近年、ゲリラ豪雨や台風による浸水被害が全国各地で深刻化しています。
床上浸水が一度でも発生すると、建物の修繕費用だけでなく、家財道具の買い替えや営業停止による損失など、数百万円規模の被害につながることも珍しくありません。
こうした水害リスクに備えるために注目されているのが、建物の出入り口に設置する止水板です。
しかし、止水板の導入には本体価格と設置工事費をあわせて数十万円から100万円以上かかるケースもあり、費用面がネックで導入をためらう方も多いのではないでしょうか。
そこで活用したいのが、各自治体が実施している止水板設置の補助金制度です。
補助金を利用すれば、設置費用の半額程度を公的に負担してもらえる可能性があり、導入のハードルを大きく下げられます。
本記事では、止水板の補助金制度の仕組みから、交付している自治体一覧、申請の流れ、必要書類、注意点まで網羅的に解説します。
止水板の導入を検討している方は、ぜひ最後までお読みいただき、補助金を賢く活用した浸水対策にお役立てください。
止水板の補助金制度とは

止水板の補助金制度は、住宅や事業所の浸水対策を促進するために自治体が設けている支援制度です。
止水板を購入したり、設置工事を行ったりする際にかかる費用の一部を、自治体が補助金として交付します。
補助率は多くの自治体で工事費用の2分の1に設定されており、上限額は30万円から100万円程度が一般的です。
この制度を活用すれば、本来高額になりがちな止水板の導入費用を大幅に抑えられます。
たとえば、100万円の設置工事費がかかる場合でも、補助金を利用することで実質50万円程度の自己負担で済む計算になります。
補助金制度は全国一律ではなく、自治体ごとに内容や条件が異なる点に注意が必要です。
お住まいの地域で制度が実施されているかどうか、まずは市区町村の窓口やホームページで確認することをおすすめします。
補助金が設けられている背景と目的
止水板の補助金制度が全国に広がっている背景には、近年の気象災害の激甚化があります。
気象庁のデータによると、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降る回数は、1980年代と比較して約1.5倍に増加しています。
ゲリラ豪雨や線状降水帯による集中豪雨は、従来の排水設備の処理能力を超える雨量をもたらすことが多く、内水氾濫による浸水被害が各地で頻発しています。
自治体としては、公共の排水インフラ整備だけでは限界があり、住民や事業者による自助努力を後押しする必要性が高まっています。
そこで、個人や法人が止水板を設置しやすくするための経済的支援として、補助金制度が導入されるようになりました。
補助金制度の主な目的は、以下の3点に集約されます。
| 目的 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 被害の未然防止 | 浸水リスクの高い地域で事前対策を促進し、被害発生を防ぐ |
| 住民の経済的負担軽減 | 高額な止水板設置費用の一部を公的に負担し、導入ハードルを下げる |
| 地域全体の防災力向上 | 個々の建物の対策を進めることで、地域全体の浸水被害を軽減する |
特に、過去に浸水被害が発生した地域やハザードマップで浸水想定区域に指定されているエリアでは、補助金制度が優先的に設けられる傾向にあります。
自治体によっては、止水板だけでなく土のうや雨水貯留タンクなど、複数の浸水対策設備を補助対象に含めているケースもあります。
制度の詳細は自治体ごとに異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
補助対象となる止水板の種類
補助金の対象となる止水板は、自治体によって細かく規定されています。
一般的に、補助対象となるのは既製品の止水板や、専門業者による設置工事をともなう製品です。
自作の止水板や土のうは補助対象外となるケースが多いため、注意が必要です。
補助対象となる止水板の主な種類は、以下のとおりです。
| 種類 | 特徴 | 補助対象 |
|---|---|---|
| 脱着式止水板 | 普段は収納し、浸水時に設置するタイプ。アルミ製が主流 | ○ |
| 簡易止水板 | 工具不要で設置できる軽量タイプ。置くだけ・差し込むだけで使用可能 | ○ |
| 固定式止水板 | 常時設置しておくタイプ。自動起立式なども含む | ○ |
| 自作の止水板 | 木材などで自作したもの | × |
| 土のう | 袋に土を詰めた従来型の浸水対策用品 | △(別制度で対象の場合あり) |
脱着式止水板は、平常時は邪魔にならず、必要なときだけ取り付けられる利便性の高さから、住宅や店舗で広く採用されています。
アルミニウム合金製のものが多く、軽量でありながら耐久性に優れているのが特徴です。
簡易止水板は、特別な工具を使わずに設置できる手軽さが魅力です。
高齢者や女性でも扱いやすく、緊急時に素早く設置できるメリットがあります。
固定式止水板は、地下駐車場の入り口など、頻繁に浸水リスクにさらされる場所に適しています。
