止水板の効果はどこまで?漏水量でわかる止水性能と選び方を解説

「止水板を入れたいけれど、板を置くだけで本当に水が止まるのだろうか」。
そんなふうに、導入をためらっている方は少なくありません。

近年は1時間に50mm以上のはげしい雨が降る回数が以前の約1.5倍にふえ、これまで水とは無縁だった地域でも浸水の被害があいついでいます。
とはいえ、止水板は決して安い買いものではありません。
だからこそ、「効果がどのくらいあるのか」「うちの玄関やシャッターでもきちんと効くのか」を、あいまいなイメージではなく数字で見きわめたいところです。

この記事では、止水板が水を止めるしくみから、漏水量という止水性能のものさし、そして私たちが推奨する脱着式アルミ止水板「水用心」が実際に発揮する土のうの約100倍という止水性能まで、順を追ってわかりやすく解説していきます。

読みおえるころには、止水板の効果の中身と限界を正しく理解し、ご自身の建物にあった一枚をえらぶ判断のじくが手に入っているはずです。
まずは、止水板とはそもそも何なのか、その基本からいっしょに見ていきましょう。

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止水板とは?水の侵入を防ぐ仕組みと効果の基本

止水板とは、その名のとおり水を止めるための板のことで、防水板や防潮板とよばれることもあります。
読みかたは「しすいばん」で、建物の玄関やガレージ、店舗の自動ドアの前などに設置し、そとから流れこもうとする水の侵入をふせぐための設備です。

呼びかたは自治体や業界によって多少ちがいますが、目的やはたらきはどれもほとんど同じと考えて問題ありません。
止水板が注目をあつめている背景には、都市部でふえている内水氾濫があります。

内水氾濫とは、下水道の排水能力をこえた雨水が、マンホールや側溝からあふれだす現象のことです。
コンクリートやアスファルトにおおわれた市街地は雨水のにげ場がすくなく、川からはなれた立地であっても、あっというまに道路が冠水してしまいます。
こうした急な水位の上昇にそなえる手段として、土のうにかわる浸水対策のグッズとして止水板の効果に関心をよせる企業や家庭がふえているのです。

止水板をおおまかに整理すると、次の3つのタイプにわけられます。

  • 置くだけタイプ:工事がいらず、水圧で板が地面におさえつけられて固定される。マンションや小規模な店舗にむく
  • 脱着式(レール設置)タイプ:平時に支柱やレールをつけておき、雨の予報が出たら板を落としこむ。密着度が高く、比較的たかい水位にも対応できる
  • シャッター・防水扉タイプ:ふだんは壁や地面に収納され、緊急時に引きだして壁をつくる。手間はほぼないが導入費用は高額になりやすい

このように、ひとくちに止水板といっても手軽さと止水性能のバランスはさまざまです。
大切なのは、効果の程度と自分の建物の条件を照らしあわせてえらぶという視点です。
つづく項目では、その効果を生みだす「しくみ」を、もう一歩ふみこんで見ていきます。

止水板が水を止める仕組み

「ただの板を置くだけで、なぜ水が止まるのか」という疑問は、多くの方がいだくところです。
止水板のしくみはとてもシンプルで、水の通り道である間口に板を立て、床や壁とのあいだにあるゴムを強く密着させて隙間をなくす、というものです。
このゴムがぴったりとはまることで水のにげ道がふさがれ、外側の水をせきとめられます。

たとえば「水用心」の場合、止水板の本体にはEPDMという弾力のあるゴムが使われています。
このゴムが床面や支柱におしつけられ、変形しながら細かな凹凸にもなじむため、面でしっかりと水をうけとめられるわけです。
つまり止水板の効果は、板そのものの強さだけでなく、接地面の密着の精度によって大きく左右されるといえます。

浸水がはじまると、この板の中空の部分にも水が入りこみ、板そのものの重さが増していきます。
その結果、水にうかびあがろうとする浮力をみずからの重さで打ち消し、地面にどっしりとふんばりながら水を止めつづけます。
軽くて運びやすいのに、いざというときはしっかり止まる。

この相反する2つを両立させているところに、脱着式アルミ止水板ならではの工夫がつまっているのです。

止水板が水を止めるしくみを整理すると、ポイントは次の3つに集約できます。

しくみの要素はたらき
ゴムの密着床・壁との隙間をなくし、水のにげ道をふさぐ
板の強度水圧を面でうけとめ、変形やたわみをふせぐ
中空構造による自重浸水時に中空部へ水が入り、浮力を打ち消して固定する

こうしたしくみがそろってはじめて、止水板は期待どおりの効果を発揮します。
逆にいえば、密着や設置がいいかげんだと効果は大きく下がってしまうため、製品えらびと同じくらい正しい設置が重要になるのです。

止水板で防げる被害・得られる効果(メリット)

止水板の最大の効果は、建物のなかへの水の侵入をおさえ、浸水による被害を軽減できることです。
台風やゲリラ豪雨のときには、道路にたまった雨水が店舗や工場、マンションの出入口から一気に流れこむことがあります。

出入口の手前で水をせきとめられれば、床材や内装、設備、電気機器、そして在庫や商品といった大切な財産をまもりやすくなります。
とりわけ事業者にとって深刻なのが、浸水にともなう休業損失です。

工場の操業がとまったり、店舗が営業できなくなったりすれば、修繕の費用だけでなく、うりあげの機会そのものをうしなってしまいます。
止水板をあらかじめ設置しておくことは、こうした事業のリスクにそなえるBCP対策の一手としても有効にはたらきます。

見おとされがちですが、床下の浸水であっても被害は発生するという点にも注意が必要です。
しかも浸水の被害は、火災保険の契約の内容によっては十分に補償されない場合があります。
「保険があるから安心」と考えていると、いざというときに想定外の自己負担がのしかかる恐れもあるのです。

