止水板の原理とは?仕組み・種類・選び方を解説

近年、ゲリラ豪雨や台風による浸水被害が全国各地で発生しています。 「うちは川から離れているから大丈夫」と思っていた地域でも、下水道の処理能力を超えた雨水があふれ出す内水氾濫によって、建物内に水が侵入するケースが増えているのです。 そこで注目を集めているのが、土のうに代わる現代の浸水対策として導入が進む止水板(しすいばん)です。

しかし、止水板の導入を検討している方のなかには「どのような原理で水を防いでいるのかわからない」「種類がたくさんあって選び方がわからない」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、止水板の基本的な仕組みから種類ごとの特徴、設置方法、選び方のポイントまでをわかりやすく解説します。 浸水対策を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

止水板とは?基本的な意味と役割

止水板は、建物への浸水を防ぐために開発された防災設備です。 ここでは、止水板の定義や関連用語との違い、そして近年注目されている背景について詳しく説明します。

止水板の定義と読み方

止水板の読み方は「しすいばん」です。 文字どおり「水を止める板」を意味しており、建物の出入り口やガレージ、店舗のドア前などに設置して外部からの水の侵入を防ぐ設備を指します。

止水板の主な役割は、豪雨や洪水によって道路にあふれた水が建物内部へ流れ込むのを阻止することです。 玄関やシャッター、通気口といった開口部に設置することで、浸水による被害を最小限に抑えられます。

止水板を構成する主な素材には、アルミニウム合金やステンレス、FRP(繊維強化プラスチック)などがあります。 これらの素材は軽量でありながら耐久性に優れており、繰り返しの使用にも耐えられる設計となっています。

止水板の基本構成は、以下のとおりです。

構成要素主な素材役割
本体パネルアルミニウム合金、ステンレス水圧を受け止めて物理的に水を遮断
枠・ガイドレールアルミニウム合金止水板の位置を固定し、水圧を建物へ伝達
止水ゴムEPDMゴム発泡体隙間を密閉して漏水を防止
固定金具ステンレスパネルを枠に固定して密閉性を確保

止水板は一般住宅だけでなく、オフィスビルや商業施設、工場、倉庫など幅広い建物で活用されています。 設置場所や建物の構造に合わせて、さまざまなタイプが開発されているのも特徴です。

防水板・防潮板との違い

止水板と似た言葉として「防水板(ぼうすいばん)」や「防潮板(ぼうちょうばん)」があります。 これらの用語は、自治体や建築業界によって呼び方が異なる場合がありますが、基本的には同じ目的と機能を持つ設備を指しています。

それぞれの用語が使われる場面を整理すると、次のようになります。

  • 止水板:建築業界や防災用品メーカーで広く使用される一般的な呼称
  • 防水板:行政機関や自治体の文書で使用されることが多い呼称
  • 防潮板:高潮対策を主目的とする沿岸地域で使用される呼称

いずれの呼び方であっても、水の侵入を物理的に防ぐという機能は共通しています。 製品を選ぶ際には、呼び方の違いよりも性能や設置方法に注目することが重要です。

なお、建築分野では「止水板」という用語がコンクリートの打ち継ぎ部分に設置する防水材を指す場合もあります。 本記事で解説する止水板は、建物の開口部に設置する浸水対策用の設備を指していますので、混同しないようご注意ください。

止水板が注目される背景

止水板の導入が急速に広がっている背景には、気候変動による水害リスクの増大があります。 近年は線状降水帯の発生や短時間での記録的大雨が頻発しており、これまで水害と無縁だった地域でも浸水被害が相次いでいるのです。

特に都市部で問題となっているのが「内水氾濫」と呼ばれる現象です。 内水氾濫とは、下水道の処理能力を超えた雨水がマンホールや側溝から逆流してあふれ出すことを指します。 コンクリートやアスファルトで覆われた都市部では雨水の逃げ場がなく、短時間で道路が冠水するリスクが高まっています。

従来の浸水対策として広く使われてきた土のうには、いくつかの課題があります。

項目土のう止水板
重量1袋あたり20〜25kg製品により異なるが軽量設計が多い
設置時間数十個を積み上げるため長時間数分〜10分程度で設置可能
保管スペース大量保管が必要コンパクトに収納可能
再利用水を含むと産業廃棄物として処分洗浄・乾燥で繰り返し使用可能
作業負担重労働で腰を痛めるリスクあり女性や高齢者でも扱える製品あり

