平屋の浸水対策|数ある対策の中で「止水板」がおすすめな理由

平屋は、階段のない暮らしやすさと家事動線の短さから、若い世代からシニア世代まではば広い人気をあつめています。 その魅力にひかれて家づくりをかんがえる一方で、大雨や台風のニュースを目にするたびに「平屋は水害に弱いのではないか」と気になる方も多いのではないでしょうか。

ある大雨の被災地では、床上浸水にあった平屋のオーナーが「平屋だったので、垂直避難ができなかった」と語っていました。 このひと言は、平屋をえらぶうえで避けて通れない弱点を、はっきりと物語っています。

気象庁のデータによると、1時間に50mm以上の非常にはげしい雨がふる回数は、およそ40年前とくらべて約1.5倍に増えました。 川からはなれた住宅地でも、下水の排水能力をこえた雨水があふれる「内水氾濫」が各地で起きており、浸水はもはや一部の地域だけの問題ではなくなっています。

とはいえ、平屋だからといって水害をあきらめる必要はありません。 立地のえらび方、建物の工夫、そして水を家に入れないための対策を組みあわせれば、平屋でもしっかりとそなえられます。 この記事では、平屋の浸水対策を基礎から整理したうえで、数ある方法のなかでもとくに効果の高い「止水板」という選択肢まで、順を追ってわかりやすく解説します。

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平屋が浸水・水害に弱いと言われる理由

「平屋は水害に弱い」ということばを、一度は耳にしたことがあるかもしれません。 この見方はまったくの誤解というわけではなく、平屋という住まいの構造そのものに理由があります。

ただし、弱点を正しく知ることは、必要以上に不安がることでも、逆に軽くみることでもありません。 弱点をきちんと理解しておくことこそが、平屋の浸水対策を考える第一歩になります。 ここでは、平屋が浸水に弱いといわれる大きな理由を、2つの側面から見ていきましょう。

2階がなく「垂直避難」ができない

平屋の最大の弱点として、まず挙げられるのが「垂直避難ができない」という点です。 垂直避難とは、洪水などで屋外へ出ることが危険になったときに、建物の2階や3階といったより高い場所へ移動して身を守る避難のかたちを指します。

2階建ての家であれば、1階に水が入ってきても、階段をのぼって2階へうつるという選択肢がのこされています。 ところが平屋は生活空間がすべて1階にあるため、床上まで水がおしよせると、家のなかでこれ以上高い場所へ逃げることができません。

「それなら外へ逃げればよい」と思うかもしれませんが、事態はそう単純ではありません。 浸水がはじまるころには、道路がすでに川のようになっているケースも少なくないのです。 とくに次のような状況では、歩いての避難そのものが命にかかわる危険な行動になります。

  • 側溝やマンホールのふたが水面下にかくれ、足をとられて転落するおそれがある
  • 水深が数十cmでも、水の流れがはやいと大人でも立っていられなくなる
  • くるまでの避難中にエンジンが停止し、車内に閉じこめられる
  • 夜間や停電時には、足もとの段差や側溝の位置がまったく見えない

平屋と2階建てで、浸水がはじまってからとれる行動をくらべると、その差は次のようになります。

浸水時の状況2階建ての場合平屋の場合
家のなかで高所へ移動2階へ上がって水を避けられる逃げ場がなく水位とともに危険が増す
屋外への避難状況をみて2階で待機する余裕がある水が引くまで待つ場所がない
救助を待つあいだ2階の窓から救助を求めやすい屋根以外に身を寄せる高所がない

このように、平屋には「危険になったら上へ逃げればよい」という発想がそもそも通用しません。 だからこそ、雨がはげしくなる前の早い段階で行動を決めておくことが、平屋にとってはとりわけ重要になります。 ここで押さえておきたいのは、これは「平屋は危ないから建てるべきではない」という話ではないという点です。 弱点を土地えらびや避難計画、そして日ごろの備えで補えば、平屋でも安心して暮らせます。

浸水するとすべての生活空間が被害を受ける

平屋のもうひとつの弱点は、浸水したときに被害が生活のすべてに直結することです。 平屋の間取りは「ワンフロア」で、寝室もキッチンも浴室も収納も、あらゆる空間が1階に集約されています。