止水板には、被害をふせぐこと以外にもいくつかのメリットがあります。

  • くりかえし使える:使ったあとに洗ってかわかせば、なんども利用できる。使い捨ての土のうとちがい、処分のてまや費用がかからない
  • 設置がはやい:工具のいらない製品なら、大人ひとりでも短時間で設置できる。女性や高齢の方でもあつかいやすい
  • 自宅にとどまれる:玄関からの浸水をふせげれば、むりに外へ出ずに自宅で安全にすごせる場面がふえる
  • 保管しやすい:軽くてかさばりにくく、重ねてコンパクトにしまっておける製品が多い

このように、止水板の効果は「水を止める」という一点にとどまりません。

被害の軽減と、日ごろのあつかいやすさ、そしてコストのバランスまで見わたせるところに、現代の浸水対策としてえらばれる理由があります。
つぎの章では、その効果が「実際どれくらいなのか」を、漏水量という数字のものさしを使ってくわしく見ていきましょう。

止水板の効果はどれくらい?漏水量・止水高で見る止水性能

止水板の効果を語るうえで欠かせないのが、その性能を数字でとらえるという視点です。
「なんとなく水を止めてくれそう」というイメージだけで製品をえらぶと、いざというときに想定より多くの水がしみこんできて、後悔することにもなりかねません。

止水板の効果は、おもに漏水量、止水高、耐水圧という3つのものさしではかられます。
なかでも重要なのが、どれくらい水が漏れるのかをあらわす漏水量です。

漏水量が小さいほど水をしっかり止められる、つまり性能が高いことを意味します。
この章では、それぞれの数字が何をしめしているのかを、ひとつずつかみくだいて解説していきます。

数字の見かたがわかれば、カタログをひらいたときに「この止水板は自分の建物にあうのか」を自分で判断できるようになります。
まずは、止水性能の中心となる漏水量から見ていきましょう。

漏水量とは?JIS A 4716の等級で見る止水性能

漏水量とは、止水板をこえてしみこんでくる水の量をあらわす数値です。
単位はℓ/(h・㎡)で示されることが多く、これは1時間(h)のあいだに、水があたる面積1㎡あたり、どれだけの水(ℓ)が漏れるのかを意味しています。

たとえば「漏水量20ℓ/(h・㎡)」とあれば、1㎡の面に1時間で20ℓの水が漏れる性能、という読みかたになります。
この漏水量には、比較のためのものさしとしてJIS A 4716という規格が定められています。

漏水量の大小におうじて、止水性能はWs-1からWs-6までの6つの等級にわけられており、この数字が大きいほど水を通しにくい、すぐれた製品ということになります。

漏水量が50ℓ/(h・㎡)を超え200ℓ/(h・㎡)以下を示す「Ws-1」が低いランクとなり、止水性が最も高い「Ws-6」は漏水量が1ℓ/(h・㎡)以下に与えられる最高ランクの等級です。つまり、Ws-1は「多少の漏れはあるが水の勢いをやわらげる」レベル、Ws-6は「ほとんど漏らさない」最高レベル、というイメージでとらえるとわかりやすいでしょう。

自分の建物にどの等級が必要かは、設置する場所の重要度によって変わってきます。
たとえば地下の電気室やポンプ室のように、浸水すると復旧に時間がかかる場所には、より高い等級の止水板がのぞましいといえます。

一方で、多少の漏れをゆるしてでもスピーディーに設置したい場所であれば、あつかいやすさやコストのバランスを重視したえらびかたも合理的です。

JIS A 4716 漏水量による等級表(Ws-1〜Ws-6)

漏水量の等級は、数字だけを見てもイメージがつかみにくいものです。
そこで、JIS A 4716でさだめられた等級ごとの漏水量を、一覧の表にまとめました。

止水板の効果がどのくらいなのかをくらべるときの、基準としてお役立てください。

等級漏水量 ℓ/(h・㎡)止水性能のイメージ
Ws-150ℓ超え〜200ℓ以下水の勢いをやわらげるレベル
Ws-220ℓ超え〜50ℓ以下一般的な簡易止水板の水準
Ws-310ℓ超え〜20ℓ以下住宅・店舗の出入口に十分な水準
Ws-44ℓ超え〜10ℓ以下高い止水性が求められる場所むけ
Ws-51ℓ超え〜4ℓ以下重要施設にも対応できる水準
Ws-61ℓ以下ほとんど漏らさない最高ランク

※漏水量は止水板の面積1㎡あたり、1時間あたりの数値です。

参考までに、脱着式アルミ止水板「水用心」は、**JIS A 4716 Ws-3クラス相当(漏水量20ℓ/(h・㎡)以下)**という止水性能をそなえています。
この数値は、水深500mm、止水板の幅2,000mmという条件でおこなわれた社内の実験にもとづくものです。

住宅や店舗の玄関、ガレージといった一般的な出入口の浸水対策としては、じゅうぶんに頼れる水準といえるでしょう。

メーカーごとの性能表記の見方と注意点

漏水量の等級を知るうえで、ぜひ気をつけていただきたい落とし穴があります。
それは、JIS A 4716という規格が、本来はシャッター型とドア型の製品を対象にしているという点です。

そのため、板を落としこんで使う脱着式の止水板は、規格の対象そのものからは外れています。
このことから、脱着式の製品では等級を「Ws-3相当」というように、「相当」という言葉をそえて表記するのが一般的です。

これは決してあいまいにしているわけではなく、規格の対象外である製品について、その性能をわかりやすく伝えるための誠実な書きかたといえます。
カタログを見るときは、この「相当」という表記の背景を知っておくと、各社の数字を正しく読みくらべられます。

もうひとつ大切なのが、性能の数値がどんな条件ではかられたのかをあわせて確認することです。
同じ漏水量であっても、水深が浅い条件と深い条件とでは、そのむずかしさがまったくちがってきます。