上記のような課題を解決できることから、土のうに代わる浸水対策として止水板を選ぶ企業や家庭が増えています。 特に「設置が早い」「繰り返し使える」「保管場所を取らない」という点は、止水板の大きな利点といえるでしょう。

止水板が水を防ぐ原理と構造

止水板がどのような仕組みで浸水を防いでいるのか、その原理と構造について詳しく解説します。 原理を理解することで、適切な製品選びや正しい設置につながります。

水をせき止める基本原理

止水板が水をせき止める原理は、物理的な遮断と密閉による漏水防止の2つの要素で成り立っています。 この2つの要素が組み合わさることで、高い止水性能を発揮できるのです。

まず、物理的な遮断について説明します。 止水板の本体パネルは、アルミニウム合金やステンレスといった剛性の高い素材でつくられています。 この硬い板を開口部に設置することで、流れ込もうとする水の進路を物理的にふさぎます。

次に重要なのが、密閉による漏水防止です。 いくら頑丈な板を設置しても、床面や壁面との間に隙間があれば水は侵入してしまいます。 そこで止水板には、パネルと設置面の間を埋めるゴムパッキン(シール材)が取り付けられています。 このゴムパッキンが圧縮されることで隙間がなくなり、水の侵入を防ぐ仕組みです。

止水板が水を防ぐ原理を整理すると、以下のようになります。

  • 本体パネルによる物理的な遮断で水の流れを止める
  • ゴムパッキンの圧縮による密閉で隙間からの浸入を防ぐ
  • 枠と固定金具による位置固定でパネルのずれを防止する
  • 構造全体で水圧を受け止めて建物側へ分散させる

水は静止していても深さに応じて圧力(静水圧)がかかります。 水深が深くなるほど止水板にかかる力は大きくなるため、この圧力に耐えられる強度設計が必要となります。 止水板は、パネルの剛性と枠・支柱の強度でこの水圧を受け止めているのです。

各部材の役割と機能

止水板は複数の部材で構成されており、それぞれが重要な役割を果たしています。 各部材の機能を理解することで、製品選びの際に何を重視すべきかが明確になります。

止水板を構成する主要な部材と、その役割は次のとおりです。

部材名役割と機能
本体パネル(板部分)水圧を直接受け止めて物理的に水をせき止める中心的な部材
枠(ガイドレール)止水板の設置位置を保持し、水平方向の水圧を建物構造へ伝達
支柱・補強リブ水圧によるパネルのたわみを防ぎ、構造全体の強度を高める
ゴムパッキン(シール材)パネルと枠、パネルと床の隙間を密着させて漏水を防止
固定金具(クランプ、ロックバー)パネルを枠や床に押し付けてゴムパッキンを圧縮し密閉性を確保
底部シールプレート床面との隙間をふさぎ、凹凸のある床面にも密着させる
取っ手・ハンドル設置や撤去の作業を容易にするための持ち手

特に重要なのが、ゴムパッキンの品質です。 ゴムパッキンには主にEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)が使用されています。 EPDMゴムは耐候性や耐熱性に優れており、屋外での使用や長期保管にも適した素材です。

ゴムパッキンが劣化すると止水性能が低下するため、定期的な点検と必要に応じた交換が欠かせません。 一般的なEPDMゴムの耐用年数は10〜15年程度とされていますが、保管状況によって寿命は変わってきます。

水圧に耐える設計の仕組み

止水板は想定される水圧に耐えられるよう、計算にもとづいた強度設計がおこなわれています。 水圧への耐性は、止水板の性能を左右する重要な要素です。

水圧に対する構造設計は、主に3つの段階で分担されています。

1つ目は、本体パネルが受け止める面外曲げ強度です。 パネルは水圧を直接受けるため、たわみに耐えられる十分な厚みと材質が求められます。 アルミニウム合金製のパネルでは、中空構造を採用することで軽量化と強度向上を両立している製品もあります。

2つ目は、枠(ガイドレール)による建物構造への力の伝達です。 パネルが受けた水圧は枠を通じて壁や柱といった建物の構造部分へ伝わります。 枠がしっかりと建物に固定されていることで、水圧を分散させて受け止められるのです。