2階建てであれば、1階が浸水しても、寝具や貴重品、思い出の品を2階へ避難させておくことができます。 しかし平屋の場合、逃がす先の上階がないため、床上浸水が起きると家財のほぼすべてが一度に水につかってしまうのです。

具体的に、1階に集まっている設備や家財がどのような被害を受けるのかを整理すると、次のとおりです。

場所・設備浸水でおこりうる被害
キッチン・給湯器電子基板の故障で調理や給湯ができなくなる
コンセント・分電盤漏電や通電火災の危険が生じる
寝室・衣類・寝具水と泥をかぶり、多くが再利用できなくなる
収納・書類・思い出の品写真や重要書類が失われ、金額に換算できない損失になる
床下・床下点検口泥や汚水がたまり、乾燥や消毒に手間と費用がかかる

見落とされがちですが、被害は玄関から入ってくる水だけにとどまりません。 大雨のときには、排水管を通ってキッチンや浴室、トイレから汚水が逆流してくる危険もあります。 床下にたまった泥水はかんたんには乾かず、放置するとカビや悪臭、木材の腐食といった二次被害につながっていきます。

さらに注意したいのが、費用の問題です。 火災保険の水災補償は、契約内容によっては床下浸水だけでは十分に支払われない場合があり、補償の範囲を事前に確認しておく必要があります。 つまり平屋の浸水は、「家財の損失」と「復旧の手間や費用」という2つの負担が、まとめて1階に押しよせる災害だといえます。

こうした被害の大きさを知ると、平屋にとって本当に大切なのは、水が入ってしまった後の対応よりも、そもそも家のなかへ水を入れないことだと見えてきます。 次の章からは、平屋でできる浸水対策にどのような種類があるのかを、ひとつずつ具体的に整理していきましょう。

平屋でできる浸水対策にはどんな種類がある?

平屋の弱点を知ると、次に気になるのは「では、具体的に何をすればよいのか」という点だと思います。 ひとくちに平屋の浸水対策といっても、その方法はひとつではなく、性質のちがう対策がいくつも存在します。

大切なのは、どれかひとつだけにたよるのではなく、性質のちがう対策を組みあわせて備えるという考え方です。 土地のえらび方でリスクそのものを下げ、建物の工夫で水が入りにくくし、それでも入ってきた水にそなえる。 この重ねがけによって、平屋でも水害への強さを大きく高められます。

ここでは、平屋で実践できる浸水対策を、大きく5つの種類に分けて整理します。 まずは全体像を、次の表でつかんでおきましょう。

対策の種類主なねらい代表的な方法
土地選び・立地浸水リスクそのものを避けるハザードマップの確認、水はけの確認
建物・基礎床の高さを上げて水を防ぐ高基礎(かさ上げ)、外構の排水設計
電気設備・家財浸水しても機能を残すコンセントや分電盤の高所設置
開口部の止水玄関や窓から水を入れない止水板、土のう、止水シート
備蓄・保険被災後の生活と家計を守る非常食の備蓄、火災保険の水災補償

ここから先は、この5つをひとつずつ、もう少しくわしく見ていきます。 それぞれの長所と注意点をおさえておくと、あとで自分の家にどの対策が必要かを判断しやすくなります。

土地選び・立地で備える(ハザードマップ・水はけ)

浸水対策のなかで、もっとも効果が大きいのが土地えらびです。 なぜなら、浸水しにくい土地をえらぶことは、被害にあう確率そのものを根本から下げる対策だからです。

これから平屋を建てる方に、まず確認していただきたいのが「ハザードマップ」です。 ハザードマップとは、各市町村が公開している災害リスクの予測地図で、洪水がおきたときにどのくらいの深さまで浸水するおそれがあるかを色分けで示しています。 土地を検討する段階で、次のような点を一つずつチェックしてみてください。

  • 洪水の浸水想定区域に入っていないか
  • 想定される浸水の深さはどのくらいか
  • 川の氾濫だけでなく、内水氾濫のリスクはないか
  • 土砂災害のおそれがある場所ではないか
  • 避難所までの道に、危険な場所がふくまれていないか