たとえば「水用心」が示すWs-3相当という数値には、「水深500mm、幅2,000mmでの実験値」という前提がきちんと明記されています。

性能表記を見るときのチェックポイントを、次の箇条書きにまとめました。

  • 等級だけでなく漏水量の実数(◯ℓ/(h・㎡))まで確認する
  • 「相当」表記の場合、どんな実験条件での数値かをあわせて見る
  • 水深・幅といった試験の前提条件が明記されているか
  • 実験の様子や測定結果を公開しているメーカーかどうか

止水板の止水性能を実験の上、結果を公表しているメーカーの製品を選ぶのがおすすめです。
裏づけとなる実験データをきちんと示している製品ほど、表示された効果を信頼しやすいと考えてよいでしょう。

止水高・対応浸水深の確認ポイント

漏水量とならんで、止水板えらびで必ず確認したいのが止水高です。
止水高とは、その止水板がどれくらいの高さの水までせきとめられるかをあらわす数値のことです。

いくら漏水量がすぐれていても、想定される水位より止水高が低ければ、板をこえて水が流れこんでしまいます。
そこで、まず知っておきたいのが「自分の建物では、どのくらいの深さまで水がくる可能性があるのか」という想定浸水深です。

この想定浸水深と止水高をくらべ、水位よりも余裕をもって高い止水板をえらぶのが基本の考えかたになります。
たとえば想定される浸水の深さが40cmなら、それを上まわる高さに対応した製品を用意しておく、というイメージです。

具体的な数字で見てみましょう。

脱着式アルミ止水板「水用心」の場合、板1枚あたりの高さは150〜550mmのあいだで、100mm刻みでえらべます。
さらに、この止水板を2段に積みかさねることで、浸水の深さ1.1mにも対応できるという柔軟さをもっています。
間口の広さについても、0.5〜15m程度と幅ひろく、着脱式の中間の支柱を使えば、シャッターのような3mをこえる大きな開口部にも設置が可能です。

止水高と対応浸水深を考えるときのポイントを、次の表に整理しました。

確認する項目見るべきポイント
想定浸水深ハザードマップなどで自分の地域の水位を確認する
止水高想定浸水深よりも高い数値の製品をえらぶ
段の重ね深い浸水には2段重ねなどで高さをおぎなえるか
間口の幅出入口やシャッターの幅に対応できるか

このように、止水板の効果を十分に引きだすには、漏水量という「質」と、止水高という「高さ」の両方をそろえて考えることが欠かせません。
自分の建物の条件にあわせて、必要な性能を見きわめていきましょう。

土のうと比べた止水性能の高さと実験での裏づけ

止水板の効果を実感していただくために、昔ながらの浸水対策である土のうとの比較を見てみましょう。
じつは脱着式の止水板は、土のうとくらべものにならないほど高い止水性能をもっています。

「水用心」は、水圧を利用して板を密着させるしくみによって、シンプルな構造ながら土のうの約100倍という止水性能を発揮します。
この「約100倍」という数字には、実験にもとづく裏づけがあります。

鈴木シャッターも自社の防水板「オクダケ」について、水位50cm、幅2mのとき、1分間あたりの漏水量に換算すると0.56ℓと、500mℓのペットボトル1本程度に抑えることができますと公表しています。

さらに同社は、「オクダケ」の止水性能は土のうの約100倍となるため、1分間の漏水量比較においても、土のうの場合は500mℓペットボトル100本程度と、大きな差があると説明しています。

同じ1分間で、片や500mℓのペットボトル1本、片や100本。
この差こそが、止水板と土のうの効果の圧倒的なひらきをものがたっています。

止水板の性能を裏づける根拠を、次の箇条書きに整理します。

  • 土のうの約100倍という止水性能を、水圧で密着させる機構で実現している
  • 1分間の漏水量にすると、土のうとの差はペットボトル1本と100本ほどにもなる
  • 京都大学との共同実験で、浸水深2mの強度・動水・越水といった試験を実施している
  • 社内実験だけでなく、第三者の設備を用いた検証で性能をたしかめている

数字と実験の両面から見ても、止水板の効果は土のうを大きく上まわることがわかります。
大切な財産を確実にまもりたいのであれば、実験でうらづけされた性能をもつ止水板をえらぶことが、後悔しないための近道になるはずです。

動画で見る「水用心」の止水性能

私たちが推奨する、止水板「水用心」の性能について紹介してる動画になります。

想定浸水深別・自社、自宅に必要な止水板の効果レベル

止水板の効果を最大限に引きだすうえで、いちばんの出発点になるのが自分の建物にどれくらいの水がくるのかを知ることです。
どんなに高性能な製品でも、想定される水位に高さが足りなければ、板をこえて水が入りこんでしまいます。

そこで役立つのが、地域ごとの浸水のリスクを示した想定浸水深という考えかたです。
想定浸水深とは、大雨や洪水のときに、その場所がどのくらいの深さまで水につかる可能性があるかをあらわす目安のことです。

この数字は、後ほど紹介するハザードマップで確認できます。
自分の建物の想定浸水深がわかれば、そこから逆算して、必要な止水高をそなえた止水板をえらぶという道すじが見えてきます。

考えかたの基本は、想定される水位よりも余裕をもって高い製品を用意することです。
たとえば想定浸水深が30cmだからといって、ちょうど30cmの止水板をえらぶのは心もとありません。
雨のふりかたや水の流れによっては、想定を上まわる場面もあるため、ひとまわり高い止水高でそなえておくのが安心といえます。

脱着式アルミ止水板「水用心」を例に、想定浸水深と製品の構成の目安を表にまとめました。

想定浸水深の目安必要な止水板の構成主な設置場所のイメージ
〜0.5m程度1枚(高さ150〜550mm)で対応住宅の玄関・ガレージ・小規模店舗
0.5m〜1.1m程度2段重ねで高さをおぎなう工場・倉庫の搬入口・地下入口
1.1mを超える止水板に加え排水ポンプなどの複合対策重要施設・大規模な地下空間