3つ目は、固定金具によるパネルの位置固定とゴムパッキンの圧縮です。 固定金具がパネルを枠や床に押し付けることで、ゴムパッキンが適切に圧縮されて密閉性が確保されます。 固定が不十分だと水圧でパネルがずれたり、隙間から漏水したりするおそれがあります。

止水板の耐水圧性能に影響を与える主な要素は、以下のとおりです。

  • パネルの厚みと材質(アルミ、ステンレス、FRPなど)
  • 補強リブの有無と配置
  • 枠の強度と建物への固定方法
  • 固定金具の締め付け力
  • 開口部の幅(幅が広いほど中央部に力が集中)

大きな開口部に設置する場合は、中間支柱を追加してパネルのたわみを防ぐ設計が採用されることもあります。

長時間使用時の耐久性

止水板は製品によって性能が異なりますが、適切な設計・施工・維持管理がおこなわれていれば長時間の水圧にも耐えられるよう設計されています。 豪雨や台風による浸水は数時間から場合によっては数日に及ぶこともあるため、この耐久性は重要な性能指標となります。

長時間の使用に耐えるために、止水板には以下のような設計上の工夫が施されています。

設計上の工夫効果
中空構造のアルミパネル水が内部に入り込むことで重量が増し、浮力を打ち消す
耐食性の高い素材選定水に長時間さらされても腐食しにくい
二重シール構造一次シールが劣化しても二次シールで漏水を防止
排水機構の設置わずかに浸入した水を排出して性能を維持

ただし、長時間の浸水状態が続くと以下のようなリスクも考慮する必要があります。

  • ゴムパッキンの経年劣化による密閉性の低下
  • 固定金具の緩みによるパネルのずれ
  • 想定を超える水位上昇による越水

これらのリスクを軽減するためには、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。 また、設置時には製品の仕様で定められた最大水深を確認し、想定される浸水深さに対して十分な性能を持つ製品を選ぶことが大切です。

止水板の種類と特徴

止水板には設置方式や作動方法によっていくつかの種類があります。 それぞれの特徴を理解して、設置場所や用途に合った製品を選びましょう。

固定式止水板

固定式止水板は、特定の位置に常に設置されているタイプの止水板です。 水の侵入が予測される場所に常設されており、緊急時に設置作業をおこなう必要がありません。

固定式止水板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 常に設置されているため、急な浸水にも即座に対応できる
  • 設置作業が不要で、人手や時間を確保する必要がない
  • 一度設置すれば継続的に保護効果を発揮する
  • 設置位置を変更できないため、柔軟性には欠ける

固定式止水板は、地下施設の入り口や排水設備の周辺など、常に浸水リスクがある場所への設置に適しています。 また、夜間や休日など人がいない時間帯の浸水にも対応できる点は大きな利点です。

一方で、常に設置されている状態であるため、通行の妨げになる場合があります。 そのため、主要な出入り口ではなく、非常用の入り口や設備周辺への設置が一般的です。

固定式止水板の設置を検討する際には、以下の点を確認しましょう。

確認項目確認内容
設置場所の用途日常的な通行があるか、非常用のみか
メンテナンス性清掃や点検が容易におこなえるか
景観への影響建物の外観を損なわないか
法規制の有無建築基準法などの規制に抵触しないか

脱着式止水板(レール設置タイプ)

脱着式止水板は、平常時は柱やレール(ガイド)のみを設置しておき、浸水のおそれがあるときにパネルを取り付けるタイプです。 現在、最も普及している止水板のタイプであり、多くのメーカーが製品を展開しています。

脱着式止水板の仕組みは、次のようになっています。

  1. あらかじめ開口部の両側に支柱(端部支柱)を工事で設置する
  2. 大雨の予報が出たら、保管場所からパネルを取り出す
  3. パネルを支柱の間に落とし込み、ガイドレールに沿って設置する
  4. 固定金具(ノブボルトやハンドル)でパネルを固定する
  5. 浸水の危険がなくなったらパネルを取り外して保管する

脱着式止水板のメリットとデメリットを整理すると、以下のようになります。

メリットデメリット
平常時は通行の妨げにならない事前の工事(支柱設置)が必要
壁や床との密着度が高く止水性能に優れる設置には人手と作業時間が必要
比較的高い水位にも対応できる製品が多い急な浸水には対応が間に合わないリスク
パネルの保管がコンパクト定期的な設置訓練が推奨される