自動起立式のものは、水位の上昇を感知して自動的に立ち上がる仕組みになっており、不在時の浸水にも対応できます。
補助金を申請する際は、購入予定の止水板が対象製品に該当するかどうか、事前に自治体の窓口で確認しておきましょう。
止水板の価格相場と補助金活用時の自己負担額

止水板の導入を検討するうえで、費用面は最も気になるポイントではないでしょうか。
止水板の価格は、サイズや素材、設置方法によって大きく異なります。
ここでは、止水板の種類別の価格相場と、補助金を活用した場合の実質的な自己負担額について詳しく解説します。
止水板の種類別価格帯
止水板の価格は、本体価格と設置工事費用に分けて考える必要があります。
本体価格は止水板のサイズや素材によって異なり、設置工事費用は設置場所の状況や工事の難易度によって変動します。
一般的な止水板の価格帯を、種類別にまとめると以下のようになります。
| 止水板の種類 | 本体価格の目安 | 設置工事費用の目安 | 合計費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 簡易止水板(小型) | 3万円〜10万円 | 工事不要〜5万円 | 3万円〜15万円 |
| 脱着式止水板(住宅用) | 5万円〜20万円 | 10万円〜30万円 | 15万円〜50万円 |
| 脱着式止水板(店舗・工場用) | 10万円〜50万円 | 20万円〜50万円 | 30万円〜100万円 |
| 大型止水板(シャッター前など) | 30万円〜100万円以上 | 30万円〜100万円以上 | 60万円〜200万円以上 |
住宅の玄関先に設置する小型の止水板であれば、本体価格は5万円〜15万円程度が相場です。
一方で、工場や倉庫のシャッター前に設置する幅3メートル以上の大型タイプになると、本体価格だけで数十万円、設置工事費用を含めると100万円を超えることも珍しくありません。
具体的な価格例として、アルミ製止水板「水用心」の参考価格を紹介します。
| サイズ(高さ×幅) | 参考価格(税込) | 重量 |
|---|---|---|
| 350mm×1,000mm | 50,600円より | 約4kg |
| 450mm×1,000mm | 63,800円より | 約6kg |
| 550mm×1,000mm | 77,000円より | 約7kg |
| 350mm×2,000mm | 96,800円より | 約9kg |
| 450mm×2,000mm | 119,900円より | 約11kg |
| 550mm×2,000mm | 141,900円より | 約14kg |
上記の価格には送料や設置工事費用は含まれていないため、実際の導入費用は別途見積もりが必要です。
止水板の価格は、性能や耐久性にも大きく関係します。
安価な製品を選ぶと止水性能が低かったり、数年で劣化したりする可能性があるため、価格だけでなく品質や保証内容も確認して選ぶことが大切です。
補助金適用後の費用シミュレーション
補助金を活用した場合、実際にどの程度の自己負担で止水板を導入できるのでしょうか。
多くの自治体では、補助率を工事費用の2分の1、補助上限額を30万円〜100万円に設定しています。
具体的な費用シミュレーションを、いくつかのケースで見てみましょう。
| 設置場所 | 総工事費用 | 補助率 | 補助上限額 | 補助金額 | 自己負担額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 住宅の玄関(小型) | 30万円 | 1/2 | 50万円 | 15万円 | 15万円 |
| 店舗の出入り口(中型) | 60万円 | 1/2 | 50万円 | 30万円 | 30万円 |
| 工場のシャッター前(大型) | 150万円 | 1/2 | 50万円 | 50万円 | 100万円 |
| 複数箇所への設置 | 200万円 | 1/2 | 100万円 | 100万円 | 100万円 |
たとえば、住宅の玄関に30万円で止水板を設置する場合、補助率2分の1であれば15万円が補助され、自己負担は15万円で済みます。
店舗の出入り口に60万円で設置する場合、補助率2分の1なら30万円が補助対象ですが、補助上限額が50万円であれば満額の30万円が補助されます。
一方で、工場のシャッター前に150万円で設置する場合、補助率2分の1なら75万円が補助対象となりますが、補助上限額が50万円であれば50万円までしか補助されません。
この場合、自己負担は100万円となります。
補助金を最大限に活用するためには、設置費用と補助上限額のバランスを考慮した計画が重要です。
複数の開口部に止水板を設置する予定がある場合は、まとめて申請することで補助金を効率的に活用できる可能性があります。
ただし、自治体によっては1回の申請で補助される件数や金額に制限がある場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
止水板補助金を交付している自治体一覧

止水板の補助金制度は、全国各地の自治体で導入が進んでいます。