ただし、ここで気をつけたいことがあります。 ハザードマップに色がついていない土地でも、「絶対に安全」とは言いきれないという点です。 近年は想定をこえる雨がふる例が相次いでおり、地図には表れにくい小さな高低差や、周辺の排水の状態が浸水を左右することもあります。

そこでおすすめしたいのが、気になる土地へ雨の日にも足を運んでみることです。 晴れた休日だけでは気づけない、その土地の本当の表情が見えてきます。 たとえば「道路のどこに水がたまるのか」「側溝にちゃんと水が流れているか」「周囲より低くなっていないか」といった点は、雨のなかを歩いてみて初めてわかることが少なくありません。 現地を見に行くときは安全を最優先にし、大雨の最中に無理をする必要はなく、小雨のときや雨あがりの直後でも十分にたしかめられます。

建物・基礎で備える(かさ上げ・高基礎)

土地がきまったら、次は建物そのもので水を防ぐ工夫を考えます。 その代表格が、基礎を通常よりも高くつくる「高基礎(かさ上げ)」という方法です。

一般的な住宅では、地面から床までの高さは40〜50cm程度が目安とされています。 これに対して、水害リスクの高い地域では60〜80cm以上の高基礎を採用する例もあり、床の位置を上げることで床下・床上浸水をおこりにくくします。 建築基準法では基礎の立ち上がりを最低300mmと定めていますが、多くの住宅会社はそれより高い450〜600mmを標準としており、平屋ではここをさらに高く設計する選択肢があります。

高基礎には、浸水対策以外のうれしい副産物もあります。 床が高くなるぶん目線が上がって道路の通行人と視線がずれにくくなったり、高くした基礎の下を外部収納として活用できたりする点です。 一方で、次のような注意点もあわせて理解しておきましょう。

メリットデメリット・注意点
床下・床上浸水をおこりにくくできる工事費用が高くなりやすい
目線が上がり、外からの視線を避けやすい玄関までの階段の段数が増える
基礎下部を外部収納に活用できる段差が増え、バリアフリー性がやや下がる

建物側の工夫は、基礎だけにとどまりません。 敷地の外構を整えて水はけをよくすることも、平屋の浸水対策として大きな意味を持ちます。 具体的には、雨水マスや排水桝を設けて定期的に掃除する、道路側へ自然に水が流れるよう敷地にゆるやかな傾斜をつける、駐車場に水をしみこませる透水性の舗装をえらぶ、といった方法が挙げられます。

電気設備・家財の高所配置で備える

浸水がおきたとき、もっとも危険なもののひとつが電気設備です。 水にぬれた配線やコンセントは、漏電や感電、さらには通電火災の原因にもなりかねません。

そこで有効なのが、ブレーカーやコンセント、給湯器の制御盤といった電気設備を、あらかじめ床より高い位置に設置しておくという工夫です。 1階が浸水しても、高い場所にある設備が水につからなければ、電源が生きのこる可能性を残せます。 とくに近年ふえている電気自動車用の充電設備は、設置場所によっては浸水の影響を受けやすいため、位置えらびに注意が必要です。

平屋のなかには、小屋裏スペースを設けられるプランもあります。 この空間を活用し、蓄電池などの重要な設備を高い位置へ配置できる場合があります。 ただし、小屋裏はどこにでも設備を置けるわけではなく、製品ごとの設置条件、夏場の温度、構造上の強度、配線の経路などをたしかめる必要があり、必ず専門の業者と相談したうえで計画してください。

設備だけでなく、日々の防災用品の置き方にも同じ考え方が使えます。 飲料水や非常食、携帯トイレ、ライト、モバイルバッテリー、常備薬などを、床に近い一か所へまとめて置くのは避けたほうが安心です。 少し高い場所へ分散させておけば、1階に水が入っても、必要なものが一度に使えなくなる事態をふせぎやすくなります。

対象望ましい置き場所の工夫
コンセント・分電盤床から高い位置へ設置する
給湯器・EV充電設備浸水想定より高い場所を選ぶ
蓄電池条件を確認のうえ小屋裏側も検討する
非常食・携帯トイレ・薬高い棚へ分散して備蓄する

