
- L字型やコーナー形状の開口部で、直線的なパネル設置ができない場所
- 幅が3mを超える大きな開口部(シャッター前など)で、1枚のパネルではカバーできない場所
- 外開きの扉があり、屋外側に止水板を設置すると扉の開閉ができなくなる場所
こうした条件に対しては、中間支柱を使ったパネル連結や、屋内側への設置、コーナーレールの活用など、さまざまな対応策が存在します。 製品によっては、設計から製造まで一貫対応し、現場に合わせたカスタマイズを行ってくれるメーカーもあります。
特殊地形への対応は専門的な知識が求められるため、自己判断で進めず、メーカーや施工業者に相談するのが賢明です。 現場の写真と寸法をもとに、プロの視点から最適な設置プランを提案してもらいましょう。
止水板の取付方法と設置手順
ここからは、止水板の取付方法について具体的な手順を解説します。 止水板の設置は、大まかに「事前工事(アンカー設置など)→ 配置 → 固定 → 確認」という流れで進みます。
製品のタイプや固定方式によって詳細は異なりますが、基本的な手順の流れは共通しています。 それぞれの工程のポイントをしっかりと押さえたうえで、実際の設置作業に臨みましょう。
アンカーの設置と下地処理

脱着式の止水板を取り付ける場合、まずは支柱やガイドレールを固定するためのアンカー設置が必要になります。 この工程は、止水板本体を設置する前の「事前工事」にあたり、止水性能の土台を作る重要なステップです。
おもな事前工事の内容は、固定方式に応じて以下のように分かれます。
- ボルト固定式:床面や壁面にドリルで穴をあけ、アンカーボルトを打ち込む
- ピン固定式:止水板を固定するためのピン穴を設置箇所に設ける
- マグネット式:壁面にステンレス製の磁性板を取り付ける
- 落とし込み式:開口部の両サイドに端部支柱を据え付ける
下地処理としては、アンカーを打ち込む面の汚れや異物の除去、凹凸がある場合のモルタル補修などが挙げられます。 設置面が不安定な状態のままアンカーを打設すると、止水板に水圧がかかった際に固定部が外れるリスクが高まります。
とくにボルト固定式やピン固定式では、穴をあける位置の精度が止水性能を左右するため、墨出し(位置のマーキング)を正確に行うことが大切です。 マグネット式は磁性板を取り付けるだけで済むぶん、事前工事の手間が少なく、建物の外観への影響も最小限に抑えられます。
なお、事前工事は止水板の設置日よりも前に済ませておくのが一般的です。 台風の接近時など緊急を要する場面では、事前工事が終わっていないと止水板を取り付けられないため、早めのスケジュールで準備を進めましょう。
止水板の配置と位置決め
アンカーの設置や下地処理が完了したら、次は止水板本体を設置箇所に運び、正確に配置する工程に移ります。 この段階での位置決めの精度が、最終的な止水性能に大きく影響します。
配置作業のおもなポイントは、以下のとおりです。
- 止水板を取り付ける位置をあらかじめ地面にマーキングしておく
- パネルの向き(表裏・上下)が正しいか確認する
- 支柱やガイドレールとパネルの位置関係にずれがないか目視で確認する
- 左右均等に配置されているか、水平器などを使ってチェックする
落とし込み式の場合は、端部支柱の間にパネルを上から差し込む形で配置します。 このとき、パネルが支柱のレールにしっかりとはまっていることを確認してから、次の固定工程に進んでください。
マグネット式の場合は、事前に取り付けた磁性板にパネル側のマグネットを押し当てて配置します。 磁力で仮固定されるため、位置の微調整がしやすいのが特徴です。
パネルの重量は製品やサイズによって異なりますが、アルミ製の止水板であれば1枚あたり4kgから14kg程度が目安です。 軽量タイプであれば大人1人でも運搬と配置が可能ですが、大型のパネルや複数枚を設置する場合は2人以上での作業を推奨します。
支柱と脚部フレームの組み立て

間口が広い場所や、複数のパネルを連結して設置する場合は、支柱と脚部フレームの組み立てが必要になります。 支柱はパネルを支える骨格となる部材であり、水圧によるたわみを防ぐ重要な役割を果たします。