ただし、すべての自治体で実施されているわけではなく、過去に浸水被害が発生した地域や、ハザードマップで浸水リスクが高いとされる地域を中心に制度が設けられています。
ここでは、止水板の補助金を交付している主な自治体をエリア別に紹介します。
なお、補助金の内容や条件は年度によって変更される場合があるため、最新情報は各自治体のホームページで確認してください。
関東エリア
関東エリアは、都市部を中心に多くの自治体で止水板の補助金制度が導入されています。
特に東京都内の区部では、過去の浸水被害を踏まえて積極的に補助制度を設けている自治体が多くあります。
| 都県 | 市区町村 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 足立区 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 東京都 | 荒川区 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 東京都 | 板橋区 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 東京都 | 大田区 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 東京都 | 北区 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 東京都 | 品川区 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 東京都 | 杉並区 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 東京都 | 目黒区 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 東京都 | 狛江市 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 東京都 | 調布市 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 東京都 | 三鷹市 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 東京都 | 八王子市 | 要確認 | 要確認 |
| 千葉県 | 千葉市 | 75万円 | 工事費の1/2 |
| 千葉県 | 柏市 | 要確認 | 要確認 |
| 千葉県 | 佐倉市 | 要確認 | 要確認 |
| 千葉県 | 我孫子市 | 要確認 | 要確認 |
| 埼玉県 | 新座市 | 40万円 | 工事費の1/2 |
| 埼玉県 | 朝霞市 | 要確認 | 要確認 |
| 埼玉県 | 本庄市 | 要確認 | 要確認 |
| 埼玉県 | 羽生市 | 要確認 | 要確認 |
| 神奈川県 | 厚木市 | 要確認 | 要確認 |
| 神奈川県 | 綾瀬市 | 要確認 | 要確認 |
| 神奈川県 | 平塚市 | 要確認 | 要確認 |
| 神奈川県 | 寒川町 | 要確認 | 要確認 |
| 神奈川県 | 二宮町 | 要確認 | 要確認 |
| 茨城県 | 古河市 | 要確認 | 要確認 |
| 茨城県 | 高萩市 | 要確認 | 要確認 |
東京都内では、千葉市の補助上限額75万円が関東エリアで最も高い水準となっています。
東京都23区内では多くの区が上限50万円、補助率2分の1で統一されており、比較的利用しやすい制度設計になっています。
埼玉県の新座市は上限40万円とやや低めですが、新たに制度を開始した自治体も増えています。
神奈川県では厚木市や平塚市などで補助制度が導入されており、簡易止水板の購入費用も補助対象に含まれるケースがあります。
関西エリア
関西エリアでは、大阪府を中心に止水板の補助金制度が導入されています。
特に大阪府内では、府全体で医療機関向けの浸水対策補助制度も設けられているなど、多角的な支援が行われています。
| 府県 | 市区町村 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 大阪府 | 枚方市 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 大阪府 | 吹田市 | 30万円 | 工事費の1/2 |
| 大阪府 | 寝屋川市 | 30万円 | 工事費の1/2 |
| 兵庫県 | 西宮市 | 要確認 | 要確認 |
| 奈良県 | 王寺町 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 和歌山県 | 有田市 | 要確認 | 要確認 |
大阪府内では枚方市が上限50万円と比較的高い水準で、吹田市と寝屋川市は上限30万円となっています。
奈良県の王寺町も上限50万円で補助を行っており、関西エリアでは充実した支援を受けられる自治体といえます。
兵庫県西宮市や和歌山県有田市でも補助制度が設けられていますが、詳細な条件は各自治体に確認が必要です。