開口部の止水で備える(止水板・土のう・止水シート)

土地や建物で備えても、実際に水が家へせまってきたとき、最後の関門となるのが玄関や窓、勝手口といった「開口部」です。 開口部からの浸水をどう防ぐかは、平屋の浸水対策のなかでもとりわけ実践的なテーマといえます。

ここで活躍するのが、水の侵入を物理的にせきとめる止水のためのアイテムです。 代表的なものに「止水板」「土のう」「止水シート」の3つがあり、それぞれ特徴が異なります。 自分の家に合うものをえらぶために、まずはちがいを整理しておきましょう。

種類特徴向いている場面
止水板開口部に設置する脱着式の板。止水性能が高く繰り返し使える玄関や勝手口など、確実に守りたい開口部
土のう袋に土や砂を詰めて積む。安価だが準備と片付けの手間が大きい一時的・応急的にすき間を埋めたいとき
止水シート開口部に敷いたり貼ったりして水をふせぐ。手軽だが耐久性は限定的短時間・小規模な浸水への簡易対策

このうち、玄関や勝手口をしっかり守る手段として近年注目されているのが止水板です。 止水板は、玄関まわりに脱着式のパネルを設置することで、短時間の浸水であれば水の侵入を大きくおさえられます。 あわせて、逆流を防ぐ「止水弁付きの排水口」を組みあわせると、排水管からの汚水の逆流にもそなえられます。

一方で、昔ながらの土のうにも役割はありますが、準備と片付けに大きな手間がかかるという弱点があります。 急な豪雨のたびに重い袋をいくつも運び、使ったあとは濡れて泥のついた袋を処分しなければなりません。 この手軽さと確実性のちがいが、後ほどくわしく取りあげる「止水板がおすすめな理由」につながっていきます。

備蓄・火災保険の水災補償で備える

どれだけ入念に備えても、自然の脅威を完全におさえこむことはできません。 だからこそ、被災した後の生活や家計を守る備えも、平屋の浸水対策には欠かせません。

まず生活面では、非常食や飲料水、携帯ラジオ、乾電池、簡単な着替えといった防災グッズをそろえておきましょう。 準備は「避難時に持ち出すタイプ」と「在宅避難用にストックするタイプ」の両方を意識すると安心です。 防災用品のそろえ方に迷ったときは、家電メーカーなどが公開している防災グッズのリストを参考にすると、必要なものを見落としにくくなります。

家計面での備えとして重要なのが、火災保険の「水災補償」です。 火災保険は火事だけでなく、追加で加入すれば水害による被害も補償の対象にできます。 給湯器の故障やエアコン室外機の損傷、契約の範囲によっては家具や衣類まで補償される場合があり、復旧の負担を大きくやわらげてくれます。

ただし、水災補償には支払いの条件が定められている点に注意してください。 一般的には、次のいずれかにあてはまる被害が対象とされます。

  • 再調達価格(保険会社によっては再取得価格などと呼ぶ)の30%以上の損害を受けた場合
  • 床上浸水、または地盤面から45cmをこえて浸水した場合

つまり、床下だけの浸水では補償されないケースもあるということです。 どんなときに補償され、どんなときには補償されないのかを、加入する前にしっかり確認しておくことが、いざというときの安心につながります。 こうした備蓄と保険は、水を防ぐ対策とちがい「被害を最小限に食いとめる」ための守りの一手として、平屋の浸水対策の土台を支えてくれます。

数ある浸水対策の中でも、平屋に「止水板」がおすすめな理由

ここまで、平屋でできる浸水対策を5つの種類に分けて見てきました。 土地えらび、建物の工夫、設備の高所配置、開口部の止水、そして備蓄と保険。 どれも大切で、理想をいえば重ねがけしておきたい対策ばかりです。

とはいえ、すべてを一度にそろえるのは、費用の面でも手間の面でもかんたんではありません。 そこで多くの方が知りたいのは、「限られた予算のなかで、平屋にはどれを優先すべきか」という一点だと思います。 結論からお伝えすると、その答えとしてとくにおすすめしたいのが、玄関や勝手口を守る「止水板」です。