脱着式止水板は、戸建て住宅の玄関やガレージ、オフィスビルの出入り口、店舗の自動ドア前など幅広い場所で採用されています。 支柱の設置工事が必要となりますが、高い止水性能を求める場合には最適な選択肢といえるでしょう。

置くだけタイプ(水圧利用型)

置くだけタイプは、事前の工事が一切不要で、文字どおり置くだけで設置できる止水板です。 近年、手軽さから注目を集めているタイプであり、特にL字型の製品が多く販売されています。

置くだけタイプの多くは、水圧を利用した独自の仕組みで止水をおこないます。 L字型の止水板を例に説明すると、底面が水平に広がった形状をしており、流れ込んでくる水がこの底面部分に乗ることで水の重さ(水圧)によって板自体が地面に押し付けられる仕組みです。

この原理により、アンカー工事などで地面に穴を開けることなく、設置と同時に固定力が得られるのです。

置くだけタイプの特徴は以下のとおりです。

  • 工事不要で導入が簡単(賃貸物件でも設置可能)
  • 軽量で持ち運びやすく、女性や高齢者でも扱える
  • 必要な幅に合わせて複数枚を連結して使用できる
  • 使用しないときは重ねてコンパクトに収納できる
  • 脱着式と比較すると止水性能はやや劣る場合がある

置くだけタイプは、設置の手軽さを重視する方や、賃貸物件で工事ができない方、緊急時に素早く対応したい方に適しています。 ただし、製品によって止水性能に差があるため、購入前に仕様をよく確認することが大切です。

自動昇降式・フロート式

自動昇降式・フロート式の止水板は、水位の上昇に応じて自動的に作動し、人の手を介さずに浸水を防ぐタイプです。 24時間無人で対応できることから、夜間や休日の浸水対策として有効な選択肢となります。

自動昇降式・フロート式の仕組みは、主に以下の2種類に分けられます。

タイプ仕組み
フロート式浮力を利用した装置(フロート)が水面に浮かび上がり、連動して止水板が上昇する
電動昇降式水位センサーが感知すると電動モーターで止水板が上昇する

フロート式は電源が不要で、水位の変化に物理的に反応する点がメリットです。 停電時でも作動するため、災害時の信頼性が高いといえます。

一方、電動昇降式は水位センサーと連動して動作するため、より正確なタイミングで作動させることができます。 ただし、停電対策として非常用電源の確保が必要となります。

自動昇降式・フロート式止水板のメリットとデメリットは以下のとおりです。

  • メリット:人手をかけずに自動で浸水対策ができる
  • メリット:夜間や休日など無人の時間帯でも対応可能
  • メリット:洪水予測にもとづいた設置が不要
  • デメリット:導入コストが他のタイプより高い
  • デメリット:定期的な動作確認と保守点検が必要
  • デメリット:機械的な故障のリスクがある

大規模施設や重要インフラの浸水対策として採用されることが多いタイプです。

シャッター・防水扉タイプ

シャッター・防水扉タイプは、普段は地面や壁の中に収納されており、緊急時に電動または手動で引き出して防水壁を形成するタイプです。 大型の開口部や車両の出入り口など、他のタイプでは対応が難しい場所に適しています。

シャッター・防水扉タイプの主な特徴は以下のとおりです。

  • 大型の開口部(5m以上)にも対応可能
  • 平常時は完全に収納されているため通行の妨げにならない
  • 電動式の場合はボタン一つで操作できる
  • 高い止水性能を持つ製品が多い
  • 導入には高額な工事費用がかかる

このタイプは主に、工場や倉庫の搬入口、大型ビルの地下駐車場入り口、地下街の出入り口などで採用されています。 設置工事が大がかりになるため、新築時の計画段階から検討されることが多いです。

シャッター・防水扉タイプの導入を検討する際のポイントを以下にまとめます。

検討ポイント確認内容
開口部のサイズ幅・高さに対応できる製品があるか
作動方式電動・手動・自動のどれが適しているか
収納スペース地中または壁内に収納スペースを確保できるか
保守点検体制定期点検や故障時の対応が可能か
導入コスト工事費用を含めた総額が予算内か