九州エリア
九州エリアは、台風や集中豪雨による浸水被害が多発する地域であり、複数の自治体で止水板の補助金制度が導入されています。
| 県 | 市区町村 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 福岡県 | 久留米市 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 福岡県 | 飯塚市 | 30万円 | 工事費の1/2 |
| 福岡県 | 那珂川市 | 要確認 | 要確認 |
| 大分県 | 大分市 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 鹿児島県 | 志布志市 | 30万円 | 工事費の2/3 |
| 佐賀県 | 武雄市 | 要確認 | 要確認 |
福岡県の久留米市は、筑後川流域で度重なる浸水被害を経験しており、上限50万円の補助制度を設けています。
大分県大分市も同様に上限50万円で補助を行っています。
注目すべきは鹿児島県志布志市で、補助率が工事費の3分の2と他の自治体より高く設定されています。
上限額は30万円ですが、補助率が高いため、比較的小規模な工事であれば自己負担を大きく抑えられる可能性があります。
佐賀県では県全体で中小企業向けの事業継続力強化支援事業費補助金が設けられており、止水板の設置もこの制度で補助対象となる場合があります。
東北・中部エリア
東北・中部エリアでは、近年の豪雨災害を受けて補助金制度を導入する自治体が増えています。
特に中部エリアでは、石川県金沢市が上限100万円という全国的にも高い水準の補助制度を設けています。
| 県 | 市区町村 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 宮城県 | 仙台市 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 宮城県 | 石巻市 | 要確認 | 要確認 |
| 福島県 | 郡山市 | 30万円 | 工事費の1/2 |
| 福島県 | いわき市 | 要確認 | 要確認 |
| 石川県 | 金沢市 | 100万円 | 工事費の1/2 |
| 石川県 | 小松市 | 要確認 | 要確認 |
| 新潟県 | 新潟市 | 50万円 | 工事費の1/2 |
| 新潟県 | 長岡市 | 要確認 | 要確認 |
| 愛知県 | 一宮市 | 要確認 | 要確認 |
| 愛知県 | 稲沢市 | 要確認 | 要確認 |
| 愛知県 | 江南市 | 要確認 | 要確認 |
| 愛知県 | 西尾市 | 要確認 | 要確認 |
| 岐阜県 | 美濃加茂市 | 要確認 | 要確認 |
| 三重県 | 四日市市 | 要確認 | 要確認 |
| 福井県 | 福井市 | 要確認 | 要確認 |
| 福井県 | 鯖江市 | 要確認 | 要確認 |
石川県金沢市の補助上限額100万円は、全国の自治体の中でもトップクラスの水準です。
大型の止水板を複数箇所に設置する場合でも、この制度を活用すれば自己負担を大幅に抑えられます。
宮城県仙台市や新潟県新潟市も上限50万円で補助を行っており、東北・中部エリアでは比較的充実した支援を受けられる自治体といえます。
愛知県内では一宮市、稲沢市、江南市、西尾市など複数の自治体で補助制度が導入されています。
その他の地域
上記以外にも、全国各地で止水板の補助金制度が導入されています。
| 県 | 市区町村 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 秋田県 | 秋田市 | 要確認 | 要確認 |
| 栃木県 | 宇都宮市 | 要確認 | 要確認 |
| 岡山県 | 岡山市 | 要確認 | 要確認 |
| 岡山県 | 倉敷市 | 要確認 | 要確認 |
| 岡山県 | 瀬戸内市 | 要確認 | 要確認 |
| 広島県 | 広島市 | 要確認 | 要確認 |
| 広島県 | 福山市 | 要確認 | 要確認 |
| 広島県 | 廿日市市 | 要確認 | 要確認 |
| 広島県 | 府中市 | 要確認 | 要確認 |
| 広島県 | 海田町 | 要確認 | 要確認 |
| 山口県 | 下関市 | 要確認 | 要確認 |
岡山県や広島県は、2018年の西日本豪雨で甚大な浸水被害を受けたことを背景に、複数の自治体で補助金制度が導入されています。
上記の一覧は主要な自治体を抜粋したものであり、すべての制度を網羅しているわけではありません。
お住まいの地域で補助金制度が実施されているかどうかは、市区町村の防災担当課や下水道担当課に問い合わせてみることをおすすめします。
また、補助金の予算には限りがあり、予算消化状況によっては年度途中で受付が終了する場合もあるため、早めに情報収集を行うことが大切です。
補助金の受給要件

止水板の補助金を受け取るためには、各自治体が定めた要件を満たす必要があります。