なぜ数ある平屋の浸水対策のなかで止水板が本命になるのか。 その理由を、平屋という住まいの特性とあわせて、ここから4つの視点で読み解いていきます。 最後には、実際に止水板を設置するときの頼れる相談先までご紹介します。

垂直避難できない平屋こそ「水を入れない」対策が効く

止水板が平屋に向いている最大の理由は、平屋の弱点と対策の性質が、ぴたりとかみ合っている点にあります。 記事の前半でふれたとおり、平屋には垂直避難という逃げ道がありません。 床上まで水が来てしまえば、家のなかにこれ以上高い場所はなく、被害は生活のすべてに直結します。

だからこそ、平屋の浸水対策では発想の順番が大切になります。 「入ってきた水にどう対応するか」よりも先に、そもそも家のなかへ水を入れないことを考えるべきなのです。 2階建てであれば、最悪の場合でも2階へ避難して水が引くのを待てますが、平屋にはその猶予がありません。

止水板は、まさにこの「水を入れない」という一点に特化した対策です。 玄関や勝手口に脱着式のパネルを立てることで、道路からおしよせる水を建物の入口でせきとめます。 浸水がはじまる前のわずかな時間で設置でき、被害の入口そのものをふさげる点が、逃げ場のない平屋と相性のよい理由です。

対策の性質を、平屋の視点で比べると次のように整理できます。

対策の考え方具体例平屋との相性
水を入れない(防ぐ)止水板、高基礎逃げ場がない平屋に最適
入った水にそなえる(守る)家財の高所配置、保険補助的な守りとして有効
水から逃げる(避難)早期避難、避難先の確保垂直避難ができず選択肢が限られる

この表からわかるとおり、平屋は「逃げる」の選択肢が弱いぶん、「防ぐ」の対策で補う意味が大きくなります。 そのなかでも止水板は、日常の暮らしを変えずに、いざというときだけ設置できる現実的な備えです。 高基礎のように建築時にしか選べない対策とちがい、すでに建っている平屋にも後から導入できる点も見逃せません。

土のう・止水シートと比べて設置がラクで繰り返し使える

開口部の止水には、止水板のほかに土のうや止水シートという選択肢もあります。 では、なぜそのなかで止水板がすすめられるのか。 理由は、止水の性能と使いやすさのバランスが、ほかの手段より大きくすぐれているからです。

昔ながらの土のうは、たしかに安価で手に入れやすい方法です。 しかし、いざ使うとなると手間の多さが大きな負担になります。 急な豪雨のたびに、砂や土を詰めた重い袋をいくつも運んで積みあげ、使ったあとは水を吸って泥だらけになった袋を処分しなければなりません。 高齢のご夫婦や女性だけのご家庭では、この一連の作業そのものが現実的でない場合もあります。

その点、止水板は設置のしやすさが大きく異なります。 ある止水板メーカーの製品では、中空のアルミを使った軽量設計により、大人1人でも特別な工具なしに、約1分で取り付けられるようになっています。 高さ450mm×幅1,000mmのサイズで重量は約6kgほどと、両手で無理なく運べる軽さです。

さらに大きな違いが、繰り返し使えるかどうかです。 使い捨てになりがちな土のうとちがい、止水板は洗って乾かせば何度でも使えるため、水害のたびに買い足す必要がありません。 3つの手段の違いを整理すると、次のようになります。

比較項目止水板土のう止水シート
止水性能高い(土のうの約100倍とされる製品も)中程度低〜中程度
設置の手軽さ工具不要で約1分積む手間が大きい比較的手軽
繰り返し利用洗って何度でも使える使い捨てになりやすい耐久性は限定的
保管立てかけて省スペース場所と重さの負担が大きいかさばりにくい

止水性能の高さも、止水板が選ばれる理由のひとつです。 製品によっては、公的な等級であるJIS A 4716のWs-4クラス相当(漏水量が1平方メートルあたり1時間10リットル以下)という性能を持ち、土のうの約100倍の止水力をうたうものもあります。 準備のラクさと確実な止水力を両立できる点こそ、止水板が平屋の備えにふさわしい理由です。