支柱の設置手順は、製品によって多少異なりますが、一般的には次のような流れです。
- 端部支柱を開口部の両サイドに取り付ける(事前工事で設置済みの場合は確認のみ)
- 中間支柱が必要な場合は、パネルとパネルの接続位置に配置する
- 脚部フレームがある製品の場合は、支柱の下部にフレームを接続する
- 支柱と脚部フレームの接続部がしっかり固定されていることを確認する
中間支柱を使用することで、幅3mを超える開口部にも止水板を設置できるようになります。 たとえば、シャッター前のように間口が広い場所では、中間支柱でパネルを連結していく方法が一般的です。
支柱と脚部フレームの接続には、あらかじめ取り付けられたナットをキー穴に差し込む方式が多く、特別な工具を使わずに短時間で組み立て可能な設計になっています。 ただし、接続部にゆるみがあると水圧がかかった際に外れるおそれがあるため、組み立て後は必ず手で引っ張って固定状態を確認してください。
止水板の固定と締め付け
配置と支柱の組み立てが完了したら、いよいよ止水板本体の固定と締め付けに入ります。 この工程は止水性能を決定づけるもっとも重要なステップであり、固定方式に応じた正しい手順をしっかりと守ることが求められます。
各固定方式における具体的な手順は、以下のとおりです。
| 固定方式 | 固定手順 |
|---|---|
| ノブボルト式 | パネルを支柱の間に落とし込み、ノブボルトを手で締めて固定する |
| ハンドル式 | パネルを落とし込んだあと、ハンドルを回して固定する |
| マグネット式 | 磁性板にパネルのマグネットを押し当て、磁力で固定する |
| ボルト式 | 固定ボルトを差し込み、レンチで締め付ける |
| ピン式 | 固定ピンを事前に設けた穴に挿入してパネルを固定する |
| ダブルクリップ式 | パネルの片側に2~3個ずつクリップで留める |
ボルト式やピン式の場合は、本固定の前にかならず仮設置を行うことがポイントです。 仮設置の段階で、取り付け位置が正しいか、左右均等になっているか、ゴムパッキンと設置面とのあいだにすき間がないかを入念にチェックします。 問題がなければ、床面や壁面にパネルが密着するよう本固定を行いましょう。
マグネット式やダブルクリップ式の場合は、工具を使った締め付け作業が不要です。 設置位置が正しいことと、しっかりと固定されていることを確認すれば、それだけで作業は完了します。 こうした手軽さから、脱着式のなかでもマグネット式やクリップ式は個人宅での導入が増えている固定方式です。
いずれの方式でも、固定後は止水板を軽く押したり引いたりして、ぐらつきがないか最終確認することを忘れないようにしてください。
止水板同士の連結方法
間口の広い開口部に止水板を設置する場合、1枚のパネルではカバーしきれないケースがあります。 その場合は、複数の止水板パネルを連結して設置する方法で対応します。
連結の基本的な流れは、以下のとおりです。
- 最初のパネルを端部支柱に取り付けて固定する
- 中間支柱を所定の位置に配置する
- 2枚目のパネルを中間支柱にセットし、1枚目のパネルと連結する
- 以降、必要な枚数ぶん同様の手順を繰り返す
- 最後のパネルを反対側の端部支柱に固定して完了する
製品によっては、工具不要で差し込むだけのクイックコネクター方式を採用しているものもあり、初めての方でも直感的に連結作業を行えます。 また、パネルを2段に重ねることで浸水深さ1m以上に対応できる製品もあるため、止水高さの要件に応じて段数を調整しましょう。
連結部分は水が浸入しやすいポイントでもあるため、パネル同士の接続部にすき間がないかを念入りに確認することが大切です。 ゴムパッキンや接続部品のシール材が正しく機能しているかどうかも、あわせてチェックしてください。
なお、止水板を連結する際は、設置する場所をあらかじめ地面にマーキングしておくと、作業効率が大幅に向上します。
防水シートの設置と固定