要件は自治体ごとに異なりますが、大きく分けて「対象地域に関する条件」「申請者に関する条件」「設置する止水板に関する条件」の3つのカテゴリーがあります。
申請前にこれらの要件を確認し、自分が対象となるかどうかを把握しておきましょう。
対象地域に関する条件
多くの自治体では、補助金の交付対象を浸水リスクの高い地域に限定しています。
これは、限られた予算を効果的に活用し、被害が発生しやすい地域から優先的に対策を進めるためです。
対象地域の主な条件は、以下のとおりです。
- 過去に浸水被害が発生した記録のある地域
- ハザードマップで浸水想定区域に指定されている地域
- 河川の氾濫や内水氾濫のリスクが高い低地
- 自治体が指定する特定の区域
過去に浸水被害が発生した地域については、自治体が保有する被害記録をもとに判断されます。
床上浸水や床下浸水の履歴がある場所は、再度被害が発生する可能性が高いと見なされ、補助対象となりやすい傾向にあります。
ハザードマップについては、国土交通省が公開している「重ねるハザードマップ」や、各自治体が作成している洪水ハザードマップで確認できます。
自分の住所が浸水想定区域に含まれているかどうか、事前にチェックしておくとよいでしょう。
なお、一部の自治体では地域の制限を設けず、市内全域を対象としているケースもあります。
対象地域の条件は自治体によって大きく異なるため、まずは担当窓口に相談することをおすすめします。
申請者に関する条件
補助金の申請者についても、一定の条件が設けられています。
主な条件は、以下のとおりです。
| 条件項目 | 内容 |
|---|---|
| 市税の納付状況 | 市税を滞納していないこと |
| 反社会的勢力との関係 | 暴力団等の反社会的勢力と関係がないこと |
| 居住・事業の実態 | 補助対象となる建物に居住または事業を営んでいること |
| 所有者の同意 | 建物を賃借している場合は、所有者の同意を得ていること |
市税の滞納がないことは、ほぼすべての自治体で共通して求められる条件です。
補助金は公的な支援であるため、市民としての義務を果たしていることが前提となります。
申請時には、納税証明書の提出を求められる場合があります。
反社会的勢力との関係がないことについては、申請時に誓約書への署名を求められるケースが一般的です。
補助金の不正利用を防ぐための措置として設けられています。
建物を賃借している場合は、所有者の同意が必要となることが多いです。
賃貸物件に止水板を設置する場合は、事前に大家さんや管理会社に相談し、同意を得ておく必要があります。
設置する止水板に関する条件
補助金の対象となる止水板についても、条件が設けられています。
主な条件は、以下のとおりです。
- 一定の止水性能を有する製品であること
- 既製品であり、自作のものではないこと
- 建物の出入り口や開口部に設置するものであること
- 同一の建物で過去に同様の補助を受けていないこと
止水性能については、JIS規格(JIS A 4716)で定められた漏水量の基準を満たす製品が対象となる場合があります。
JIS A 4716では、漏水量に応じてWs-1からWs-6までの等級が設定されており、等級が高いほど止水性能が優れています。
自治体によっては、特定の等級以上の製品のみを補助対象としているケースもあります。
自作の止水板や、土のうを組み合わせた簡易的な対策は補助対象外となることが多いです。
補助金を活用するためには、メーカーが製造した既製品を購入・設置する必要があります。
また、過去に同一の建物で止水板の補助金を受けている場合、追加の補助が受けられないことがあります。
複数の開口部に止水板を設置する予定がある場合は、まとめて申請するか、事前に自治体に相談しておくとよいでしょう。
補助金申請から受給までの流れ

止水板の補助金を受け取るためには、決められた手順に沿って申請を進める必要があります。
手順を誤ると補助金を受けられなくなる可能性があるため、各ステップでのポイントを押さえておきましょう。
ここでは、補助金申請から受給までの一般的な流れを解説します。
事前相談の実施
補助金の申請を検討し始めたら、まず自治体の担当窓口に事前相談を行いましょう。
事前相談は、ほとんどの自治体で必須のステップとなっています。
事前相談で確認すべき主なポイントは、以下のとおりです。
- 自分の建物が補助対象地域に該当するか
- 設置予定の止水板が補助対象製品に該当するか
- 申請に必要な書類の種類と取得方法
- 現在の予算消化状況と申請受付の可否
- 申請から交付までのスケジュール
事前相談を行わずに止水板を購入・設置してしまうと、補助金を受けられない可能性があります。
多くの自治体では、交付決定通知を受けてから工事に着手することを条件としているためです。
事前相談は、市区町村役場の防災担当課や下水道担当課で受け付けています。
電話やメールで問い合わせることも可能ですが、詳しい説明を受けたい場合は窓口を直接訪問するとよいでしょう。
交付申請書類の提出
事前相談で補助対象に該当することを確認できたら、補助金の交付申請を行います。
申請には多数の書類が必要となるため、余裕をもって準備を進めましょう。