この表からわかるのは、浸水が深くなるほど水圧も大きくなり、より高い止水高と、確かな設置の精度がもとめられるということです。
想定浸水深が非常に深い場所では、止水板だけにたよらず、排水ポンプや逆流防止弁といった別の対策とくみあわせて、被害のリスクをへらす考えかたも大切です。

自分の建物にあった効果のレベルを見きわめるための手順を、箇条書きにまとめます。

  • ハザードマップで自分の地域の想定浸水深をしらべる
  • その水位よりも高い止水高の製品をえらぶ
  • 深い浸水がみこまれる場合は2段重ねや複合対策を検討する
  • 間口の広さや設置場所の構造もあわせて確認する

まずは自分の建物の想定浸水深を知り、そこから必要な止水板の効果レベルを逆算する。
この一歩をふむだけで、製品えらびの迷いはぐっとへり、むだのない浸水対策に近づけます。

止水板と土のうの効果を徹底比較

浸水対策と聞いて、多くの方がまず思いうかべるのが土のうではないでしょうか。
土のうは古くからつかわれてきた手段ですが、止水板とくらべると、効果の面でも手間の面でも大きなちがいがあります。

ここでは両者を正面から見くらべ、止水板がどれだけ実用的な選択肢なのかをはっきりさせていきます。
まず注目したいのが、肝心の止水性能です。

前の章でもふれたとおり、脱着式の止水板は土のうの約100倍という止水性能をもっています。
1分間あたりの漏水量にすると、土のうが500mℓのペットボトル約100本分もれるのに対し、止水板はわずか1本分ほどにおさえられる、という大きな差が生まれます。

つぎに、あつかいやすさの面を見てみましょう。
土のうは1袋あたり約20〜25kgもの重さがあり、出入口をふさぐには数十個を積みあげる必要があります。

これに対して「水用心」は、高さ550mm×幅2,000mmの1枚でも約14kgと軽く、工具をつかわず大人ひとりで約1分という手軽さで設置できます。
保管や使いまわしの点でも、両者の差ははっきりしています。

土のうは一度水をふくむと産業廃棄物としての処分がひつようになり、衛生面や処理の費用に頭をなやませることになります。
一方の止水板は、使ったあとに水で洗ってかわかせばなんども繰りかえし使え、経済的です。

ここまでの比較を、一覧の表に整理しました。

比較の項目止水板(脱着式)土のう
止水性能高い(土のうの約100倍※水用心の場合)隙間から漏れやすい
重さ・設置軽量で大人1人・約1分1袋20〜25kgで数十個必要
保管洗って繰りかえし使える処分に手間と費用がかかる
衛生面清潔にたもてる汚水がしみこみやすい

こうして見ると、止水板は止水性能だけでなく、設置のはやさや保管のしやすさまでふくめて、土のうを大きく上まわることがわかります。

止水板が土のうにまさるポイントを、箇条書きでもまとめておきます。

  • 止水板「水用心」の場合、止水性能が土のうの約100倍と、水を止める力がけたちがいに高い
  • 軽くて設置がはやく、女性や高齢の方でもあつかいやすい
  • 洗って繰りかえし使えるため、処分の手間や費用がかからない
  • 汚水がしみこまず、衛生的に保管しておける

もちろん、応急の対策として土のうが役立つ場面もあります。
ただし、確実に水を止め、くりかえし頼れる浸水対策をもとめるのであれば、止水板の効果は土のうをはるかにしのぐ選択肢だといえるでしょう。

過信は禁物|止水板の効果の限界と注意点(デメリット)

ここまで止水板の高い効果を紹介してきましたが、大切なことをひとつお伝えしなければなりません。
それは、止水板は完全に水を止めきる万能の製品ではないということです。

完全に止水できる製品ではなく、建物の構造や設置場所の状態によって漏水量は異なる場合があります。
止水板を安心してつかうためには、その効果だけでなく、限界と注意点まで正しく知っておくことが欠かせません。

効果を過信してしまうと、いざというときに「思ったより水が入ってきた」という事態をまねきかねないからです。
この章では、止水板の効果が下がってしまうケースや、性能をたもつためのポイントを、正直にお伝えしていきます。

デメリットまで理解したうえで導入すれば、止水板はより頼れる浸水対策になります。

設置面の段差・不陸・壁構造で効果が下がるケース

止水板の効果は、設置する床や壁との密着の精度に大きく左右されます。
板と地面のあいだにわずかな隙間があるだけで、そこから水が回りこんでしまうためです。

とくに気をつけたいのが、床や玄関の枠にある段差や、平らでない面、いわゆる不陸とよばれる状態です。
たとえば、床にゆがみや凹凸があったり、タイルの目地に深い溝があったりすると、ゴムがぴったりとはまらず、そこから水がしみこむリスクが高まります。

床や玄関枠が歪んでいたり、段差があったりする場合は水が回り込むリスクがあると指摘されています。
つまり止水板の効果を十分にいかすには、設置する面がゴムを密着させられる状態かどうかを、あらかじめ確かめておく必要があるのです。

また、柱や壁の構造によっては、そもそも止水板をうまく取りつけられない場合もあります。
柱や壁面、床面の現地の状況によっては設置できないことがあります。

効果が下がりやすい設置環境を、箇条書きで整理しておきます。

  • 床や玄関枠に段差やゆがみがあり、ゴムが密着しにくい
  • 地面に深い溝や凹凸があり、隙間から水が回りこむ
  • 柱や壁の構造が特殊で、支柱をしっかり固定できない
  • 設置面の素材がもろく、取りつけに向かない

こうしたリスクを見のがさないためにも、導入の前には専門の業者による現地調査をうけておくのが安心です。
自分では気づきにくい設置面の問題も、経験ゆたかな施工店なら的確に見きわめてくれます。