止水板の種類や設置環境によっては、止水板本体にくわえて防水シートを併用するケースがあります。 とくに、大規模な防水バリアを構築する場合や、地面と止水板の接地面からの漏水リスクが高い場合に有効です。
防水シートの設置手順は、一般的に以下のように進めます。
- 2人1組で防水シートを広げる
- 止水板の上部に設けられたクリップ取付穴に、シートを2箇所ずつ固定する
- シートの全体を広げ終えたら、手前に折り下げて設置する
- シートの下端を土のう、チェーン、砂利などで地面にしっかりと固定する
強風が予想される場合は、水が到達するまでのあいだ、チェーンを止水板本体の上に垂らして防水シートを押さえる方法も効果的です。
防水シートを使用することで、止水板単体では防ぎきれない地面からの浸水や飛散水の侵入を抑制できます。 ただし、すべての止水板製品に防水シートが付属しているわけではないため、必要に応じて別途準備が必要です。
なお、一般住宅や小規模な店舗で使用される脱着式止水板の多くは、パネルとゴムパッキンだけで十分な止水性能を発揮できる設計になっています。 防水シートの要否は、設置場所の条件や求められる止水レベルに応じて判断するとよいでしょう。
取付後の確認作業とメンテナンス
止水板の取付が完了したら、「設置して終わり」ではなく、正しく機能するかどうかの確認作業を行うことが不可欠です。 あわせて、長期にわたって止水性能を維持するための定期メンテナンスについても押さえておきましょう。
止水板は設置した直後だけでなく、保管中の劣化や経年変化によって性能が低下することがあります。 いざというときに確実に機能させるためには、取付後の確認と継続的なメンテナンスの両方が重要です。
設置完了後のチェックポイント

止水板の設置が完了したら、以下のチェックポイントを一つずつ確認してください。
- 止水板の設置位置が正しいか(左右均等、水平に配置されているか)
- 止水板と床面・壁面のあいだにすき間がないか
- ゴムパッキンが設置面に密着しているか
- 固定金具やボルト、クリップにゆるみがないか
- 連結部分のシール材に異常がないか
- 支柱にぐらつきがなく、安定しているか
とくに重要なのは、ゴムパッキンと設置面の密着状態です。 わずかなすき間でも水圧がかかれば漏水につながるため、指で触って確認したり、ライトを当ててすき間がないかを目視でチェックしたりするとよいでしょう。
ボルト式やノブボルト式の場合は、締め付け後に再度ゆるみがないかを確認する「増し締め」を行うことが推奨されます。 マグネット式の場合は、磁力によってしっかりと固定されているか、手で軽く引っ張って外れないことを確かめてください。
チェックが完了したら、その結果を記録として残しておくと、次回の設置時や定期点検時に役立ちます。
性能を維持するための定期メンテナンス

止水板の止水性能を長期間にわたって維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。 使用頻度にかかわらず、最低でも年に1~2回は以下の項目をチェックするようにしましょう。
| チェック項目 | 確認内容 | 対応方法 |
|---|---|---|
| 密閉性の確認 | ゴムパッキンに摩耗や劣化がないか | 劣化が著しい場合はパッキンを交換 |
| 動作チェック | 取り付け部のゆるみや錆がないか | 必要に応じて部品の交換や補修 |
| 清掃 | パネルや接続部に汚れや異物がないか | 水道水で洗い流し、十分に乾燥させる |
| 耐久性の確認 | パネルの素材に腐食や変形がないか | 損傷がある場合はメーカーに相談 |
ゴムパッキン(シール材)は止水性能の要となる部品です。 製品にもよりますが、EPDMゴム発泡体の場合は耐久性が10年から15年程度とされています。 10年を目安に劣化状況を確認し、著しく劣化している場合は早めに交換することをおすすめします。
また、使用後の清掃も見落としがちなポイントです。 浸水後に止水板を撤去した際は、パネルや中空部分を水道水でしっかりと洗い流し、泥や異物を除去してから保管しましょう。 日光や雨が直接当たる屋外での保管はゴムの劣化を早めるため、屋内の直射日光が当たらない場所に保管するのが理想的です。