交付申請の一般的な流れは、以下のとおりです。
- 申請書類一式を準備する
- 自治体の担当窓口に提出する
- 自治体による審査を受ける
- 交付決定通知を受け取る
申請書類の準備には、1週間から2週間程度の時間がかかることが一般的です。
特に、登記事項証明書や固定資産評価証明書などの公的書類は、取得に時間がかかる場合があるため、早めに手配しておきましょう。
申請書類を提出したあとは、自治体による審査が行われます。
審査期間は自治体によって異なりますが、2週間から1か月程度を見込んでおくとよいでしょう。
審査が完了すると、交付決定通知が届きます。
この通知を受けてから、止水板の設置工事に着手できるようになります。
工事の実施と完了報告
交付決定通知を受け取ったら、止水板の設置工事を実施します。
工事に関する主な注意点は、以下のとおりです。
| 注意点 | 詳細 |
|---|---|
| 着工のタイミング | 交付決定通知を受けてから着工すること。通知前に着工すると補助対象外となる |
| 工事の記録 | 工事の施工前・施工中・施工後の写真を撮影しておく |
| 完了報告の期限 | 工事完了後、定められた期限内に完了報告書を提出する |
工事の着工は、必ず交付決定通知を受けてから行ってください。
通知前に工事を始めてしまうと、補助金の交付対象から外れてしまいます。
工事中は、施工の各段階で写真を撮影しておくことをおすすめします。
完了報告の際に、工事が適切に行われたことを証明する資料として求められることがあるためです。
工事が完了したら、速やかに完了報告書を自治体に提出します。
完了報告書には、工事の完了を証明する写真や領収書などの添付が必要です。
自治体によっては、完了報告の提出期限が工事完了後30日以内などと定められている場合があるため、期限を過ぎないよう注意しましょう。
補助金の確定と交付
完了報告書を提出すると、自治体による確認作業が行われます。
確認作業では、以下の点がチェックされます。
- 申請内容と実際の工事内容が一致しているか
- 補助対象となる止水板が適切に設置されているか
- 提出書類に不備がないか
確認作業が完了すると、補助金の交付額が確定します。
確定通知を受け取ったら、補助金の請求手続きを行います。
請求書を提出してから実際に補助金が振り込まれるまでには、1週間から1か月程度かかることが一般的です。
補助金は、申請者が指定した銀行口座に振り込まれます。
申請から交付まで、全体で2か月から3か月程度の期間を見込んでおくとよいでしょう。
申請時に必要な書類

補助金の申請には、複数の書類を準備する必要があります。
必要書類は自治体によって異なりますが、共通して求められるものと、自治体ごとに異なるものがあります。
ここでは、申請時に必要な書類について詳しく解説します。
共通で求められる書類
ほとんどの自治体で共通して求められる書類は、以下のとおりです。
| 書類名 | 取得先・準備方法 |
|---|---|
| 補助金交付申請書 | 自治体の窓口またはホームページからダウンロード |
| 見積書 | 止水板メーカーまたは施工業者から取得 |
| 止水板の構造図・仕様書 | 止水板メーカーから取得 |
| 設置予定場所の写真 | 自分で撮影 |
| 設置予定場所の図面 | 自分で作成または業者に依頼 |
| 納税証明書 | 市区町村役場の税務課で取得 |
| 本人確認書類の写し | 運転免許証やマイナンバーカードのコピー |
補助金交付申請書は、自治体の窓口で受け取るか、ホームページからダウンロードして記入します。
見積書は、止水板メーカーや施工業者から取得します。
複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
止水板の構造図や仕様書は、メーカーに依頼すれば提供してもらえます。
JIS規格の等級を証明する書類が必要な場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
設置予定場所の写真は、現状がわかるように複数のアングルから撮影しておくとよいでしょう。
建物の外観、出入り口の寸法がわかる写真などが求められることが多いです。
納税証明書は、市区町村役場の税務課で取得できます。
発行に数百円の手数料がかかる場合があります。
自治体ごとに異なる書類
上記の共通書類に加えて、自治体ごとに追加で求められる書類があります。
代表的なものは、以下のとおりです。
| 書類名 | 必要となるケース |
|---|---|
| 登記事項証明書 | 建物の所有者であることを証明するために必要 |
| 固定資産評価証明書 | 建物の所有状況を確認するために必要 |
| 建物所有者の同意書 | 賃借人が申請する場合に必要 |
| 反社会的勢力排除に関する誓約書 | ほとんどの自治体で必要 |
| 過去の浸水被害を証明する資料 | 被害履歴がある地域での申請時に必要な場合がある |
| 工事を行う業者の許可証の写し | 施工業者の資格を確認するために必要な場合がある |
登記事項証明書は、法務局で取得できます。