玄関・窓など浸水経路をピンポイントで守れる

浸水対策を考えるとき、見落としがちなのが「水はどこから入ってくるのか」という視点です。 実は、大雨のときに家へ水が侵入する経路は、ある程度決まっています。 そして止水板は、その弱点となる場所をピンポイントで守れる点に強みがあります。

平屋で水が入りやすい主な経路には、次のような場所が挙げられます。

  • 玄関ドアの下端やドアまわりのすき間
  • 勝手口や掃き出し窓などの低い開口部
  • シャッターやガレージの下のすき間
  • 通気口や配管が壁をつらぬく部分
  • 排水管を逆流してくるトイレや浴室、キッチン

このうち、玄関や勝手口、シャッターといった開口部は、面積が広く水が一気に流れこみやすい弱点です。 止水板は、こうした間口の幅や高さに合わせてパネルを設置し、水の通り道をピンポイントでふさげるため、効率よく被害を防げます。

対応できる範囲の広さも、止水板の心強い特徴です。 ある製品では、パネルを2段に積み重ねることで浸水の深さ1.1mまで対応でき、着脱式の中間支柱を使えば幅3mをこえるシャッターのような大きな開口部にも設置できます。 玄関のような幅1mほどの間口から、工場の間口4.7mといった大きなシャッターまで、現場に合わせて柔軟に組めるわけです。

もちろん、玄関だけを守れば安心というわけではありません。 排水管からの逆流をふせぐ逆止弁や、通気口・配管まわりのすき間を塞ぐ処置と組みあわせることで、建物全体の弱点をまとめて補えます。 入口ごとに最適な対策を切り分けられることこそ、止水板を中心にすえた浸水対策の大きな利点です。

平屋の間口・開口部に合わせた止水板の選び方

止水板に興味がわいてきても、「自分の家に合うものをどう選べばよいのか」と迷う方は多いはずです。 止水板は既製品を買って終わり、という単純なものではなく、設置する開口部に合わせて選ぶことが効果を左右します。 ここでは、選ぶときにおさえておきたいポイントを整理します。

まず確認すべきは、守りたい開口部の「間口の幅」と「止めたい水の高さ」です。 この2つが決まると、必要なパネルのサイズや、支柱を組み合わせるかどうかがおおまかに見えてきます。 選定時の主なチェック項目は、次のとおりです。

選ぶポイント確認する内容
間口の幅玄関・勝手口・シャッターなど、守る開口部の横幅
止めたい高さ想定される浸水の深さに合うパネルの高さ
設置方法クリップ式、落とし込み式、マグネット式など
壁や床の状態支柱を固定できる下地や防水の状態
通行のしやすさ設置したまま扉を開閉できるか

設置方法にもいくつかの種類があり、現場の条件によって向き不向きが分かれます。 たとえば、市販のダブルクリップで留めるだけの手軽な仕様もあれば、支柱を取り付けて落とし込む安定した仕様、工事不要で個人でも取り付けられるマグネット式の仕様もあります。 外開きの扉でも、屋内側に設置できるタイプを選べば、止水板をつけたまま扉を開け閉めして通行できるといった工夫も可能です。

ただし、これらを自分だけで正確に見極めるのは、なかなか難しいのが実情です。 「うちの壁に穴を開けて大丈夫なのか」「この段差でもすき間なく止められるのか」といった判断には、建物の構造や防水の知識が欠かせません。 だからこそ、選び方に迷ったときは自己判断で決めてしまう前に、浸水対策の専門家に相談することが失敗を避ける近道になります。

平屋の止水板設置は浸水対策の専門店「三恵工業」にお任せください

止水板の良さや選び方が見えてきても、最後に残るのが「本当に自分の家に設置できるのか」という不安だと思います。 その疑問にまるごと応えてくれるのが、浸水対策を専門に手がける施工店の三恵工業株式会社です。 愛知・岐阜・三重の東海3県を中心に全国へ対応し、現地調査から施工までを自社で一貫して手がける専門店です。