正しく機能させるための注意点
止水板を正しく機能させるためには、取付時の手順だけでなく、運用面での注意点も理解しておく必要があります。 以下の要素を押さえておくことで、止水板の性能を最大限に発揮させることができます。
- 適切なタイミングでの設置:気象情報を確認し、浸水が予測される前に余裕をもって設置する
- 定期的な設置訓練:いざというときに迅速かつ正確に作業できるよう、年に1~2回は訓練を実施する
- 保管状態の管理:止水ゴムが圧縮されない状態で保管し、フックで掛けるか立てかけておく
- 設置前の点検:使用するたびにパッキンの状態や部品のゆるみをチェックしてから設置する
- 水位予測の活用:ハザードマップや自治体の浸水予測データを参考に、必要な止水高さを事前に把握しておく
とくに見落としやすいのが、保管時のゴムパッキンの状態管理です。 止水板を重ねて保管したり、パッキン部分に重量がかかる状態で長期間放置したりすると、ゴムが変形して密閉性が低下するおそれがあります。 パネルを壁に立てかけるか、フックに掛けて保管するのがベストな方法です。
設置訓練については、単に手順を確認するだけでなく、設置にかかる時間を計測しておくと実際の緊急時に役立ちます。 製品によっては大人1人で約1分で設置できるものもありますが、複数枚の連結が必要な場合や初めての設置では想定以上に時間がかかることもあるため、事前に把握しておきましょう。
止水板の選び方のポイント

止水板を購入する際は、取付方法だけでなく製品の選び方にもしっかりと目を向ける必要があります。 設置のしやすさやコスト、耐久性など、複数の観点から比較検討することで、自分の建物に最適な止水板を見つけられるでしょう。
ここでは、止水板選びで重視すべき3つのポイントをくわしく解説します。
設置のしやすさで比較する
台風やゲリラ豪雨はいつ発生するかわからないため、すばやく設置できる止水板を選ぶことは非常に重要です。 設置に時間がかかる製品では、必要なタイミングに間に合わないおそれがあります。
設置のしやすさを判断する際は、以下の観点でチェックしましょう。
- 取り付けに特別な工具が必要かどうか
- 1人で設置できるか、複数人が必要か
- パネルの重量は何kgか(持ち運びの負担)
- 設置にかかる時間の目安はどのくらいか
- 設置訓練なしでも直感的に操作できるか
たとえば、マグネット式やダブルクリップ式は工具が不要で、設置にかかる時間が短いというメリットがあります。 一方、ボルト式は密閉性に優れる反面、レンチでの締め付け作業が発生するため、設置時間はやや長くなります。
アルミ製の止水板は軽量なものが多く、たとえばサイズが高さ450mm×幅1,000mmの製品であれば重量が約6kg程度です。 高齢者や女性でも無理なく持ち運べる重さかどうかは、製品選定の重要な判断基準になります。
コスト・耐久性のバランス

止水板の価格は、種類やサイズ、固定方式によって大きく異なります。 初期費用だけでなく、長期的な維持コストも含めたトータルコストで判断することが大切です。
止水板の価格帯の目安は、以下のようになっています。
| タイプ・サイズ | 参考価格(税込) |
|---|---|
| 脱着式(高さ350mm×幅1,000mm) | 約50,600円~ |
| 脱着式(高さ550mm×幅2,000mm) | 約141,900円~ |
| マグネット式(高さ180~700mm) | 約294,800円~ |
| 自動昇降式 | 個別見積もりが一般的 |
固定式や脱着式は比較的導入コストを抑えやすいタイプです。 とくに、国内の自社工場で一貫生産を行っているメーカーの製品は、中間マージンが発生しないぶん、価格を抑えられる傾向にあります。
耐久性については、パネルの素材や表面処理の品質が大きく影響します。 アルミニウム合金製のパネルは軽量で耐食性に優れているため、長期間にわたって使用しても腐食や変形が起きにくい特長があります。 ゴムパッキンの交換費用なども考慮したうえで、費用対効果の高い製品を選びましょう。