止水板の設置方法と使い方

止水板の効果を最大限に発揮するためには、正しい設置方法を理解しておくことが重要です。 ここでは、設置前の確認事項から実際の設置手順、注意点までを解説します。

設置前に確認すべきポイント

止水板を設置する前には、いくつかの重要なポイントを確認しておく必要があります。 事前の確認を怠ると、いざというときに止水板が正しく機能しないおそれがあります。

設置前に確認すべき主なポイントは以下のとおりです。

確認項目確認内容
設置場所の特定水の侵入が予想される場所(玄関、ガレージ、通気口など)を特定する
間口のサイズ設置場所の幅と高さを正確に測定する
床面の状態設置面が平坦かどうか、凹凸や段差がないかを確認する
周囲の障害物設置の妨げになる障害物がないかを確認する
想定浸水深さハザードマップなどで想定される浸水深さを把握する

特に重要なのが、設置場所の間口サイズを正確に測定することです。 止水板は設置場所に合わせたサイズで製作されるため、測定に誤りがあると適切に設置できない可能性があります。

また、ハザードマップを確認して想定される浸水深さを把握することも大切です。 止水板には製品ごとに対応できる最大水深が定められているため、想定浸水深さを上回る性能を持つ製品を選ぶ必要があります。

床面の状態確認も欠かせません。 止水板のゴムパッキンは床面に密着することで止水効果を発揮するため、大きな凹凸や段差があると隙間ができて漏水の原因となります。 床面に問題がある場合は、事前に補修工事をおこなうことも検討しましょう。

設置のタイミングと手順

止水板の設置タイミングは、大雨警報が発令されたときや、道路の側溝があふれそうになったときが目安となります。 「危ない」と感じたら早めに行動することが、被害を最小限に抑えるポイントです。

脱着式止水板の一般的な設置手順は以下のとおりです。

  1. 設置場所の周囲にあるゴミや異物を清掃する
  2. 保管場所から止水板パネルを取り出して設置場所へ運ぶ
  3. パネルを支柱の間に落とし込む、またははめ込む
  4. 固定レバーまたはノブボルトでパネルを締め付けて固定する
  5. ゴムパッキンが均一に床面・壁面に密着しているか確認する
  6. 隙間や浮きがあれば固定金具を調整して密閉性を高める

設置にかかる時間は製品や設置場所の規模によって異なりますが、慣れれば1枚あたり1〜5分程度で設置できる製品が多いです。 置くだけタイプの場合は、さらに短い時間で設置できます。

設置時の注意点として、以下の点を覚えておきましょう。

  • ゴムパッキンに汚れや異物が付着していると密閉性が低下する
  • 固定金具の締め付けが不十分だと水圧でパネルがずれる
  • 複数枚を連結する場合は連結部分の密閉も確認する
  • 設置後は水を少量かけて漏水がないかテストすると安心

設置に適した場所

止水板の効果を最大限に発揮するためには、適切な場所に設置することが重要です。 水の侵入経路となりやすい場所を優先的に対策しましょう。

止水板の設置に適した主な場所は以下のとおりです。

設置場所設置する理由
玄関前最も一般的な水の侵入経路であり、優先度が高い
ガレージ・駐車場特に道路より土地が低い半地下やスロープがある場所は浸水リスクが高い
勝手口玄関以外の出入り口も侵入経路となりうる
通気口・窓地下施設や半地下の建物では見落としがちな侵入経路
地下駐車場入り口傾斜があるため水が流れ込みやすい
商業施設の自動ドア前人の出入りが多く、常に開口状態になりやすい

設置場所を検討する際には、建物全体を見渡して水の侵入経路となりうるすべての開口部をリストアップすることをおすすめします。 優先順位をつけて、浸水リスクの高い場所から順に対策を進めていきましょう。

また、周囲の地形や排水設備の状況も考慮することが大切です。 たとえば、道路より低い位置にある建物や、周囲に比べてくぼんだ土地にある建物は浸水リスクが高くなります。

正しく機能させるための注意点

止水板を設置しても、正しく機能しなければ意味がありません。 以下の注意点を押さえて、止水板の性能を最大限に発揮できるようにしましょう。

止水板を正しく機能させるための注意点は以下のとおりです。

  • 適切な設置を確認する:止水板が確実に固定されていることを必ず確認する
  • 定期的な検査をおこなう:使用する前には必ず点検し、密閉性や動作に問題がないか確認する
  • 気象情報を常に確認する:大雨の予報が出たら早めに設置準備を始める
  • 設置訓練を実施する:年に1〜2回は設置訓練をおこない、手順を確認しておく