三恵工業の心強さは、建物を知りつくした専門家が対応してくれる点にあります。 現地調査から施工までを、一級建築施工管理技士が担当し、躯体や防水の状態を確かめたうえで、その家に本当に合う設置方法を提案してくれます。 設立から40年以上にわたってあらゆる現場を手がけてきた経験があり、既製品が収まらない特殊な間口や段差にも、確かな技術で対応できるのが強みです。

止水板そのものの品質も申し分ありません。 採用しているのは、東証プライム上場のアルミニウム総合メーカーUACJが製造する脱着式アルミ止水板「水用心」で、止水性能・軽さ・価格のバランスにすぐれた一枚です。 自社での一貫対応により中間コストをおさえ、他社と比べて費用を大きく削減できる点も、複数の間口を守りたい平屋にとってありがたいポイントです。

三恵工業に相談するメリットを整理すると、次のようになります。

  • 一級建築施工管理技士が現地調査から一貫して対応してくれる
  • 玄関だけでなく、通気口や配管、排水の逆流まで建物全体を見て提案してくれる
  • 現地調査・相談は無料で、気軽に問い合わせられる
  • メーカー1年保証があり、設置後のフォロー体制もととのっている
  • 三重県津市の戸建てなど、住宅への設置実績が豊富にある

そして、最初の一歩をふみ出すハードルが低いことも、大きな魅力です。 守りたい扉の写真と間口のサイズを送るだけで、設置できるかどうかと概算の見積もりがすぐにわかるため、まずは気軽に試せます。 「平屋の玄関を止水板で守れるだろうか」と少しでも気になったら、専門家の目でたしかめてもらうところから始めてみてはいかがでしょうか。

平屋の浸水対策をご検討の方は、【浸水対策・止水板施工店】の三恵工業へご相談ください!

止水板とあわせて備えておきたいこと

止水板は、平屋の玄関や勝手口を守る心強い備えです。 ただし、どんなにすぐれた対策でも、それひとつですべての水害を防ぎきれるわけではありません。 想定をこえる豪雨がおきたときには、水が家へ入ってしまう可能性もゼロではないからです。

そこで大切になるのが、「防ぐ」対策と「そなえる」対策を組みあわせるという考え方です。 止水板で水の侵入を食いとめつつ、万が一のときに家族の命と暮らしを守る準備もしておく。 この両輪がそろって初めて、平屋の浸水対策は本当の意味で完成します。 ここでは、止水板とあわせて整えておきたい3つの備えを紹介します。

避難エリア・避難ルートを事前に確認する

平屋にとって、もっとも大切な備えのひとつが避難の準備です。 垂直避難のできない平屋では、危険がせまる前に外へ移動することが、家族の命を守る決め手になります。

まず家族で確認しておきたいのが、避難する場所と、そこまでの道のりです。 避難エリアは、各自治体が公開しているハザードマップに記されています。 どこへ、どの道を通って向かうのかを、普段のうちに歩いて確かめておくと安心です。

ここで知っておきたいのは、避難とは「指定避難所へ行くこと」だけではないという点です。 避難の本当の目的は、危険な場所から安全な場所へ移ることにあります。 状況によっては、次のような選択肢も立派な避難になります。

  • 安全な地域に住む親戚や知人の家へ、早めに移動する
  • 状況に応じてホテルなどの宿泊施設を利用する
  • 自宅の安全が確認できる場合は、在宅避難という判断もある

ただし、浸水が想定される土地に建つ平屋で「避難所へ行くのが大変だから」と自宅にとどまるのは危険です。 上へ逃げる場所がないぶん、平屋は早めに動くことを前提にしておきましょう。 最初に向かう避難先、そこへ行けない場合の第二候補、子どものお迎えやペットとの避難まで、災害が起きる前に家族で話し合っておくことが、いざというときの落ち着いた行動につながります。

防災グッズ・非常食を備蓄する

避難の準備とあわせて整えておきたいのが、防災グッズと非常食の備蓄です。 浸水の被害にあうと、電気や水道、ガスが止まり、普段どおりの生活が数日間できなくなるおそれがあります。 そんなときに家族を支えてくれるのが、日ごろからの備えです。