想定浸水深・止水高を超えると効果が限定される

どんなに高性能な止水板でも、その止水高をこえる水位には対応できません
止水板はあくまで、決められた高さまでの水をせきとめる製品だからです。

想定を大きく上まわる浸水が発生すれば、板の上から水が流れこんでしまうのは避けられません。
また、水位そのものだけでなく、水がおしよせる時間の長さや勢いも効果に影響します。

長時間にわたって高い水圧がかかりつづける状況では、たとえ止水高の範囲内であっても、じわじわと漏水がふえる可能性があります。
だからこそ、想定浸水深に見あった止水高をえらぶことと、水位が想定をこえる前に避難するという判断の両方が欠かせません。

止水性能が高いからといって建物内は絶対安全というわけではなく、人命にかかわる場合や想定外の水位に達する可能性もあり得るため、浸水前に避難するといった判断も含めた浸水防止計画の策定が大切です。

止水板は財産をまもる有効な手段ですが、命をまもる行動の代わりにはならないという点は、しっかり心にとめておきましょう。

想定をこえる浸水にそなえるための考えかたを、箇条書きにまとめます。

  • 止水板の止水高をこえる水位には対応できないと理解しておく
  • 長時間・高水圧の状況では漏水がふえる場合がある
  • 排水ポンプや逆流防止弁など、複合的な対策とくみあわせる
  • 想定をこえそうなときは、財産よりも避難を優先する

止水板と、排水ポンプや逆止弁といった対策を組みあわせれば、より広い水害のシナリオに備えられます。
一つの製品にたよりきるのではなく、建物全体で浸水のリスクを下げるという視点をもつことが大切です。

正しい設置・保管・点検で効果を保つ

止水板の効果を長くたもつには、日ごろの正しい設置と保管、そして定期的な点検が欠かせません。
どれほど高性能な製品でも、あつかいがいいかげんだと、本来の力を発揮できなくなってしまうからです。

とくに止水の要となるゴムは、保管の状態しだいで寿命が大きく変わってきます。
三恵工業は「止水板」の保管について、日光や雨が直接あたる屋外をさけ、屋内で保管するようにすすめています。

さらに、止水ゴムが変形して性能が下がるのをふせぐため、壁にフックでかけたり立てかけたりして、ゴムを圧縮しない状態でしまうことが大切だとしています。
使ったあとは水道水で洗いながし、中空の部分も同じように流して、十分にかわかしてから保管するのが望ましいあつかいかたです。

点検についても、めやすとなる目安があります。
三恵工業は、年に1〜2回程度の設備の点検と、いざというときのための設置訓練をすすめています。
くわえて、パネルについている水密ゴムの耐久性は10〜15年ほどとされており、10年をめどに、著しく劣化していれば交換することがのぞましいとされています。

効果を保つためのお手入れのポイントを、表に整理しました。

項目望ましいあつかいかた
保管場所直射日光や雨をさけ、屋内で保管する
ゴムの扱い圧縮しないよう、掛けるか立てかけて保管する
使用後の手入れ水道水で洗い、中空部も流して十分にかわかす
点検年に1〜2回の点検と、設置訓練をおこなう
ゴムの交換耐久性は10〜15年、10年をめどに劣化を確認する

こうした日ごろの手入れをつづけることで、止水板はいざというときに確かな効果を発揮してくれます。
「買って終わり」ではなく、育てながら使うという意識をもつことが、大切な財産をまもりつづける秘訣といえるでしょう。

効果を最大化する止水板の選び方と設置場所

止水板の効果を十分に引きだすには、製品そのものの性能と、設置する場所や方法の両方に目をむける必要があります。
いくら高性能な止水板をえらんでも、建物の条件にあっていなければ、その力を発揮しきれないからです。

逆にいえば、正しいえらびかたと設置の工夫しだいで、止水板の効果は大きくのびていきます。
ここでは、後悔しない止水板えらびのための3つの軸と、種類ごとの効果のちがい、そして効果が出やすい設置場所について、順に整理していきます。

自分の建物にぴったりの一枚を見つけるための、実践的な手がかりにしてください。
読みおえるころには、「どんな止水板を、どこに、どう設置すればよいか」の全体像がつかめているはずです。

効果を出す選び方3つの軸

止水板をえらぶとき、判断のじくとなるのが止水性能、設置のしやすさ、設置面との相性という3つの視点です。
この3つをバランスよく見きわめることが、効果を最大化する近道になります。

どれか一つだけを重視すると、いざというときに期待した効果が出ないこともあるため、総合的に判断することが大切です。


1つめの軸は、なんといっても止水性能です。
これまで見てきたように、漏水量による等級や止水高を確認し、自分の想定浸水深に見あった製品をえらびます。
住宅の玄関ならWs-3相当でも十分ですが、地下の電気室のように浸水の被害が大きい場所では、より高い等級をえらぶといった使いわけが求められます。

2つめの軸は、設置と撤去のしやすさです。
浸水はいつおとずれるかわからないため、いざというときにすぐ設置できるかどうかは、効果に直結します。
工具がいらず、少ない人数で短時間に設置できる製品ほど、緊急の場面でたよりになります。

3つめの軸は、設置面との相性です。
前の章でふれたとおり、床や壁に段差や凹凸があると、ゴムが密着せず効果が下がってしまいます。
自分の建物の間口の幅や、床・壁の状態にあった製品をえらぶことが欠かせません。

3つの軸をまとめると、次のようになります。

選び方の軸確認するポイント
止水性能漏水量の等級・止水高が想定浸水深に見あっているか
設置のしやすさ工具の要不要・設置にかかる人数と時間
設置面との相性間口の幅・床や壁の段差や構造にあうか

この3つの軸を意識してえらべば、性能と使いやすさを両立した止水板にたどりつけます。
迷ったときは、専門の施工店に相談し、自分の建物の条件を伝えたうえで提案してもらうのが確実です。

種類・設置方法別の効果と特徴

止水板には、これまでにふれた置くだけタイプ、脱着式タイプ、シャッター・防水扉タイプという大きな分類があります。
それぞれ手軽さと止水性能のバランスがちがうため、建物の用途や予算にあわせてえらぶことが効果を高めるコツです。