特に重要なのが、事前の設置訓練です。 いざ浸水のおそれがあるときに慌てずに対応するためには、平常時から設置の手順を体に覚えさせておくことが大切です。 訓練では設置にかかる時間も計測しておくと、実際の緊急時に余裕を持った行動計画を立てられます。

また、止水板の性能には限界があることも理解しておく必要があります。

注意事項内容
完全止水ではない止水板は水の侵入を大幅に軽減しますが、完全に止水できる製品ではありません
最大水深の確認製品ごとに対応できる最大水深が定められており、それを超えると越水のリスクがあります
漏水量の許容JIS規格でも一定の漏水量は許容されており、わずかな漏水は想定内です

止水板はあくまで浸水被害を軽減するための設備であり、万能ではないことを念頭に置いておきましょう。

止水板の選び方

止水板にはさまざまな製品があり、どれを選べばよいか迷う方も多いでしょう。 ここでは、止水板を選ぶ際に重視すべきポイントを解説します。

設置のしやすさで選ぶ

台風や豪雨がいつ発生するかは予測が難しく、短時間で急激に水位が上昇することもあります。 そのため、緊急時にスムーズに設置できる製品を選ぶことは非常に重要です。

設置のしやすさを判断する際のポイントは以下のとおりです。

確認ポイント内容
重量一人で持ち運べる重さか、複数人が必要か
設置手順手順がシンプルで、短時間で設置できるか
必要な工具特別な工具なしで設置できるか
固定方法ワンタッチロックなど、素早く固定できる仕組みか

たとえば、高さ450mm×幅1,000mmのアルミ製止水板であれば、重量は約6kg程度の製品が多く、大人一人でも持ち運びが可能です。 設置作業も1分程度で完了する製品があり、緊急時の対応に適しています。

また、設置を担当する人が誰になるかも考慮すべき点です。 女性や高齢者でも設置できる軽量タイプを選ぶか、複数人での設置を前提とした大型タイプを選ぶかは、建物の管理体制によって異なります。

設置のしやすさを重視する場合は、以下のような製品がおすすめです。

  • 軽量アルミ製で一人でも持ち運べる製品
  • 特別な工具なしで設置できる製品
  • ワンタッチロックやマグネット固定など素早く固定できる製品
  • 設置訓練がなくても直感的に設置できるシンプルな構造の製品

コストと耐久性のバランス

止水板の価格は、サイズや素材、性能によって大きく異なります。 予算と求める性能のバランスを取りながら、適切な製品を選ぶことが大切です。

止水板の価格帯は、一般的に以下のような傾向があります。

タイプ価格の傾向特徴
置くだけタイプ比較的安価工事費用が不要、手軽に導入可能
脱着式(レール設置)中〜高価格支柱設置工事が必要、高い止水性能
自動昇降式・フロート式高価格自動作動、大規模施設向け
シャッター・防水扉タイプ最も高価大規模工事が必要、大型開口部向け

具体的な価格の例として、脱着式止水板では高さ450mm×幅1,000mmで約6万円程度から導入できる製品があります。 ただし、設置工事費用は別途必要となる場合が多いため、総額で予算を検討する必要があります。

耐久性については、使用されている素材によって異なります。

  • アルミニウム合金:軽量で耐食性に優れ、長期使用に適している
  • ステンレス:強度と耐食性が高いが、アルミより重い
  • FRP:軽量で錆びないが、紫外線による劣化に注意が必要

ゴムパッキンの素材も耐久性に影響します。 EPDMゴムは耐候性・耐熱性に優れており、適切な保管をおこなえば10〜15年程度の使用が可能です。

コストを抑えたい場合は、必要最小限のサイズと性能の製品を選ぶことがポイントです。 一方で、重要施設の浸水対策には、多少コストが高くても信頼性の高い製品を選ぶことをおすすめします。

JIS規格と求められる性能基準

止水板を選ぶ際には、止水性能を示す客観的な指標を確認することが重要です。 JIS規格(日本産業規格)にもとづく性能等級は、製品選びの目安となります。

止水板そのものを直接規定する専用のJIS規格はありませんが、浸水防止用設備に関する「JIS A 4716」が参照されることが一般的です。 この規格では、漏水量によって等級が定められています。