オンライン申請も可能で、手数料は1通あたり500円程度です。
固定資産評価証明書は、市区町村役場の税務課で取得できます。
発行に数百円の手数料がかかります。
賃借人が申請する場合は、建物所有者の同意書が必要となることが多いです。
同意書の様式は自治体が指定している場合があるため、事前に確認しましょう。
必要書類は自治体によって異なるため、事前相談の際に詳しく確認しておくことをおすすめします。
書類の準備に時間がかかることもあるため、早めに手配を始めましょう。
補助金利用時の注意点

止水板の補助金制度は、浸水対策のハードルを下げてくれる有用な制度ですが、利用にあたってはいくつかの注意点があります。
制度の仕組みを正しく理解しておかないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
ここでは、補助金を利用する際に知っておくべき注意点を解説します。
予算枠には上限がある
補助金制度には、年度ごとに予算の上限が設定されています。
予算が尽きると、たとえ条件を満たしていても補助金を受けられなくなります。
予算に関する主なポイントは、以下のとおりです。
- 予算は年度ごとに設定され、予算消化状況によっては年度途中で受付が終了する
- 申請は先着順で処理されることが多く、早めの申請が有利
- 人気のある制度は、受付開始後すぐに予算枠が埋まることもある
- 予算枠の空き状況は、自治体の窓口やホームページで確認できる
補助金の申請を検討している場合は、年度が始まる4月から早めに動き出すことをおすすめします。
特に、過去の浸水被害を受けた地域では申請が集中する傾向があり、予算枠が早期に埋まることがあります。
事前相談の段階で、現在の予算消化状況や今後の見通しについて担当者に確認しておくとよいでしょう。
早期処分は返還対象になる
補助金を受けて設置した止水板は、一定期間使用し続けることが求められます。
設置後すぐに止水板を処分したり、転売したりすると、補助金の返還を求められる可能性があります。
処分制限に関する主なルールは、以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 処分制限期間 | 自治体により異なるが、5年から10年程度が一般的 |
| 返還対象となる行為 | 止水板の廃棄、転売、移設など |
| 返還額 | 受け取った補助金の全額または一部 |
たとえば、岡山市の制度では、補助金を受けて設置した止水板を10年以内に処分した場合、補助金の返還が求められます。
処分制限期間中に建物を売却したり、引っ越したりする予定がある場合は、事前に自治体に相談しておくことが大切です。
止水板を適切に維持管理し、長期間にわたって使用することを前提に補助金を活用しましょう。
他の補助金との併用制限
止水板関連の補助金制度は複数存在しますが、同一の設置に対して複数の補助金を併用することはできません。
併用制限に関する主なポイントは、以下のとおりです。
- 同じ止水板の設置に対して、複数の補助金を同時に受けることはできない
- 自治体の補助金と国の補助金を併用できないケースがある
- 住宅リフォーム補助金など、他の制度との併用制限がある場合もある
止水板の設置に使える補助金としては、自治体ごとの止水板設置補助金のほかに、BCP実践促進助成金(東京都)や地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金などがあります。
これらの制度は対象者や条件が異なるため、自分にとって最も有利な制度を選ぶ必要があります。
どの制度を利用すべきか迷った場合は、自治体の窓口に相談して、複数の選択肢を比較検討することをおすすめします。
よくある質問

止水板の補助金制度について、よく寄せられる質問にお答えします。
申請を検討している方の参考になれば幸いです。
賃貸物件でも申請できるか
賃貸物件でも、条件を満たせば補助金を申請できる場合があります。
ただし、いくつかの制約があるため、事前に確認しておくことが大切です。
賃貸物件での申請に関する主なポイントは、以下のとおりです。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 所有者の同意 | 建物所有者(大家さん)の同意書が必要となることが多い |
| 申請者の要件 | 自治体によって、所有者のみが申請可能な場合と、賃借人も申請可能な場合がある |
| 原状回復の問題 | 退去時の原状回復義務との関係を事前に確認しておく必要がある |
賃貸物件に止水板を設置する場合、まず大家さんや管理会社に相談し、設置の許可を得ることが必要です。
補助金の申請には所有者の同意書が求められることが多いため、この段階で同意を得ておきましょう。
また、退去時の原状回復義務との関係についても、事前に取り決めておくことをおすすめします。
止水板の設置に伴う壁面への加工などが原状回復の対象となるかどうか、確認しておくとトラブルを防げます。
設置工事は自分で行えるか
止水板の種類によっては、自分で設置することも可能です。