たとえば手軽さを最優先するなら置くだけタイプ、確かな止水性能をもとめるなら脱着式、といった具合に選択肢が変わってきます。
なかでも、高い止水性能とあつかいやすさを両立しているのが脱着式です。

脱着式アルミ止水板「水用心」には、設置の方法にも複数のバリエーションがあり、現場の状況にあわせてえらべるようになっています。
たとえば、業者による工事がいらず個人でも取りつけられるマグネット仕様など、ニーズに応じた選びかたが可能です。

「水用心」の設置方法ごとの特徴を、表に整理しました。

設置方法特徴
ダブルクリップ仕様市販のクリップで留めるだけ。最も安く取りつけられる
ノブボルト仕様採用実績が最も多く、屋外側・屋内側どちらにも設置できる
ハンドル仕様ノブボルトよりもさらに素早く設置できる
マグネット仕様工事が不要で、個人でも取りつけられる。外観への影響が少ない

このように設置方法をえらべると、建物の条件や運用にあわせて、無理のない浸水対策がくめます。
さらに「水用心」は、屋外側だけでなく屋内側にも設置できるため、外開きの扉でも止水板をつけたまま開閉や通行ができるという利点があります。

種類や設置方法ごとの効果のポイントを、箇条書きでまとめます。

  • 置くだけタイプは手軽だが、性能は中程度でむかない場所もある
  • 脱着式タイプは高い止水性能をもち、幅ひろい場所に対応できる
  • シャッター・防水扉タイプは手間が少ないが導入費用が高い
  • 「水用心」は設置方法を4種からえらべ、屋内側設置にも対応する

自分の建物にあった種類と設置方法をえらぶことで、止水板の効果はいっそう確かなものになります。
「手軽さ」と「止水性能」のどちらを重視するかを、まずは整理してみるとよいでしょう。

効果が出やすい設置場所と条件

止水板の効果を最大限にいかすには、水がどこから入ってくるのかを見きわめ、その経路をふさぐことが肝心です。
いくら性能の高い止水板でも、肝心の侵入口をおさえられなければ意味がありません。

まずは自分の建物のなかで、水がもっとも入りやすい場所を洗いだすことからはじめましょう。
一般的に、止水板の効果が出やすいのは次のような場所です。

住宅であれば、水の侵入経路になりやすい玄関やガレージ、とくに道路より土地が低い場所やスロープのある半地下は、優先して対策したいポイントになります。
店舗やマンションではエントランスや自動ドアの前、工場や倉庫では搬入口やシャッターまわり、そして地下施設への入口や階段が、代表的な設置場所です。

くわえて、電気室やポンプ室のように、浸水すると復旧に時間のかかる場所も見のがせません。
こうした場所は、被害が大きくなりやすいため、より高い止水性能をそなえた製品でまもるべき優先度の高い箇所といえます。

効果が出やすい設置場所と、その理由を表にまとめました。

設置場所効果が出やすい理由
玄関・ガレージ住宅で最も多い水の侵入経路になる
店舗・マンションのエントランス出入口が広く、水が流れこみやすい
工場・倉庫の搬入口・シャッター間口が大きく、被害が広がりやすい
地下入口・階段水が一気に流れこみ、復旧に時間がかかる
電気室・ポンプ室浸水すると設備の被害と停止リスクが大きい

とりわけ注意したいのが、川からはなれた立地でも油断できないという点です。
都市部では下水道の排水能力をこえた内水氾濫が増えており、川の近くでなくても道路が冠水するケースが目立ちます。

効果が出やすい設置場所を見きわめるための条件を、箇条書きにまとめます。

  • 道路より土地が低い、または半地下になっている
  • 過去に浸水や冠水を経験したことがある
  • 間口が広く、水が一気に流れこみやすい
  • 浸水すると復旧に時間がかかる重要な設備がある

自分の建物の弱点を知り、そこにあった止水板を設置することで、浸水対策の効果は大きく高まります。
どこに設置すべきか判断にまようときは、水の流れを熟知した施工店に現地を見てもらうのが確実です。

止水板を実際に設置した事例を紹介

止水板の性能を数字で理解しても、「実際の現場ではどうなのか」が気になる方は多いはずです。

そこでこの章では、止水板施工店の三恵工業の実際の施工事例を紹介します。
カタログの数値だけでは見えてこない、現場ごとの課題とその解決のようすを知ることで、止水板の効果をよりリアルに感じていただけるはずです。

三恵工業は、企業や自治体、マンションの管理組合など、幅ひろいお客様の浸水対策を手がけてきました。

ここでは、間口の広さや建物の種類がことなる4つの事例を取りあげます。
自分の建物と近い条件の事例があれば、導入後のイメージがぐっとつかみやすくなるでしょう。

それぞれの現場で、どんな課題をどう解決したのかを見ていきます。

公共施設の出入口への設置事例(江戸川区・間口3.8m)

最初に紹介するのは、東京都江戸川区にある公共施設の出入口への設置事例です。
この現場の特徴は、間口が3.8mと広かった点にあります。

出入口の幅が広いほど、水をせきとめる範囲も大きくなり、すき間なく確実に設置する技術がもとめられます。
こうした広い間口に対しては、着脱式の中間支柱をつかって止水板を連結させる方法が有効です。

「水用心」は間口0.5〜15m程度まで対応でき、中間支柱を用いれば3mをこえる開口部もしっかり止水できます。
江戸川区は河川にかこまれ、海抜の低い地域が多いことでも知られており、公共施設の浸水対策は地域の防災にとって重要な意味をもちます。

不特定多数の人が利用する公共施設では、浸水による機能の停止が地域全体に影響します。
だからこそ、広い間口をすき間なくまもる確かな施工が、効果を左右する決め手になるのです。