等級漏水量(ℓ/h・㎡)
Ws-150超え〜200以下
Ws-220超え〜50以下
Ws-310超え〜20以下
Ws-44超え〜10以下
Ws-51超え〜4以下
Ws-61以下

数字が大きいほど漏水量が少なく、止水性能が高いことを示します。 Ws-6が最高等級であり、1時間あたり1平方メートルにつき1リットル以下の漏水量を意味します。

一般的な住宅や店舗の浸水対策であれば、Ws-3(漏水量20ℓ/h・㎡以下)程度の性能があれば十分とされています。 ただし、より高い止水性能を求める場合や、重要設備を保護する場合には、Ws-5やWs-6の製品を検討するとよいでしょう。

止水性能以外にも、以下の性能を確認することをおすすめします。

  • 耐水圧性:水深何メートルまで耐えられるか
  • 耐久性:素材の耐食性や耐候性
  • 耐衝撃性:流水や漂流物による衝撃への耐性

製品を選ぶ際には、メーカーが公表している試験データや第三者機関による認証を確認すると、より客観的な判断ができます。

導入実績と評判の確認方法

止水板は災害時に建物を守る重要な設備であるため、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが大切です。 導入実績や評判を確認する方法を知っておきましょう。

導入実績を確認する際のポイントは以下のとおりです。

確認ポイント確認方法
企業・公共施設での採用実績メーカーのウェブサイトや導入事例で確認
実際の浸水被害での効果災害時の報道や体験談を調査
メーカーの信頼性会社の規模、業歴、認証取得状況を確認
アフターサポート体制保証期間、メンテナンス対応の有無

実績のあるメーカーは、品質や安全性に関して確かな実績を持っています。 特に上場企業が製造している製品や、自社工場で一貫生産をおこなっている製品は、品質管理体制が整っている傾向があります。

評判を確認する方法としては、以下のような手段があります。

  • メーカーのウェブサイトで導入事例や顧客の声を確認する
  • 建築・設備関連の展示会でメーカー担当者に直接話を聞く
  • 同業者や近隣で導入している方に使用感を聞く
  • 自治体の防災担当部署に推奨製品を問い合わせる

また、実際に製品を見て触れることも重要です。 展示会やショールームで実物を確認できる機会があれば、積極的に参加することをおすすめします。

止水板の維持管理とメンテナンス

止水板の性能を長期間維持するためには、適切な維持管理とメンテナンスが欠かせません。 定期点検と正しい保管方法について解説します。

定期点検の重要性

止水板は緊急時に確実に機能することが求められる設備です。 いざというときに問題なく使用できるよう、定期的な点検をおこなうことが重要です。

定期点検の推奨頻度は、年に1〜2回程度です。 特に台風シーズン前や梅雨入り前には、必ず点検をおこなうことをおすすめします。

定期点検で確認すべき項目は以下のとおりです。

点検項目確認内容
密閉性ゴムパッキンに摩耗、ひび割れ、硬化がないか
動作確認固定金具のゆるみや錆がないか、スムーズに動作するか
清掃状態パネルや枠に汚れや異物が付着していないか
素材の劣化本体パネルや支柱に腐食や変形がないか
部品の欠損固定金具やシール材などの部品が揃っているか

点検の結果、以下のような問題が見つかった場合は、速やかに対処する必要があります。

  • ゴムパッキンの劣化:交換が必要です。メーカーに交換用パーツを問い合わせましょう
  • 固定金具の錆:軽度であれば錆落とし、重度であれば交換を検討
  • パネルの変形:止水性能に影響するため、メーカーに相談

定期点検に加えて、年に1〜2回の設置訓練も実施することをおすすめします。 設置訓練をおこなうことで、手順の確認とともに製品の状態チェックもできるため、一石二鳥です。

性能を維持するための保管方法

止水板の性能を長期間維持するためには、正しい方法で保管することが大切です。 特にゴムパッキンの劣化を防ぐことが、保管における重要なポイントとなります。

止水板の保管場所に関する注意点は以下のとおりです。

  • 日光が直接当たらない場所に保管する(紫外線によるゴムの劣化を防止)
  • 雨が直接当たらない屋内に保管する(錆や腐食を防止)
  • 高温多湿を避けた場所に保管する(ゴムの劣化やカビの発生を防止)
  • 平坦で安定した場所に保管する(転倒や破損を防止)