ただし、補助金の対象となるかどうかは、自治体の制度によって異なります。
設置工事に関する主なポイントは、以下のとおりです。
- 簡易止水板の中には、工具不要で自分で設置できるものがある
- 脱着式止水板の多くは、支柱の取り付けなど専門的な工事が必要
- 自分で設置する場合、工事費用が補助対象外となるケースがある
- 補助金を受けるためには、施工業者による工事が条件となる場合もある
簡易止水板の中には、マグネットで固定するタイプや、置くだけで設置できるタイプがあり、これらは自分でも設置可能です。
一方、脱着式止水板の多くは、建物の壁面に支柱を取り付ける工事が必要となり、専門業者に依頼するのが一般的です。
補助金制度の中には、専門業者による工事を条件としているものもあります。
自分で設置する予定の場合は、事前に自治体に確認しておくことをおすすめします。
申請から交付までの期間はどのくらいか
申請から補助金が交付されるまでの期間は、自治体や時期によって異なりますが、おおむね2か月から3か月程度を見込んでおくとよいでしょう。
申請から交付までの一般的なスケジュールは、以下のとおりです。
| ステップ | 所要期間の目安 |
|---|---|
| 事前相談 | 1回〜数回の訪問 |
| 書類準備 | 1週間〜2週間 |
| 交付申請・審査 | 2週間〜1か月 |
| 工事の実施 | 数日〜2週間(規模による) |
| 完了報告・確認 | 2週間〜1か月 |
| 補助金の交付 | 1週間〜2週間 |
年度末は申請が集中する傾向があり、審査に時間がかかることがあります。
また、予算の関係で年度内に工事を完了させなければならないケースもあるため、余裕をもったスケジュールで申請を進めることが大切です。
台風シーズンに間に合わせたい場合は、遅くとも6月頃までには申請手続きを開始することをおすすめします。
浸水対策には止水板「水用心」 上場企業製造の安心品質

止水板の導入を検討している方に、アルミ製止水板「水用心」をご紹介します。
「水用心」は、国内シェアNo.1のアルミメーカーであるUACJが自社工場で一貫生産している止水板です。
高い止水性能と導入しやすい価格を両立しており、住宅から店舗、工場まで幅広い施設で採用されています。
「水用心」の主な特長は、以下のとおりです。
| 特長 | 詳細 |
|---|---|
| 優れた止水性能 | JIS A 4716 Ws-3クラス相当(漏水量20ℓ/(h・m2)以下)。土のうの約100倍の止水性能 |
| 軽量で設置が簡単 | 中空アルミ製で軽量。大人1人で約1分で設置可能 |
| コストパフォーマンス | 自社工場での一貫生産により、他社製品と比較して約20〜90%のコストカットを実現 |
| カスタマイズ対応 | 高さ1m以上、幅3m超の大型サイズにも対応。設置場所に合わせた柔軟な対応が可能 |
| 安心の品質保証 | メーカー1年保証。止水ゴムは10〜15年の耐久性 |
「水用心」は、水圧を利用して密着させる独自の機構を採用しており、シンプルな構造ながら優れた止水性能を発揮します。
京都大学との共同実験で、浸水深さ2mでの強度テストや動水実験を行い、あらゆる水害シナリオに対応できることを実証しています。
設置工事についても、写真とサイズを送るだけで設置可否と概算見積もりが分かる仕組みを用意しています。
全国どこでも対応可能で、地域によっては補助金の活用もサポートいたします。
止水板の導入を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ

本記事では、止水板の補助金制度について、制度の仕組みから対象自治体、申請方法、注意点まで網羅的に解説しました。
止水板の補助金制度に関する主なポイントを振り返ります。
- 止水板の補助金制度は、浸水対策を促進するために各自治体が設けている支援制度
- 補助率は多くの自治体で工事費用の2分の1、上限額は30万円〜100万円程度
- 全国の多くの自治体で制度が導入されているが、内容や条件は自治体ごとに異なる
- 補助金を受けるには、対象地域・申請者・止水板に関する要件を満たす必要がある
- 申請は「事前相談→交付申請→工事実施→完了報告→補助金交付」の流れで進める
- 予算枠には限りがあるため、早めの申請が重要
- 補助金を受けた止水板は一定期間使用する義務があり、早期処分は返還対象となる
近年の気象災害の激甚化を受けて、止水板の補助金制度は全国的に広がりを見せています。
補助金を活用すれば、本来高額になりがちな止水板の導入費用を大幅に抑えられます。
お住まいの地域で制度が実施されているかどうか、まずは自治体の窓口に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
浸水被害は、一度発生すると建物の修繕費用だけでなく、大切な家財や思い出の品、事業継続にも深刻な影響を及ぼします。
「備えあれば憂いなし」の言葉どおり、被害が発生する前に対策を講じておくことが大切です。
補助金制度を賢く活用して、ご自宅や事業所の浸水対策にお役立てください。