この事例のポイントを、箇条書きで整理します。

  • 間口3.8mという広い出入口に対応した
  • 中間支柱で止水板を連結し、すき間なく設置した
  • 海抜が低い地域の公共施設で、防災上の重要性が高い
  • 広い間口でも確かな止水の効果を実現した

倉庫エレベーター前への設置事例(間口6.5m)

つづいて紹介するのは、間口6.5mというさらに広い倉庫のエレベーター前への設置事例です。

倉庫のエレベーターは、地下や下の階へ水を運んでしまう経路になりやすく、浸水対策のうえで見のがせない場所です。
もしエレベーターのシャフトに水が流れこめば、設備の故障や長期の停止につながり、物流全体に大きな支障をきたします。

6.5mという間口は、一般的な止水板では対応がむずかしい広さです。
しかし「水用心」なら、中間支柱で複数の止水板を連結することで、この広さでもすき間なく水をせきとめられる強みがあります。

設計から製造まで一貫して対応できるからこそ、現場の間口にぴったりあわせたカスタマイズが可能になります。
倉庫や工場のような事業の拠点では、浸水による操業の停止が、そのまま売上の損失に直結します。
エレベーター前という重要なポイントをまもることは、事業を止めないためのBCP対策としても大きな効果を発揮します。

この事例の要点を、箇条書きにまとめます。

  • 間口6.5mという非常に広い開口部に対応した
  • 水を下の階へ運ぶエレベーター前の浸水を防いだ
  • 中間支柱による連結で、広い間口をすき間なくまもった
  • 操業停止のリスクをへらし、事業継続に貢献した

会社玄関・自動ドア前への設置事例

3つめは、会社の玄関にある自動ドアの前への設置事例です。

自動ドアは、建物の顔ともいえる出入口である一方、浸水対策のうえでは弱点になりやすい場所です。
ドアのレール部分に隙間があると、そこから水がしみこみやすいためです。

こうした自動ドアの前にこそ、脱着式の止水板が力を発揮します。

普段の業務のじゃまにならず、いざというときにはしっかり水を止められる、という両立が可能になるのです。
来客をむかえる会社の玄関では、日ごろの見た目や使い勝手も大切にしたいところです。

設置方法をえらべる「水用心」なら、平常時の外観への影響をおさえながら、確かな浸水対策の効果を得られます。

この事例のポイントを、箇条書きで整理します。

  • 浸水対策の弱点になりやすい自動ドア前をまもった
  • 屋内側に設置し、通行や開閉のしやすさを保った
  • 普段の業務や外観への影響をおさえた
  • 会社の玄関にふさわしい、実用的な浸水対策を実現した

個人宅ガレージへの設置事例(三重県四日市市)

最後に紹介するのは、三重県四日市市にある個人宅のガレージへの設置事例です。

ガレージは、大切な自動車を水害からまもるうえで、優先度の高い設置場所のひとつです。
とくに道路より土地が低いガレージや、スロープのある半地下の車庫は、水が流れこみやすいため注意が必要です。

一度でも車が浸水すれば、修理に多額の費用がかかるうえ、廃車になってしまうこともあります。
こうした被害をふせぐために、ガレージの入口に止水板を設置しておく効果は非常に大きいといえます。
個人宅であれば、工事のいらないマグネット仕様など、手軽に取りつけられる方法をえらぶこともできます。

この事例の要点を、箇条書きにまとめます。

  • 大切な自動車を水害からまもるガレージへ設置した
  • 道路より低い立地の浸水リスクに対応した
  • 個人宅でも手軽に取りつけられる方法をえらべる
  • 東海エリアで、現地調査から施工まで一貫して対応した

4つの事例に共通するのは、建物の条件にあわせて最適な構成を提案し、確かな施工で効果を実現しているという点です。

自分の建物と近い事例があれば、ぜひ導入後のイメージづくりの参考にしてください。
「うちの玄関やシャッターでもきちんと効くのか」が気になる方は、まずは間口の写真とサイズを送るだけで、設置の可否と概算の見積もりを知ることができます。

導入前に確認したいこと(浸水リスク把握と費用対効果)

止水板の効果や選び方が見えてきたら、いよいよ導入にむけた最終のチェックです。
ここで大切になるのが、自分の建物の浸水リスクを正しく知り、費用に見あった効果が得られるかを見きわめるという視点です。

なんとなくの不安だけで動くのではなく、根拠にもとづいて判断することで、後悔のない浸水対策ができます。
この章では、浸水リスクを調べるハザードマップの使いかたから、止水板の費用の実額、そして費用対効果の考えかたまでを、順に見ていきます。

数字を手がかりに、「うちの建物に止水板は必要なのか、費用に見あうのか」をじっくり検討していきましょう。
判断のよりどころとなる材料を、ひとつずつそろえていきます。

ハザードマップで浸水リスクと想定浸水深を確認する

止水板の導入を考えるとき、まず最初にやっていただきたいのがハザードマップの確認です。
ハザードマップとは、過去の災害や降雨のデータをもとに、地域ごとの浸水の予想などをまとめた地図のことです。

自治体の窓口やホームページ、国土交通省の「重ねるハザードマップ」などで、だれでも手軽に調べられます。
このハザードマップを見ることで、自分の建物が浸水のリスクをかかえた地域にあるのか、どのくらいの深さまで水がくる可能性があるのかがわかります。

ここでわかる想定浸水深こそが、前の章で見た止水高をえらぶときの、いちばんの手がかりになります。
たとえば想定浸水深が「0.5m〜1.0m」と示されていれば、それを上まわる高さの止水板をえらぶ、という判断ができるわけです。

浸水の深さと建物の被害には、はっきりとした関係があります。
国土交通省の解説によると、一般の家屋では、浸水深が50cm未満の場合は床下浸水、50cm以上になると床上浸水する恐れがあります。
さらに東北大学の研究では、浸水深が45cm未満では家屋や財産にほぼ影響がない一方、浸水深が2mを超えるとほぼ100%の被害になると報告されています。