導入実績と評判の確認

止水板は災害時に命や財産を守る防災設備であるため、製品の信頼性は妥協すべきではないポイントです。 導入実績やメーカーの信頼性を確認することで、安心して使える製品を選ぶことができます。
チェックすべき項目は、以下のとおりです。
- 企業や公共施設、マンションなどでの導入実績があるか
- JIS規格に基づいた止水性能試験をクリアしているか
- 大学や研究機関との共同実験など、第三者による性能検証が行われているか
- 購入者の口コミや評判で、実際の止水効果が高く評価されているか
- メーカーの保証制度やアフターサポートが充実しているか
導入実績が豊富なメーカーは、さまざまな現場の条件に対応してきた経験があるため、設置時のアドバイスや施工品質の面でも安心感があります。 自社の建物と似た条件での設置事例があれば、具体的なイメージもつかみやすくなるでしょう。
口コミや評判については、メーカーの公式サイトや製品レビューサイトで確認できます。 とくに、実際の水害時に止水板がどの程度効果を発揮したかという実体験レポートは、製品選定の参考になる貴重な情報源です。
浸水対策には止水板「水用心」がおすすめ!

ここまで止水板の取付方法や選び方について解説してきましたが、コストパフォーマンスと止水性能の両立を重視するなら、アルミ製止水板「水用心」がおすすめです。
「水用心」は、国内シェアNo.1のアルミメーカーであるUACJが自社工場で一貫生産している止水板です。 原材料の調達から製造、品質管理まで全工程を最適化することで、他社の止水板と比較して約20~90%のコストカットを実現しています。
「水用心」のおもな特長は、以下のとおりです。
- 止水性能:JIS A 4716 Ws-3クラス相当(漏水量20ℓ/(h・m²)以下)で、土のうの約100倍の止水性能
- 軽量設計:高さ450mm×幅1,000mmのパネルが約6kgと、大人1人で持ち運べる軽さ
- 簡単設置:特別な工具が不要で、約1分での設置が可能
- 豊富な固定方式:ダブルクリップ式、ノブボルト式、ハンドル式、マグネット式の4種類から選べる
- カスタマイズ対応:設計から製造まで一貫対応し、設置場所に合わせた仕様変更が可能
- 京都大学との共同実験で性能を実証済み
パネルは2段に重ねることで浸水深さ1.1mまで対応でき、中間支柱による連結で幅3mを超える開口部もカバーできます。 設置場所の写真とサイズを送るだけで設置可否と概算見積もりが確認でき、全国対応で最短即日の見積もりにも対応しています。
メーカー保証は1年間で、期間内の不具合には無償修理・交換で対応してもらえます。 浸水対策の導入を検討されている方は、ぜひ一度「水用心」の施工店である三恵工業株式会社に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、止水板の取付方法について、基本的な仕組みから具体的な設置手順、取付後の確認作業やメンテナンスまで、一連の流れをくわしく解説しました。
止水板の取付で押さえておきたいポイントを改めて整理すると、以下のとおりです。
- 止水板には固定式、脱着式、自動昇降式の3種類があり、それぞれ取付方法が異なる
- 取付前には設置場所の現地調査と正確な採寸、必要な工具・部材の確認が欠かせない
- 設置手順は「事前工事 → 配置 → 固定 → 確認」の流れが基本
- 固定方式(ボルト式、マグネット式、クリップ式など)に応じた正しい手順を守ることが重要
- 取付後は密着状態やゆるみを入念にチェックし、定期的なメンテナンスで性能を維持する
- 製品選びでは設置のしやすさ、コストと耐久性のバランス、導入実績を総合的に判断する
止水板は正しく取り付けてこそ、その性能を最大限に発揮できる防災設備です。 本記事の内容を参考に、ご自身の建物に合った止水板を選び、適切な取付を行うことで、大切な財産を浸水被害からしっかりと守りましょう。
はじめて止水板を導入される方は、まずはメーカーや施工業者に設置場所の写真を送って相談するところから始めてみてください。