保管方法についても注意が必要です。

保管方法理由
壁面にフックで掛けて保管ゴムパッキンを圧縮しない状態を保てる
立てかけて保管パネルを重ねるとゴムが圧縮される可能性があるため
専用ケースや保管棚を使用埃や汚れの付着を防ぎ、取り出しやすい

使用後の手入れも大切です。 浸水対策として使用した後は、以下の手順でお手入れをおこないましょう。

  1. 止水板を水道水できれいに洗い流す
  2. 中空構造のパネルは内部も水道水で洗浄する
  3. 十分に乾燥させてから保管場所に戻す
  4. ゴムパッキンの状態を確認し、劣化が見られたら交換を検討する

適切な保管をおこなえば、ゴムパッキンの耐用年数は10〜15年程度です。 ただし、保管状況や使用頻度によって寿命は変わりますので、定期点検で状態を確認することが大切です。

浸水対策には止水板「水用心」 上場企業製造の安心品質

浸水対策用の止水板をお探しなら、国内シェアNo.1のアルミメーカーが自社工場で一貫生産する「水用心」がおすすめです。 高い止水性能とコストパフォーマンスを両立した製品として、多くの企業や個人のお客様に選ばれています。

「水用心」は、世界トップクラスのアルミニウム総合メーカーが製造する止水板です。 高度な技術力と厳格な品質管理により、JIS A 4716 Ws-3クラス相当(漏水量20ℓ/h・㎡以下)の優れた止水性能を実現しています。 土のうと比較すると、約100倍の止水性能を発揮します。

「水用心」の主な特長は以下のとおりです。

特長内容
コストパフォーマンス自社工場での一貫生産により、他社製品と比較して約20〜90%のコストカットを実現
軽量設計高さ450mm×幅1,000mmで約6kgの軽量設計。大人一人で1分程度の簡単取り付けが可能
カスタマイズ対応設置場所に合わせたサイズ調整が可能。高さは150〜550mm、幅は500〜3,000mmまで対応
2段重ね対応パネルを2段に重ねることで、浸水深さ1.1mまで対応可能
京大共同実験京都大学との共同実験で、浸水深さ2mでの強度テストなど厳しい試験をクリア

「水用心」は、設置方法のバリエーションも豊富です。 ダブルクリップ仕様、落とし込み(ノブボルト)仕様、落とし込み(ハンドル)仕様、マグネット仕様など、設置場所の状況に合わせて最適な方式を選択できます。

止水ゴムにはEPDMゴム発泡体を採用しており、耐候性・耐熱性に優れた長寿命設計です。 適切な保管をおこなえば、10〜15年程度の使用が可能です。

「水用心」は、一戸建て住宅からマンション、地下駐車場、工場・倉庫、店舗、学校まで幅広い場所でご利用いただいております。 写真とサイズを送るだけで設置可否と概算見積もりをお伝えできますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

浸水対策には止水板「水用心」 |特設サイトはこちらはから

まとめ

本記事では、止水板の原理から種類、設置方法、選び方まで詳しく解説しました。

止水板は、本体パネルによる物理的な遮断とゴムパッキンによる密閉という2つの要素で浸水を防ぐ仕組みです。 水圧を受け止める強度設計と、枠や固定金具による位置固定が組み合わさることで、高い止水性能を発揮します。

止水板の種類には、固定式、脱着式(レール設置タイプ)、置くだけタイプ、自動昇降式・フロート式、シャッター・防水扉タイプがあります。 設置場所や予算、求める性能に応じて適切なタイプを選ぶことが大切です。

製品を選ぶ際には、設置のしやすさ、コストと耐久性のバランス、JIS規格にもとづく性能等級、導入実績と評判を確認しましょう。 また、導入後は定期的な点検と適切な保管をおこなうことで、長期にわたって性能を維持できます。

近年の気候変動により、浸水被害はいつどこで発生してもおかしくない状況です。 「いつか対策しよう」と先延ばしにするのではなく、まずは設置したい場所のサイズを測り、ハザードマップで浸水リスクを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。