備蓄品は、大きく2つの場面を想定してそろえるのがコツです。 ひとつは避難時に持ち出すための備え、もうひとつは在宅避難にそなえた備えです。 最低限そろえておきたいものを、次に挙げます。

  • 飲料水(1人1日3リットルを目安に、3日分以上)
  • 非常食(火を使わずに食べられるものがあると便利)
  • 携帯ラジオと乾電池、モバイルバッテリー
  • 簡単な着替えや使い捨てカイロ、タオル
  • 携帯トイレや常備薬、救急用品

これらをそろえるときに意識したいのが、置き場所の工夫です。 記事の前半でもふれたとおり、平屋では1階に水が入ると、床に近い備蓄品が一度に使えなくなるおそれがあります。 飲料水や非常食、薬などは一か所にまとめず、少し高い棚へ分散して置いておくと、浸水しても必要なものを取り出しやすくなります。 防災グッズのそろえ方に迷ったときは、家電メーカーなどが公開している防災リストを参考にすると、必要なものを見落としにくくなります。

火災保険の水災補償に加入する

被災後の暮らしを立てなおすうえで、大きな支えになるのが火災保険の水災補償です。 浸水の被害は、家財の損失だけでなく、設備の故障や修理にも費用がかかります。 その負担をやわらげてくれるのが、水害にそなえる保険の備えです。

火災保険は火事のためだけのものと思われがちですが、追加で加入すれば水害も補償の対象にできます。 たとえば、浸水による給湯器の故障やエアコン室外機の損傷、契約の範囲によっては家具や衣類まで補償される場合があります。 平屋のように1階へ家財が集中する住まいでは、この補償の有無が復旧のスピードを大きく左右します。

ただし、水災補償には支払いの条件が定められている点に注意が必要です。 一般的には、次のいずれかにあてはまる被害が対象とされます。

支払いの主な要件内容の目安
損害の割合再調達価格の30%以上の損害を受けた場合
浸水の深さ床上浸水、または地盤面から45cmをこえる浸水

この条件からわかるとおり、床下だけの浸水では補償を受けられないケースもあります。 自分の契約がどこまでをカバーしているのか、どんなときに補償され、どんなときに補償されないのかを、加入の前によく確認しておきましょう。 止水板で水の侵入を防ぐ「攻めの備え」と、保険で家計を守る「守りの備え」をそろえておくことが、平屋で安心して暮らすための土台になります。

まとめ|平屋の浸水対策は「止水板」を軸に組み立てよう

ここまで、平屋が水害に弱いといわれる理由から、具体的な浸水対策の種類、そして止水板という選択肢まで、順を追って見てきました。 最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。

平屋には、垂直避難ができず、浸水すると生活のすべてが被害を受けるという弱点があります。 だからこそ、そもそも家のなかへ水を入れない対策が、平屋の浸水対策では何より重要になります。 その中心にすえたいのが、玄関や勝手口を守る止水板です。

これまで紹介した対策を、あらためて整理すると次のようになります。

対策の柱具体的な内容位置づけ
立地で備えるハザードマップの確認、雨の日の現地確認リスクを根本から下げる
建物で備える高基礎、外構の排水設計水を入りにくくする
開口部で備える止水板による止水平屋の本命となる対策
被災にそなえる避難計画、備蓄、水災補償万一のときに命と暮らしを守る

こうして並べてみると、**平屋の浸水対策は「止水板を軸に、ほかの備えで固める」**という組み立て方が見えてきます。 土地や建物の工夫でリスクを下げ、止水板で水の侵入を防ぎ、それでも入ってきた場合にそなえて避難と保険を用意する。 この重ねがけによって、平屋でも水害に負けない安心を手に入れられます。

平屋は、階段のない暮らしやすさと、家族の気配を感じられるあたたかさを持った、すばらしい住まいです。 その快適さを長く楽しむために、暮らしやすさだけでなく、防災の視点もあわせて考えていただきたいと思います。 「平屋の玄関を止水板で守れるだろうか」と少しでも気になったら、まずは浸水対策の専門家に相談することから始めてみてください。 早めの一歩が、大切な住まいと家族を水害から守る、いちばん確かな備えになります。