ハザードマップで確認したいポイントを、箇条書きにまとめます。

  • 自分の建物が浸水の想定される区域に入っているか
  • 想定される浸水の深さ(想定浸水深)は何mか
  • 近くに川がなくても、内水氾濫のリスクがないか
  • 過去に浸水や冠水の被害があった地域かどうか

とりわけ注意したいのが、川からはなれた立地でも安心はできないという点です。
都市部では下水道の排水能力をこえた内水氾濫が増えており、川の近くでなくても道路が冠水するケースが目立ちます。
まずはハザードマップで自分の建物のリスクを知ることが、効果的な浸水対策の第一歩になります。

止水板の費用の目安(実額)

止水板の導入を検討するうえで、だれもが気になるのが費用の実額でしょう。
止水板の価格は、製品の種類やサイズ、設置の方法によって大きく変わってきます。
ここでは、脱着式アルミ止水板「水用心」の参考価格をもとに、具体的な金額感をつかんでいきましょう。

「水用心」の参考価格を、サイズごとに表にまとめました。

サイズ(高さ×幅)参考価格(税込)重量
350×1,000mm50,600円より約4kg
450×1,000mm63,800円より約6kg
550×1,000mm77,000円より約7kg
350×2,000mm96,800円より約9kg
450×2,000mm119,900円より約11kg
550×2,000mm141,900円より約14kg

なお、この表の金額には送料や設置工事の費用はふくまれていません。

止水板の費用を左右する主な要素を、箇条書きで整理します。

  • 止水板のサイズ(高さと幅)と必要な枚数
  • 間口の広さや、中間支柱などの部材の有無
  • 設置工事の要不要と、現場の状況
  • 送料や、現地調査・特注部品への対応

費用対効果で考える(被害・休業損失 vs 導入費)

止水板の費用を見て「決して安くはない」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、大切なのは金額そのものではなく、その費用が浸水による被害とくらべて見あっているかという費用対効果の視点です。

ここで、実際の浸水がもたらす損害の大きさに目をむけてみましょう。
浸水による被害額は、想像以上に大きなものです。

火災保険の情報によれば、洪水やゲリラ豪雨による都市型の水害では、1件あたりの損害額が100万円以上になることは珍しくなく、1000万円以上の保険金を受け取る例もあるとされています。

数万円から数十万円の止水板で、数百万円規模の被害をふせげる可能性があると考えれば、その効果の大きさが見えてきます。
とくに事業者にとって深刻なのが、建物や設備の被害だけではありません。

工場の操業がとまったり、店舗が営業できなくなったりする休業損失は、修繕の費用に上のせされて経営を圧迫します。
浸水後の後片づけや乾燥、清掃にも時間と手間がかかり、その間の売上の機会もうしなわれてしまうのです。

さらに見のがせないのが、火災保険だけでは十分に補償されない場合があるという点です。
床下の浸水であっても被害は発生しますが、契約の内容によっては、その損害が補償の対象外になることもあります。

費用対効果を考えるうえでのポイントを、表に整理しました。

比較の視点内容
導入費用数十万円〜(サイズ・工事による)
想定される被害額1件あたり100〜1000万円以上になることも珍しくない
休業損失操業・営業の停止による売上機会の損失
繰りかえし使える一度導入すれば、10〜15年ほど繰りかえし使える

止水板は一度導入すれば、水密ゴムの耐久性である10〜15年ほどにわたって繰りかえし使えます。
一回の浸水被害をふせぐだけでも導入の費用をうわまわる効果が期待でき、長い目で見れば非常に合理的な投資といえるでしょう。

なお、地域によっては自治体の補助金を活用できる場合もあります。
止水板の補助金については、こちらの記事でくわしく解説していますので、あわせてご確認ください。

まとめ

ここまで、止水板の効果について、しくみから数値、限界、そして選び方まで多角的に見てきました。
最後に、この記事の要点をふりかえっておきましょう。

止水板の効果は、漏水量や止水高といった数値のものさしではかることができます。
なかでも脱着式アルミ止水板「水用心」は、JIS A 4716のWs-3クラス相当という止水性能をもち、京都大学との共同実験によって、その確かな効果が裏づけられています。土のうとくらべても、その止水性能は約100倍にのぼり、設置のはやさや繰りかえし使える経済性まで見わたせば、現代の浸水対策としてすぐれた選択肢だといえます。一方で、止水板は完全に水を止めきる万能の製品ではないことも、あわせてお伝えしました。

設置面の段差や、想定をこえる浸水には効果が限られるため、正しい設置と定期的な点検、そして複合的な対策をくみあわせることが大切です。
効果を最大限に引きだすには、自分の建物の想定浸水深を知り、それに見あった止水高と設置方法をえらぶことが欠かせません。

この記事の重要なポイントを、最後に箇条書きでまとめます。

  • 止水板の効果は漏水量・止水高という数値で判断できる
  • 私たちが取り扱う止水板「水用心」は土のうの約100倍の止水性能を、実験で裏づけている
  • 効果には限界があり、正しい設置・点検・複合対策が重要になる
  • ハザードマップで想定浸水深を知り、それに見あう製品をえらぶ
  • 数十万円からの費用で、数百〜千万円規模の被害をふせげる可能性がある

浸水の被害は、いつ、どこでおきてもおかしくない時代になりました。
「まだ大丈夫だろう」と後まわしにしているうちに、大雨は容赦なくやってきます。

大切な建物や財産、そして事業をまもるために、いまできる備えの一歩をふみだしてみてはいかがでしょうか。
止水板施工店の三恵工業では、現地調査や相談を無料でうけつけています。

「うちの玄関やシャッターでも設置できるのか」「どのくらいの費用になるのか」が気になる方は、まずは間口の写真とサイズを送るだけで、設置の可否と概算の見積もりを知ることができます。

東海エリアを中心に全国へ対応していますので、浸水対策でお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。